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ラスボスはメイドさん!?

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ラスボスはメイドさん!?

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洞窟を守るもの
「ああ、ようやく洞窟の入り口が見えましたわ!」
 まゆみ一行はようやく、ぽっかりと黒く口を開けている洞窟の入り口が見える所までやって来た。
「さあ、ここからは洞窟探検ですね。気を引き締めて行きましょう!」
 おおー! と、パーティメンバーから声が上がる。
「では、このまま洞窟に入ります!」
「……待て」
 人影が、まゆみの前に立ちふさがった。
「今度は……誰ですの?」
「俺はこの洞窟の番人だ。あんたがこの先に進ませるにふさわしい人物かどうか、試させてもらうぜ」
 洞窟の番人・トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)が、にやりと笑ってまゆみに言った。
「この先を進みたければ、あんたの仲間を一人、俺に差し出しな。……出来れば、女の子ね」
「え、ええ?」
「それが、この先に進むための条件だ。できなきゃ道は開けてやらねぇよ」
 まゆみは、一度仲間の方を振り向き、そして再びトライブの方を向き直り、答えた。
「……できません」
「ほぅ? 先に進めねぇよ?」
「私の大切な仲間を、生け贄として差し出すようなこと、できません!」
「……ふぅん」
「私たちは確かに、娘さんを助けに行かなくてはなりません。でも! そのために私が生け贄を差し出すようなことがあれば、それは娘さんを攫った人たちと同じ罪ですわ!」
 にらみ合うまゆみとトライブ。
 しばしの沈黙の後……。
「……正解!」
「え?」
 パァン! トライブがクラッカーを鳴らして拍手した。
「あんたが勇者にふさわしいかどうか確かめさせてもらったんだ。私利私欲を捨てて、仲間ために理不尽に立ち向かう義の心。それさえ覚えていてくれりゃ、仲間もきっと力になってくれるさ」
「それじゃ、ここを通していただけるの?」
「もちろんさ。そして当然、俺もその仲間の一人なんだから、ピンチになったら何時でも呼びな」
 トライブは笑顔でまゆみに道を開けた。
「……ありがとう、洞窟の番人さん!」
 礼を言って、まゆみが道を通り過ぎようとした、その時!
「隙あり!」
 ひゅん、べしゃ。
 まゆみの足元に泥団子が飛んできた!
「な、何!」
 思わず動きを止めてきょろきょろするまゆみたち。
「ふふ、道を開けてくれてご苦労さま」
 剣士ことのは一行が、木陰から飛び出してきた!
「ああ、剣士ことのはっ!」
 ことのははいかにも悪者っぽくにやりと笑って言った。
「この洞窟に入るには、番人をどかさなければならないということは知っていた。だから、ここに隠れて、貴様らが番人をどけるのを待っていたのだ!」
 言いながらことのはたちは、既に洞窟に向けて走り出している!
「あ、ああ! 待って!」
「貴様らには刺客をくれてやろう! 傭兵つばさよ!」
 ことのはに呼ばれて、傭兵役風間 つばさ(かざま・つばさ)が前に出た。
「はっ。ことのは様、ご命令を!」
「我らがのんびり洞窟へ行けるよう、ここでまゆみの相手をしてやるのだ!」
「心得ました!」
 つばさがまゆみの前に立ちふさがり、その間にことのは一行は洞窟の方に向かってしまった。
「ど、どいていただけませんか?」
「ことのは様の命令には忠実に従わねばならない。すまないが、どくことはできん!」
「くっ……。早く追わなくちゃならないのに……」
 まゆみは焦る気持ちをどうにか抑え、つばさと向き合った。
「わかりました、傭兵さん。では、正々堂々と勝負です!」
 まゆみは覚悟を決めて、つばさに勝負を挑んだ!
「じゃーーーんけぇーーーーーん……」
「へ?」
 突然のことに目を丸くするつばさ。
 まゆみはかまわず続ける!
「ぽんっ!」
 呆然としたままのつばさは、グーのまま手を突き出してしまった。
 対して、まゆみは……パーを出している。
「……勝負には勝ちました。そこをどいていただけますね?」
 じりじりと後ずさりするつばさ。
「ま、負けた……あっさり負けたぁぁ……」
 くるっ。つばさは後ろを振り向いて走り出した!
「うわあぁぁん! おぼえてろーーー!」
 傭兵つばさは、泣きながら走り去った……。
「私だって勇者です! 強いんですからっ!」

