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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第1回/全2回)

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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第1回/全2回)

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「話をきいてくれないか…俺、女に危害を加えるつもりないんだ。それに俺はミケさんと話しに来たんだ。道をあけてくれると助かる」
「残念ね。素敵な坊や。…肩の力の抜けた感じがいいわ。でも私は肉食系なの。あなたが私のつま先でも舐めるっていうなら、話は別よ。…それにしてもあなたとは、あと10年ほどしたら、もっと素敵なことが出来たかもしれないわね。それに、ミケロットは精神的に弱すぎるわ…優しいと言えるでしょうけれど、あなたみたいな人に会わせると、ケセアレ様に刃向かうかもしれない」
 鞭を失ったアンジェラは、テレクを手にし、また、ベアトリーチェがボウガンで政敏に狙いを定めたまま、膠着状態は続く。
「…あんたたちにも、ミケさんはそんなふうに見えているのか…いいぜ。土下座だろうが、あんたのつま先だろうが舐めてやる。ただ、お願いだ。ミケさんとの間に、俺はわだかまりを残したくない」
 その言葉にアンジェラに腹心であり、東欧系の美女の血が混じっているらしいコンスタンツァが耳打ちをする。
「アンジェラ、悪くない話だわ。この子にミケロットをどうにかして貰うのも一つの手よ」
 どうやら、アンジェラ隊にとってミケロットは信用のならない人物として認識されているのが、政敏にも理解出来た。
(ミケさんは悪い人じゃない…それはアンジェラの言葉からも解る…ただ、そのミケさんの『弱さ』『優しさ』が、アンジェラたちにも不安要素になっているんだ…)
 しばらく考えていたアンジェラに、イライラしたのか、リーン・リリィーシア(りーん・りりぃーしあ)が、手甲にもウェポンをつけて体術でかかってくる。
 恐らく、政敏にちょっかいを出すようなことを言われたのがシャクに触ったのだろう。
 しかし、リーンの蹴りをコンスタンツァは一発で殴り飛ばす。
「あう!」
「リーン!」
「お嬢さん、ジェラシーも解るけれど、これ以上は無駄な戦いよ。…私たちは、確かにケセアレ様の部下。だけれど、ネッリ、バッソ達の生え抜きのケセアレ様配下とは違い、『傭兵』に該当するの。雇われの身なのよ。…あなたたちが上手く、ミケロットを始末なり、説得なりして、この場を収めてくれれば、話を聞かないわけでもないわ」
「それはケセアレ・ヴァレンティノに対しても言えることなのか」
 吹き飛ばされたリーンを介抱すると、政敏はそう、アンジェラたちに告げる。
「ええ。ただ、私たちはまだ、ケセアレ様の部下であることは確か。でも、面白いわ。いきなさい。特別にあなたたちは許してあげる。…恐らく、このままだと左の展望台、ここは既に占拠されかかっている。右は…色々と無理ね。それに中央部は思った以上に脆いから、正直、あなたたち側に勝算があると私たちは踏んでいる。…だから、すぐに私たちも『王座の間』に呼び戻され、警護に当たることになるでしょうね。私たちはこの浮遊島、ケセアレ様とも生死を共にする気はないの。緋山 政敏に、リーン・リリィーシアといったかしら? この借り、返すなら通してあげるわ…でも、ケセアレ様の説得はほぼ、無理でしょうね。あの方は頭も良く、素晴らしいカリスマ性を持っているけれど、今回は自分を見失っている。私たちはそれに巻き込まれたくないのよ。じゃあね」
 アンジェラは黙ったままだが、コンスタンツァがそう告げると、一瞬、政敏に迷いが見えたが
「ほら、そろそろ行くよ! 政敏! ミケさん先輩とちゃんと話しに行かないと」
 リーンが促す。
「『王座の間』、無事にたどり着けるといいわね」
 コンスタンツァにベアトリーチェ、マリアがふたりを目で追ったが、すぐに視線を外す。
「アンジェラ、ケセアレ様から『王座の間』の警護にくるよう、指示があったわ」
 携帯のヘッドセットを通して、コンスタンツァがつぶやく。
「了解。この左の展望台は放棄する! すぐにアンジェラ隊は特別経路で『王座の間』へ迎え! しんがりは私がつとめる!」
 一気にアンジェラ隊は左の展望台を捨て、隠し扉の石を開けると、そのまま姿をくらました。




