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少年達の聖なる書物

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第二章 カノンメイド写真集
「さぁさぁ、みんなメイド服着て着て」
 リリィ・シャーロック(りりぃ・しゃーろっく)が人数分のメイド服と着替え用の仕切りのカーテンを用意する。
「未沙、貴女も」
 朝野 未沙(あさの・みさ)にもメイド服に着替えることを勧めつつ、猛獣の檻に小動物を放ってしまったかもしれないと後悔するリリィだった。
「さあ、花音さん、着替えましょ♪」
 未沙は水を得た魚のごとく花音をカーテンの中に連れ込むと、手早く花音の服を脱がし始めた。
「んふっふ〜♪ 花音さん、男なんて放っておいて、女同士でちょっと楽しい事してみない?」
「え、なんですか?」
 脱がされながらはてなマークを顔に浮かべる花音。
「それはねー。えい!」
 未沙はカノンの胸をやわやわと揉み始める。
「え、あっ、ちょっ……あ、ふあん!」
 突然のことに驚く花音。
「ふふっ、花音さん、食べちゃいたいくらい、可愛い表情してる〜」
「あっ……やめ……ひゃぁん!」
 突然あがった嬌声に牙竜は何事かとカーテンの中を覗いてしまう。
 そこには上半身裸で胸をもまれているカノンと同じく上半身裸で胸をもんでいる未沙がいた。
「きゃあああああああああああああっ!」
 悲鳴を上げる花音。
「牙竜!」
 リリィが事態を把握し怒りに燃えながら暗黒卿リリィの衣装に素早く着替える。
「す、すまん」
 牙竜が慌てて逃げ出そうとするがバランスを崩して転倒し未沙を押し倒す。
「いやああああああああああああ!」
 未沙も叫ぶ。
「牙竜〜? 覚悟はできているんでしょうねえ?」
 暗黒卿は怒りのどす黒いオーラをまといながらライトブレードを取り出し牙竜をフルボッコにする。回りの女子も参加した。
「また牙竜の不幸トラブルですか?」
 重攻機 リュウライザー(じゅうこうき・りゅうらいざー)がやれやれ、と思いながら仲裁に入ろうとする。
「ライッザー? あんたもこの馬鹿マスターをボコりなさい」
 リリィが仲裁に入ってきたライザーに命令する。
「おやめなさいリリィ、マスターをそのように扱うものではありません」
「うっさいわねえ。そうだ、必殺技カード強制発動ね♪ いっくわよ、アルティメット・エンド!」
 ライザーの六連ミサイルポッド2機と機関銃が一斉に発射される。
「リリィ、あなたはものの道理というのがわからないのですか?」
「いいから続ける」
「ぎゃあああああああああああ!」
 牙竜が悲鳴を上げる。吹き飛ばされるカーテン、壁、窓。そして牙竜。
「きゃあああああああああああ!」
 裸の女子たちが悲鳴を上げる。
 これはチャンスばかりと携帯やデジカメで写真を撮る男子共。
「ライザー」
 リリィは指をぱちんと鳴らすと不埒な男子共にも制裁を加える。
「やめてくださいリリィ」
「五月蝿い」
 リリィの怒りは余すことなく男子生徒にも伝わった。
 それから――
「すみませんでした。ごめんなさい」
 牙竜が正座し反省する。
「ごめんなさーい」
 男子生徒たちも。
 それから、着替えが再開されライザーは土木技術で壊した箇所の修理をし、写真撮影が行われた。
 そんな中、鮪がこっそりと抜け出し、写真でコラージュを作りばら撒いた。それにより聖典争奪戦争は激化する。