 ことのはの刺客に勝ったまゆみ一行は急ぎ足で、洞窟の入り口に向かった。
「この先に進むんだったら……道具はいらんかい?」
 道の端に、屋台の道具屋がある。
 店主の佐野 亮司(さの・りょうじ)が、まゆみに声をかけた。
「んー、確かに、手持ちの道具では、洞窟探検には心許ないですわね……」
 屋台には懐中電灯、携帯食料、銃(エアガン)や剣(プラスチック製)が並んでいる。
「この剣は……!」
 まゆみは目を輝かせ、プラスチックの剣を手に取った。
 子供がヒーローごっこをして遊ぶのに丁度よさそうな、飾りがたくさんついた派手な剣……のおもちゃだ。
「こんなところで、こんなにも素晴らしい名刀と出会うなんて!」
「目が高いな。そいつは代々勇者といわれた者が手にしてきた伝説の剣だ」
 伝説の剣がどうして屋台に売っているのかというツッコミはしないように。伝説の名剣が何本も出てくるのが、RPGの王道的な展開であるのだから。
「この剣をいただきます!」
「まいど。それじゃあお代は……」
「代金はこれで!」
 ぽんっ。まゆみが亮司に手渡したのは……ぴなふぉあ空京店の文字入れカプチーノ無料チケットと、まゆみのラミネートカードだ。
「え、あの……これじゃあ……」
「確かにお支払いしました。じゃあ、この剣をいただいていきますね!」
 にっこり。まゆみは亮司に笑顔で礼を言い、伝説の剣を手に入れた。

 いよいよ洞窟の入り口までやってきたまゆみ一行!
「さあ、行きましょう!」
 明かりを持っている者が前に出て、いざ洞窟の中へ進もうとした……その時。
「もしもし。この先は危険ですよ。物いりではありませんかな? イッヒッヒ」
 洞窟の真横で、七瀬 瑠菜(ななせ・るな)が、道具を広げて店を出していた。
 懐中電灯、何かの棒、手作り弁当などが並んでいる。
「イヒヒ、便利なもんが揃っとるよ。安くしとくから買っておいた方がいいんじゃないかい?」
「あ、ごめんなさい道具屋さん。さっき、向こうの道具屋さんで買っちゃいました」
「へ?」
 呆然としている瑠菜を横目に、それじゃあねと手を振ってまゆみは通り過ぎてしまった。
「お、お店出す場所間違えた……」

「まゆみさん! 私はここで待たせていただきますわ」
 まゆみに同行していた西条 詩織(さいじょう・しおり)が、洞窟の入り口に立ち止まった。
「詩織様、どうなさったのですか?」
「皆さんが洞窟を探検なさっている間、ここを警戒する者も必要でございましょう」
 確かに、誰かが出入り口に残らないと危険かもしれない……。まゆみはうなずいた。
「じゃあ、ここはお願いします」
「いってらっしゃいまし〜!」
 詩織はまゆみ一行を見送った。
「……さて」
 まゆみたちの姿が見えなくなった後、詩織は瑠菜の道具屋へと走っていった。
 瑠菜は、ひとつも売れなかったため、ちょっとしょんぼりしている。
「道具屋さんっ!」
 瑠菜に声をかける詩織。
「そのお弁当、全部買わせていただきますわ!」
 詩織が指さしたのは、瑠菜が売り物として並べていたお弁当。
「……へ?」
 ぽかーんとしている瑠菜。
「それじゃあ、そろそろ準備を始めるか」
 いつの間にか、先の道具屋役だった亮司もやって来ていた。
「ええ。皆さんが探検しているうちに、こちらも準備しておかなくちゃ!」