リアクション
10.森・トレント達の詩
さあ、獲物が来た!
さあ、人形にしろ!
これぞ我ら、呪いを受けし永劫の命ある者の定め。
神様、女王様、もういない。
森の総ては、「魔術師」のもの。
さあ、獲物が来た!
さあ、人形にしろ!
これぞ我ら、呪いを受けし永劫の……
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「いま、何か聞こえませんでした?」
ナナは不安そうに一同を振り返った。
いや、と彼らは首を振った。
耳を澄ますが聞こえない。
「そう、でしたか。歌声が聞こえた様な気がしたものですから」
「歌? 気のせいじゃなくて?」
霧雨 透乃(きりさめ・とうの)はコロコロと笑う。
森への侵入前に透乃はエルと共に「殺気看破」を使い、敵の襲撃に供えていた。
だが反応はない。
『呪い』のためだろう。
殺気に満ち溢れていて、どれが本当の「殺気」なのか見当もつかないのだ。
「まあ、こんな場所なら、空耳くらい聞こえるかも? ですね」
とは陽太の言。
「大丈夫だよ、ナナちゃん〜。何かあってもボクは強いからね〜」
鼻の下を伸ばして、エルはさり気なくナナの肩に手を回し、一同はゲッといった面で見る。
一行は奥の闇へと侵入して行く……。