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少年達の聖なる書物

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第三章 山葉一味と敵対者〜苛烈なる争奪戦〜
 神代 明日香(かみしろ・あすか)は校長室にいた。
「カンナ様、私犯人を考えましたの〜」
「犯人? なんの?」
「カンナ様の恥ずかしい写真を使った聖典を盗んだ犯人です〜」
「そのことには触れないでもらえるかしら?」
 威圧感たっぷりの環菜の言葉におびえる明日香。
「ひ、ひぃ。わかりました。とにかく聖典を盗んだ犯人の動機は、眼鏡が現場に残っているのことから山葉を嵌めるためか事件の展望を見張るためと考えます。犯人がロッカーでバイブルを見つけた場合、関係者全てをつかむ事は不可能でも写真の提供者が山葉である事は明白。関係者を炙りだす為にとりあえず眼鏡を残してきて、罠をはって待っているか山葉を見張っているとした場合仮定に辻褄が合うと考えます」
「それで、犯人は……?」
「犯人は……カンナ様です」
 ピシッ。
 空気が凍りつく音がした。
「あ、あは……ちがったかしら?」
「当たり前でしょう? 涼司の眼鏡はどこから入手するのよ。それにそんな騒ぎが大きくなるまねをしないわ、私なら。もっとスマートな手を使うわ」
「あは……失礼しまーす」
 笑ってごまかし逃げ出そうとする明日香。だが素早く動いた環菜に捕まりお仕置きを受ける。
「みぎゃぁあああああああああああああああ!!」
 合掌。

「神聖な書物!? 人のためになるものは世に広めるべきです!」
 いんすます ぽに夫(いんすます・ぽにお)は勘違いしたまま争奪戦に参加する。
「秘密主義、それが蒼学のやり方ですか!」
 知識は皆で共有するべき、とぽに夫は聖典を探し始め、やがて回し読みしているグループに接触する。
「それが聖典ですか? 僕にも見せてください」
 ぽに夫の言葉に対し、男子生徒は「ああ、いいぜ」と軽く答える。
 そして受け取った聖典を見たポニ男は驚愕した。
「なっ? これはエロ本? これが聖典? どーなってるんですか?」
「聖典ってのは隠語だよ隠語。まさか堂々とエロ本とかいえねーだろ?」
「なっ! なんですとーっ!」
 男子生徒の言葉にショックを受けるぽに夫。
 ガラガラと世界が崩壊する音がする。それでは自分の今までの行動は一体……
「これは、環菜校長のコラージュ写真! ええい、腹いせにこれを蒼空学園のサーバーにアップしてあげます」
 そう言ってサーバールームへと走るぽに夫。この行動が後に大きな問題になることを彼は知らない。

「おーい!! そこのお姉さーん! どっかにH本落ちてるの見なかったか? 最後のページにカンナ様の写真が貼ってあるんだけどさー。あ、そんなことより、この後俺とお茶しない?」
 鈴木 周(すずき・しゅう)は大声で叫びながら女子生徒をナンパする。無論手痛いビンタを一発食らって玉砕したのだが、彼が大声で叫んだことは当然周囲に知れ渡り、それを聞いた生徒たちも争奪戦に参加することになった。罪深きものよ、汝は鈴木 周なり。

「まあ、あんな馬鹿は放っておいて、どうです、校長。私がバイブルを発見して校長の下にお持ちしたら、私を生徒会副会長にしていただけませんか?」
 今度は瀬戸鳥 海已(せとちょう・かいい)鈴倉 虚雲(すずくら・きょん)とともに校長室を訪れてそんな取引を持ちかけていた。
「駄目ね。その程度のことで生徒会人事は動かせないわ」
 だが環菜はすげなく拒否する。
「理事長との兼任は何かと大変だと思いまして。微力ながらお手伝いをと考えたのですが」
「必要ないわ。それに、聖典とやらはあなたが動かなくてもいずれ私の元に集まるわ」
「そうですか……仕方がありません。では、バイブルを持ってきてから改めて交渉するといたしましょう」
 そう言って海已と虚雲は校長室を後にするとバイブル狩りを始めた。
 