「うおぉおおおおおおおおお! ヒャッハー!」
 マイト・オーバーウェルム(まいと・おーばーうぇるむ)が空飛ぶ箒に跨りながら絶叫する。
「蒼空学園の秘伝書は俺が頂く!」
 エロ本をなぜか秘伝書と勘違いし、マイトは学園中を飛び回る。が、なかなか見つからずに一人で探すのをあきらめようとしていたところに、黒脛巾 にゃん丸(くろはばき・にゃんまる)が現れる。
「黒脛巾 にゃん丸! 俺は武術部のマイト! 貴様の腕前を見せてもらう!」
「よろしい。ならば戦争(クリーク)だ!」
 にゃん丸はそう答えるとアーミーショットガンを取り出した。
「ふぁいあー!」
「ぬお! 銃とは卑怯なり!」
 銃弾を回避するとランスを取り出して突撃を仕掛けるマイト。
「必殺、ランスアターック!」
「この鬼畜め!」
 にゃん丸は銃身で槍を受け止めるとそのままマイトに殴りかかった。
「ぬおっと!」
 その拳をかわし空中に浮き上がるマイト。
 熾烈な戦闘が繰り広げられる中、ほかでも聖典をめぐる争いは続いていた。
 一式 隼(いっしき・しゅん)ルーシー・ホワイト(るーしー・ほわいと)はそれぞれ体育倉庫、裏庭と手分けをしながら本を探していた。環菜の子供時代の写真が張ってある本物は見つからないが、偽造された聖典がいくつも見つかる。
「悪いですが、これは処分させてもらいますよ」
「燃やしちゃいますよ〜」
 隼とルーシーは偽造聖典を処分して回っていた。ついでに偽造聖典を読んでいた生徒の名前をメモするのも忘れない。あとで環菜に報告するためだ。
「まってまって〜」
 と、そこに久世 沙幸(くぜ・さゆき)がブルマ姿で体育倉庫に現れる。
「どうしました?」
「先生から体育のマット出すように言われてるからここで揉め事はやめてくれるかな?」
 隼の質問に沙幸は嘘で答えるが、隼は納得し体育倉庫を出て行った。
「んふっふ〜、これでよし。あとはとレジャーセンスと女の感ね」
 そういって体育倉庫の中を探し回ると一冊の雑誌が見つかった。
「よしよし。うーわー。すっごーい。男の子って最低だよー」
 と、そんなことを言いながらも顔を染めて食い入るように偽造聖典を覗き込む沙幸だった。
「うわ、うわ……」
 あんなことやこんなことが描かれてある本を読みながら沙幸は次第にいけないところへと手が伸びていっていた。

「風紀委員だ! 卑猥な聖典とやらは回収する!」
 ウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)は偽の風紀委員会腕章を作り男子生徒から強引に雑誌類を回収して回る。無論己のものとするために。だが――
「ふふ、イルミンスールのあなたが風紀委員会とは片腹痛い。だが、私も聖典を集めて鑑賞するのが目的。どうです、一時手を組みませんか?」
 環菜に本物を見られると非常に拙い事態になると感じていた樹月 刀真(きづき・とうま)は雑誌の提供を拒否する男子生徒にドロップキックをかまして強引に奪い取りながら、ウィルネストに誘いをかける。
「よく見破ったな。おもしれーじゃねーか。乗った。共同戦線だ」
 こうして同盟は成立し、鑑賞のために本を集める一派が出来上がったのである。
「あ、あたしも混ぜて」
 そう言って来たのは佐々良 縁(ささら・よすが)である。
「ん? 何で女が聖典をほしがるんだよ」
「とばっちりはゴメンなのよ〜。カンナ様を怒らせたら生徒たち全員が被害を受ける可能性があるじゃない? 鑑賞するのはおまえたちの勝手だけど〜、こっちまで迷惑を受けるのはごめんこうむりたいのよね〜」
 のんびりとした口調でそう言う緑。
「俺も混ぜてくれ」
 クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)がなにやら不穏な空気をまといながらやってくる。
「こういうときはむやみに探すより山葉君たちからバイブルのタイトルや表紙を飾る女優・イラストなどの特徴を聞き出すのがいいでしょう」
「なるほど〜。それは良いアイデアですね〜。そうすればカンナ様にばれる確率も減りますし」
 緑がそう言った時、クロセルが邪悪な笑みを浮かべたのを誰も気がつかない。
「すみません、バイブル、知りませんか? 確認して良いですか? 探さないと、大騒ぎになりますので」
 神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)がそう話しかけてくる。
「私たちもそれを探しているところです。どうです、一緒に探しませんか? 手を組んだほうが発見しやすい」
 刀真がそう誘いをかけると翡翠は賛同した。
「それもそうですね。いいでしょう。一緒に探しましょう。興味あるのですから、アダルトでもエロでも知って置くのは、良いことです。ただ、実際は、ねえ?」
 翡翠はそういって言葉を濁すするとレイス・アデレイド(れいす・あでれいど)
「翡翠詳しそうだな? しかし、そんなに、熱中できるもんか?たかが、写真だろ?」
 と尋ねた。翡翠は
「詳しく無いですよ? そこは、想像にお任せします」
 そういってにっこり笑う。そこには大人の余裕が隠されていた。
「随分と楽しそうな事をしているじゃないですか。自分もお手伝いしましょう」
 蒼空学園の近くを通りかかった時に騒ぎを聞きつけ探索に参加したザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)は、環菜の恥ずかしい写真をコピーして広めるという目的を隠して回収を相談しているグループに近づいた。
 最近イルミンの恥ずかしい姿を良く見られていますし、ここらで蒼学にも何か痛い目にあってもらいましょう。などと彼が考えているのは知らないままに、その参加を歓迎する一同。
「環菜会長に見つかると大変ですよね。俺も協力しますから、一緒に探しましょう」
 影野 陽太(かげの・ようた)はカンナスキーとして聖典の環菜の写真のコピーをとることが目的で、一同に近づいた。だが無論そんな思惑を知る由も無いのでザカコと同様に陽太の参加も歓迎する。
「私もバイブルを見てみたい。参加してもよろしいかな?」
 戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)が、本を処分するという目的を隠してもっともらしい理由をつけて彼等に近づく。そして参加を認められて一員となった。
「よっしゃ、これで結構仲間も増えたな。いいか、俺たちの目的は本を回収すること。それから環菜校長にばれないようにすることだ。その二つを守っていれば回収後の行動は自由。いいな?」
「ええ」
 ウィルネストの言葉にザカコがにやりと笑いながら答える。ほかのものもその条件で動き出し、やがて本を処分しようとする一派と涼司と敵対する一派と熾烈な争いを繰り広げることになる。