【第4章 中央部 バッソVSダンツオ】




 黒脛巾 にゃん丸(くろはばき・にゃんまる)が目指すは【中央部】上空から煙幕ファンデーションを撒き散らし上陸隊の援護だった。煙幕で視界を奪えばスクリーン代わりにもなり、赫夜なら有利な接近戦に持ち込める。そうふんだにゃん丸は赫夜に近づいて叫んだ。
「俺じゃ、本当の真珠の心を取り戻す事は無理だ。それができるのは赫夜、君だけだ。頼む!」
 伸ばした手の先には赫夜の胸が…
 バコッ! 赫夜の拳がにゃん丸を襲った。
「…傷が! 傷が開く!」
「あんたねえ! …余計な世話焼かせないでよ!」
 リリィの声が聞こえる。
 赫夜は
「すまない、つい、条件反射で!! ほ、ほら、元気が出るというなら、さ、触ってみるか!」
「赫夜さん、なんてことを!」
 さすがの佑也もジェラシーなんだか、羞恥心なんだかよく分からなくなっているようだった。
「赫夜も色気がない!! それに、にゃん丸も照れるぐらいなら言わなきゃいいのに…」
 赫夜とのやり取りを見て呆れ顔のリリィと佑也だった。

 
 『アルマゲスト』の一員、橘 恭司(たちばな・きょうじ)は中央部への突破への露払いの役を担当した。
「人様の幸せを邪魔する輩にはお仕置きが必要だろ? まずは俺がみんなのために道を切り開く…!」
 飛空挺からダイブしつつ、【バーストダッシュ】で前進しつつ着地時の襲撃の緩和をする。
 それと同時にノイン・シュレーカー(のいん・しゅれーかー)が飛空挺から4つある加速ブースターの内の2つである程度の高度まで上昇すると、降下開始前に【アルマゲスト】メンバーに連絡を入れた。
 上昇に使っていたブースターをパージ、残りの2つで降下開始。有効距離に入ると、六連ミサイルを2弾同時発射し撃ち終るとパージしてしまい、中央部へ無理矢理着陸すると、その重量で中央部展望台は軽く地鳴りがする。
 そして、そのまま増援が来るまで、白兵戦を展開し始めると、連絡を受けたリース・アルフィン(りーす・あるふぃん)はまずは、雑兵を片付けはじめる。次々に繰り出される魔法攻撃に、雑兵達はひとたまりもない。
(藤野姉妹…私はあまり関わった事ないけど、聞いた話だと佑也さまとお姉さんの赫夜さんがいい仲だって…私としては、佑也さまには本当に幸せになってほしいですし、応援してます。なんか、ちょっと羨ましいですね。それに、アルマゲストの皆にも、友達として、組織の一員として協力したいからね。私も仲間に入れてくれた皆に、せめてもの恩返しが出来たら!)
 心と姿はおっとりと優しいが、攻撃には容赦がない。ノインのSPタブレットを借り、
「雷雲に住まう精霊よ…力を貸して!」とサンダーブラストを繰り出し、「吹雪よ…敵を殲滅して!」とブリザードを浴びせる。
れる。
 ノワール クロニカ(のわーる・くろにか)は、そんなリースのサポートにあたった。
「これで…元気になって。そして、力を…貴方に…」
 と、詠唱する。恭司やケンリュウガーこと、武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)ら『アルマゲスト』のサポートにもあたる。

 ヒーロー衣装【ケンリュウガー】を纏った武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)は、展望台へ降下すると、藤野赫夜と行動する如月佑也を中心としたメンバーが王座の間に辿り着けるようにリースと橘でバッソ隊を引付けることに専念した。
「リース! 無茶はしないように!」