「あーーーーーーっ! たく、本はどこだよ」
 山葉 涼司(やまは・りょうじ)は取り巻き連中と一緒にそう叫びながら本を探し回っていた。と、そこへ
 ざっ、ざっ、ざっ……猫八匹を一列に引き連れやって来たのは全裸に薔薇学マントの変熊 仮面(へんくま・かめん)
「どうした山葉、なにをあわてているのかね?」
「実はかくかくしかじか……」
「むぅ! 神聖な書物が無くなっただと? それは一大事……よろしい! 特別にこのトレジャーセンスの付与された羽マスクを進呈しよう!」
 無論大嘘である。
 変熊は自分のスペアマスクをテープで山葉の眼鏡に貼り付け、肩に手を起き元気付ける。
「頑張れよ! ………ぷっ!」
「なにしやがんだ! いるかこんなもん!」
 そういって眼鏡からマスクを取り外す涼司。
「こらこら、人の好意をそう無下にするものではないぞ……と、あそこを行くのは鈴倉虚雲! 虚雲よ、バイブルをかけて勝負だ!」
「ん? なんだ?」
 聖典狩りをしていた虚雲が反応するが事態を理解しえていない。そこへ
「必殺! にゃんこ地獄!」
 変熊が虚雲に八匹の猫をけしかける。
「なんだ、ぬお!」
 驚いて転倒する虚雲の上に、猫が乗っかってくつろぐ。
「ふふふ……貴様が動けばにゃんこ様が悲しむぞ! さぁ、どうする!?」
 苦悶する虚雲。そこに「きゃーっ! かわいー!」という声が聞こえた。
 振り向けばそこにいるのは花音。
「なっ、花音!」
 涼司が花音に反応する。
「涼司さん……」
 猫を抱き上げたまま固まる花音。
「ほら花音、ここはさっき教えたとおりに……」
 アルマ・アレフ(あるま・あれふ)がなにやら花音に耳打ちする。
「はいっ!」
 花音は猫をゆっくりと地面におろすとなにやら一冊の本を取り出した。それは花音メイド写真集。そしてそれを涼司に向かって手渡す。
「あ、あの、涼司さん、さっきは怒ってごめんなさい。でも、あたしは涼司さんにあたしだけを見ていて欲しいんです。だから、これ、あたしの写真集あげるから、環菜さんじゃなくてあたしを見てください!」
「……お、おう」
「男の人ならHな本を見るのは仕方がないって言われました。でも、それでも、他の女の人のことは見て欲しくないから、その、あたしのせくしぃメイド写真集で我慢してください」
「……お、おう」
 驚きつつも頷く涼司。実は数分前、アルマとこんなやりとりがあった。

「スケベじゃない男なんていない、二次元じゃなく三次元に興味がある証拠だから良い傾向だよ。うちなんか家中探してもそういう本無いからさ〜、逆に心配で心配で……」
「は、はあ……」
「おいおい、それはないだろう」
 マスターの如月 佑也(きさらぎ・ゆうや)がぼやく。
「そういう時はね、こう上目遣いで顔を覗き込んでね、『本じゃなくて、あたしを見てください』とか言うの! 確実に落ちるわよ!」
 そして、そのやりとりで伝授されたことを花音は実行したわけだ。

「学校にあんな本持ってくるからこういうことになるんだよ。……あんな良い子が慕ってくれてるんだ。泣かせるような真似するなよ、色男」
 佑也が涼司の肩をぽんと叩く。
「おう。あー、その、なんだ。花音、悪かったな」
「ううん。いいんです。あたしも馬鹿でした。でも、これからもあたしずっと涼司さんの剣の花嫁ですからね」
「おう!」
「涼司さん!」
「花音!」
 ひしと抱き合う二人。一件落着である。
「なわけあるかー。この猫をどうにかしろ」
 虚雲が猫に乗っかられながら叫ぶ。
「はい。猫ちゃんたち、その人の上からどかないと、め、だからね」
 花音がそういうと猫は虚雲の上からどいて飼い主? の変熊の下へと駆け寄りニャーニャーと擦り寄る。
「うおい、なんだ、なにをする」
 猫になつかれ困惑する変熊。
「さて、それじゃあ環菜に見つかる前に本を探して処分しないとな」
 涼司がそういうので花音も手伝うという。
「よし、じゃあバカは放っておいてとっとと行こう」
「そうだね、涼司君。体育館裏とか調べに行こうよ」
 リアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)が友として協力を申し出て一?に本を探していた。
「おう、そうだな」
 と
「きゅ〜きゅ〜」
 とリアトリスのパートナーのゆる族でアザラシのソプラニスタ・アコーディオン(そぷらにすた・あこーでぃおん)がお腹が空いたと自己主張をする。
「どうしたんだ?」
「お腹が空いたみたい。人肌に温めたミルクを飲ませないと」
「あ、あたしやります。ソプラニスタちゃんかわいいー」
 リアトリスの言葉に花音が立候補する。
 そしてどこからか人肌に温めたミルクを持ってくるとソプラニスタに飲ませた。
「きゅ〜♪」
「はぁうぅ。かわいいー」
 花音はソプラニスタを十分に堪能したようだった。
 と、そこへ割って入ってくるものがいた。
「山葉涼司、花音ちゃんを泣かせておいて、未だその本を血眼で探すなんて許さない! 成敗!」
 そう言って破邪の刃を打ち出すアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)
「うおっ! あぶねー。なにするんだよ!」
「問答無用! 破邪の輝きよ、煩悩を断ち切れ!」
 さらに破邪の刃を打ち出すアリア。
「やめてーっ!」
 涼司の前に飛び出してかばう花音。
「きゃあ」
「花音!」
 服の一部が裂ける花音。
「花音、大丈夫か?」
「平気です」
「って、花音ちゃん?」
 アリアがはてなマークを浮かべて二人を見つめる。
「アリアさん、もう仲直りしたから、大丈夫です」
 花音がそう言うと、アリアはようやく事態を理解したらしく二人に詫びを入れる。
「ごめんなさい花音ちゃん」
「ううん。いいよ。あたしのためを思ってしてくれたんだから、怒るわけないよ」
「花音ちゃん!」
「アリアちゃん!」
 女の友情成立。百合園でなくて良かった。
 そうしてしばらく本を探していると、ウィルネストたちのグループが近づいてきた。
「ってわけで本を探してるんだけどよ、山葉、肝心の本のタイトルとか女優とか覚えてね?」
 ウィルネストがそう尋ねると涼司は素直に答える。
「なるほど、大変参考になりました」
 クロセルはニヤリと笑うと、所用ができたと言ってその場を離れていった。それから五分後、全校放送で聖典の特徴がブロードキャストされた。その声の主はクロセルだった。
「クロセル! あの野郎!」
 涼司が怒りで拳を震わせる。これで事態は全校に知られることになった。
「校長の写真にゃ興味ねえが、ここで山葉の弱みを握っておけば、後々役に立つことがあるかもしんねーな。ここはいっちょ俺も本を探すか」
 瀬島 壮太(せじま・そうた)が今までの恨みつらみを晴らそうと涼司をゆするために参戦を決意した。