「男子生徒共が! こそこそ隠れてエロ行為をしやがって……! 許さん! 粛清だ! バイブルも発見次第、処分だ!」
 鬼崎 朔(きざき・さく)は武術部長の命令を受けて「すごい本」を探していたが、もともと学園の生徒のため事情にいち早く気がつき、エロ耐性の無い朔は怒り狂って粛清だ処分だと荒れていた。
「スカサハ! 何やら女の人が写っている本を持っている男の方をぶちのめすのが今回のお仕事なのです! 朔様が許可してくれたので全武装、全スキル解放なのです!」
 朔のパートナースカサハ・オイフェウス(すかさは・おいふぇうす)もエロ耐性がないので朔とともに燃え滾っていた。一方、もう一人のパートナー尼崎 里也(あまがさき・りや)は、「しかし、朔も燃やしてしまうとは勿体無い! ここは、空京写真館の管理人として写真として記録に残しておきましょうかな」などとデータのコピーを考えていた。ついでに朔とスカサハに倒された男子生徒の写真も取ろうと、自前のカメラを装備していた。
 そして音井 博季(おとい・ひろき)も最初は「すごい本」を探していたのだが、回収するうちに本の正体に感づき始め、逆らうものは容赦なく張り倒しながら回収を勧めていた。集めた本は燃やして焼き芋に使おうとでも考えている。
「ほほー、そんなことがおきていたのか」
 林田 樹(はやしだ・いつき)が朔から事情を聞くと
「しょっしゃ、協力させろ。いつも喧嘩しているパートナー達のことで、憂さが溜まっているんだ、発散させろ、と言うか、させやがれ!!」
 と半ば私怨の鬱憤晴らしのために協力を申し出る。
「そういえば蒼空学園にはのぞき部なるものが存在するらしいな。そいつらもまとめて粛清しよう」
「頼んだぞ」
 樹が有難そうに協力の申し出を受けると、怒りのオーラを燃やす。
 そうして聖なる書物(偽造)を集めている男子生徒たちを見つけると片っ端から粛清し本を処分して行った。
「性なる紙への祈りは捧げたか? おねんねの時間だ、性少年」
 樹はそういってヘッドロックで男子生徒を締め上げる。が、胸の谷間が見事に接触するため男子生徒は喜びながら粛清されていったとかいかないとかなんとか。

「んっんー、事情は聞いた。蒼学の性少年達の為に一肌脱いでやるのも結構ほうほうけきょうだねぃ! ま、その実は眼鏡の困った顔を見たいだけなわけだが」
 そう言いながらにやりと笑ったのはシュレイド・フリーウィンド(しゅれいど・ふりーうぃんど)。シュレイドは聖なる書物を5冊ほど買いこんで、サフィ・ゼラズニイ(さふぃ・ぜらずにい)に手渡す。
 サフィはそれを持って目立たないところで待機し、男子生徒が来るとこう話しかけた。
「ちょっとそこのお兄さん、ひょっとしてバイブル探してる? 実はここにもあるんだけど……」
 その誘いに乗る男子生徒。
「環菜様の写真付きのあたしに持ってきてくれたら、もっとスゴイのもう2冊……ええい、3冊あげる♪」
 と誘惑をかける。
 男子生徒はほいほいと引っかかり、環菜の写真付の本を探すことを約束すると、人気のないところに走っていって迸る青春の熱いパトスを滾らせた。
「ふー」
 賢者タイム。
 約束は忘れて帰宅する生徒。それでもサフィのマスタークライス・クリンプト(くらいす・くりんぷと)が考えたように、興味半分の生徒を選別する役には立っていた。
 
「ん? なんや? 人の話を聞くとバイブルがそこかしこに沢山あるみたいやな? くそぅ! これは真のバイブルを隠す為の情報攪乱かっ! 話しによるとメガネが見つけようとしとる奴が新のバイブルみたいやな! ならメガネの後をつけて巧い事さきに手に入れてやるわ!」
 バイブルを魔法の書物と勘違いした日下部 社(くさかべ・やしろ)は成績アップのためにひたすらバイブルを狙う。