天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

ねこぬこぱにっく!

リアクション公開中!

ねこぬこぱにっく!

リアクション

■事件の犯人は学校?

 猫の集まる魔法学校。
 そして、学内に鳴り響く昼の終了を告げるチャイム音。
「やっぱり、この音に惹かれてるのか?」
 廊下を歩きながら、猫が集まる場所を調べている黒崎 竜斗(くろさき・りゅうと)はチャイムが鳴る度にスピーカーの元に集まる猫を調査していた。
「って、こらこら。 猫に釣られない」
「う、だって猫さんが遊んでって……」
 次の場所へ移動しようとした竜斗は黒崎 ユリナ(くろさき・ゆりな)が猫に惹かれ、気が付けば遊んでいる。
「可愛いものが好きってのはわかるけどな?」
「ううっ、この子お持ち帰りしちゃダメですか!?」
 うるうると円らな瞳で竜斗を見つめてくるユリナに竜斗の心は大きく揺らぐ。
「いやいや、どこかの子かもしれないしダメだって」
 よく見れば、ユリナが抱える猫には首輪がしっかりと結ばれている。
 つまりは、学校内か、近くで飼われている猫という事だ。
「はぁい……」
 しゅん、とするユリナを見て竜斗は深いため息をつく。
 原因はチャイム音にあることまでは他の協力者のおかげでわかってきているにも拘らず、エリナが猫に釣られているせいで中々調査が進んでいない。
「何者かが…ねこ達をわたくし達を陥れようとしている。そして、わたくしの推理によれば。その犯人は…そこのうさぎですにゃ!」
「ええ!? 私じゃないですよ、イコナちゃん!」
 謎の推理を見せつけるイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)と謎の冤罪を受けるティー・ティー(てぃー・てぃー)
「ふぅ、全く…」
 そして、呆れたようにため息をつく源 鉄心(みなもと・てっしん)
 どうやら調査がなかなか進まないのはあちらも同じようだ。
「じゃあ、ねこ達に証明してもらいますの! うさぎ、とっとと呼びやがるですの!」
「私じゃないのに……」
 むくれながらも、猫を呼び寄せる為に口笛を吹き鳴らす。
「うさ?」
 すると、辺りが一斉に揺れ出したかと思うと、通路の両側から波の様な量の猫がティーに向かって突撃してきた。
「ね、猫の波が…おのれ、図ったなうさー!!」
「うーん、うさぎは犯人じゃなかったですの…だとしたら犯人は悪魔…! ってなんですの?」
 ティーを飲み込んだ猫のうちの1匹がハガキを咥えてイコナの前に立っていた。
 そのハガキにかかれているのはたった一文。

 ――いえ、私は今回何もしておりませんよ

「へ?」
 イコナがハガキに目を通し、視線を上げると目の前には見慣れた仮面。
「こんにちわ」
「で、出やがったですの! こいつが犯人ですの!」
 サッと鉄心の背中に隠れ、影から顔を出しながら突然現れた悪魔ルナティックを告発する。
「流石に、これはお前じゃないだろうなぁ」
「ええ、その通りです。悪魔の仕業ではございませんよ? まぁ、これはこれで楽しそうですが」
 うふふ、と笑いながら猫達を眺めるルナティックの表情は相変わらず読めないが犯人ではなさそうだ。
「おや?」
 しかし、突然現れたルナティックは猫には嫌われているのか、一斉に敵意を向けられ、威嚇されている。
「え、え、こいつは気持ち悪い?」
 突然の事に猫山に飲み込まれていたティーは、猫の言葉を聞きとり、意味が解らずに驚いているようだ。
「うーん、こまりましたねぇ」
「ねこさん、けんかしちゃだめ!」
 困ったようには見えないが、困り果てたルナティックの元に鬼龍 愛(きりゅう・あい)が割り込むように駆けつけると、猫に向けて叫びだす。
「けんかするとこわくなっちゃう! みんなでうたってたのしくなろう?」
 愛はタンバリンを取り出すと、楽しげなリズムを打ち鳴らしながら歌いだす。
 すると、敵意を剥き出しにしていた猫達はあっという間に落ち着いたかと思うと愛の奏でる演奏会に参加し始めた。
「あははっ、みんなでうたうとたのしいよね!」
「よかった、愛ちゃんも楽しそうで」
 愛が猫と楽しそうにする姿を見て、鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)は嬉しそうだ。
「ええ、楽しいという感情は素敵です」
「お前が言うと、不吉に感じるがな?」 
 鉄心の突っ込みに、不敵な笑みを返すルナティック。
「あ、さっさと猫に悪魔が犯人だって聞くですの!」
「う〜さ〜……」
 ふと、思い出したようにイコナが叫ぶが、肝心のティーは猫の演奏会に巻き込まれてそれどころではない。
「肝心な時に役に立たないうさぎですの……」
「ま、遊んでからでもいいんじゃないですかね?」
 そう言って、貴仁はイコナに向けて猫じゃらしを振る。
「なんですの、それ……?」
「ほーら、鰹節もありますよー?」
「わたくし猫じゃないですのーっ!」
 イコナが顔を真っ赤にして叫び、貴仁は楽しそうに笑う。
 そんな傍で猫山に向かって目を輝かせているユリナと埋まるティー。
 ルナティックは愛の楽しそうな様子を見てご満悦といった様子だ。
「…行くか?」
「このままだと事件が解決しそうにないしな、行こうか」
 結局、遊びだしてしまった面子は見ないことにし、竜斗と鉄心はチャイム音を変更する為に奔走する事にした。