「……これは……超えてはいけないラインを超えたわね」
 校長室。環菜は怒りでいっぱいの頭で考えを巡らせた。そして放送室へと向かう。
「蒼空学園にいるもの全員に告げる。先ほど放送があった本は偽造のものも含めてすべて私の元に持ってきなさい。そうすればそのものだけは特別に寛恕してあげます。それ以外の者には厳しい処罰が待っていると知りなさい」
 その放送を聞いて緑が頭を抱える。
「ああ〜。だからカンナ様に知られたくなかったのに。クロセルのバカ〜」
「どうする親友? これじゃお前を罠にはめようとしているやつの思うつぼだぞ」
 勝手に涼司を親友認定した前原 拓海(まえばら・たくみ)が慌てて涼司に訊ねる。
「することは一つ。本を探して他の奴らに見つかる前に処分する。それだけだ。行くぞ!」
「わかった。俺もヴァンガードだ。権限はフルに使うぜ。ただでさえ最近ツイてない山葉に罪をなすりつけようとは……例え天が許しても、この俺が許さん!」
 そう言って拓海は走り出す。
「オレにも手伝わせてくれねーか? 他人が困ってるのを聞いて放って置ける程、オレは人非人でも冷血漢でもねーんだよ」
 日比谷 皐月(ひびや・さつき)がそう涼司に問いかける。
「ありがてえ、頼むぜ」
 涼司が感謝を示してそう言うと、皐月はパートナーに声をかけた。
「相変わらず不幸な奴だね。しょーがないから、あたしが手を貸してやるか」
 如月 夜空(きさらぎ・よぞら)は哀れむようにそう言うと、皐月をバイクのサイドカーに乗せて、トレジャーセンスを使いながら校内を巡り始めた。

「校長の昔の写真……ロリの写真……絶対見たい……!! つーわけで、バイブル争奪戦に参加させて貰うぜ! 宝探しだ、りを! 何も言わずに手伝え!」
 サバト・ネビュラスタ(さばと・ねびゅらすた)がロリコンの血を騒がせ、マスターをもだまくらかして争奪戦に参加する。
「わかったー。面白そうだから手伝う」
 栂羽 りを(つがはね・りお)はよく理解しないままにただ面白そうだからと手伝うことにした。そうしてここにまた新たな性戦士が誕生した。
「どけどけどけー。邪魔するやつはぶっ潰す!」
 サバトは叫ぶと争奪戦の中に突入した。
「私も〜」
 りをも突入する。パートナーに騙されていると知らないままに。

「部長が『蒼学男子が必死になって探すくらいだ、きっとすげー奥義書かなんかだぜ!』っ探すよう言ったから探してたけど……何? 写真集かよ?」
 イルミンスール武術部のひとり椎堂 紗月(しどう・さつき)が放送を聞いて呆れたように呟く。
「でも、何か面白そうだしやる気出てきたぜ」
 そう言うと狐の尻尾と耳が生える。超感覚使用時の特徴だ。
「ふふふ〜ん♪ あんだけの男子が必死に追いかけてるんだからすげーんだろうなー♪」
 そして紗月は本の探索を開始した。

「ディテクトエビル! って、邪念がいっぱいだよ〜。エロ男子どもめ〜、邪念を発しすぎ〜」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は邪念を持つものを探して真犯人に迫ろうとしたが、いまの学園は邪念だらけだった。
「仕方が無いよ美羽。僕も手伝うから一?にバイブルとかいうのを探そうぜ」
 パートナーのコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が慰めるように言う。
 そして、にゃん丸がマイトを倒したことで、事態は決定的に動き始める。