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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第1回/全2回)

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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第1回/全2回)

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 バッソ隊は、アルマゲストの攻撃に千々にやられ、赫夜の存在に気がつくものは少なかった。しかし、さすがにバッソとダンツオが赫夜の姿を認める。
「来たな、藤野赫夜!」
 その声に、隊士達が赫夜を狙いにやってくるが、その赫夜の前に自らを盾として立ちはだかる姿があった。
 グレン・アディール(ぐれん・あでぃーる)ソニア・アディール(そにあ・あでぃーる)李 ナタラス・サング(らす・さんぐ)である。
 四人は中央部へ乗り込む赫夜の護衛を買って出たのだ。
「赫夜…お前は俺達が護ってやる…だからお前は真珠を助ける事だけを考えてろ…」
 物静かだが、心に熱いものを秘めるグレンの声が静かに響く。
「赫夜さん、私達もお手伝いします」
 優しげな風貌でありながらも、毅然とした声で宣言するソニア。
「俺達はあんたを守る! 言っておくが人に首刀を入れておいて、その上『来るな』とか『守るな』なんて言ったら、絶対に許さねぇぞ」
 にやっと笑ってみせるナタ。
「我輩は赫夜お嬢ちゃんや真珠お嬢ちゃんの事は話でしか知らん…しかし! グレン達がお嬢ちゃん達の力になりたいと望んだ! 友の望みは我輩の望み! ならば!その望みに対して全力で応えるのみ! お主の為なら我輩達は何処までもついて行こう!」
 ゆる族でありながらも、サングラスにストイックな佇まいのラスが最後にそう言った。
「グレン殿、ソニアさん、ナタ殿、ラス殿!!」
「いくぞ!」
 グレンは、白兵戦となったため、ヒロイックアサルト『火尖槍』で遠ざけると、敵の攻撃は盾で防ぎつつ、ハンドガンのライトニングウェポンを次々と使用。するとソニアがミサイルポッドとメモリープロジェクターで本物のミサイルと投影した大量のダミーミサイルを敵守備隊に撃ち込み、相手を体勢を崩す。
 ナタはディテクトエビルで常に周囲を警戒しながら、ソニアのミサイル攻撃後、敵守備隊に突っ込み、煙幕ファンデーションとアシッドミストで敵をかく乱させた。
「酸の濃度は最小限にしといてやった、感謝しな!」
「なっちゃん、では我輩は光学迷彩を使い敵陣に突撃しよう」
 ナタのかく乱攻撃後、煙幕の中で隠れる、現れる、隠れるを繰り返し、スウェーで攻撃を避け、敵の同士討ちを誘う。
 しかし敵もさるもの。オートマティックライフルを構えたバッソと部下達が周囲に壁を造り始め、赫夜やグレンたちを狙い撃ちにしようとする。
「くそ!」
 そこに御凪 真人(みなぎ・まこと)が、小型飛行艇から飛び降りてくると、サンダーブラストでその包囲網に穴を開けたのだ。
「早く行って下さい!」
「真人殿!」
「私たちに任せて、赫夜!」
 セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)もそう叫ぶと
「ここは通行止めです。通りたいのであれば高くつきますよ」
 真人は敵に向かって冷静に言い放つ。しかし、真人もセルファも自分に対する怒りで充ち満ちていたのだ。
「今日の俺は容赦が出来ないようです」
 目の前でシャムシェルに真珠を奪われたこと、それにふがいなさを感じているのだ。
「はやく行け! 赫夜!」
 グレン達に続いてソニアが言う。
「ここは私たちに任せて!」
「みんな…恩に着る!」
「佑也! にゃん丸! 頼んだぜ!」
 ナタの声に佑也もにゃん丸もさっと手を上げて答えた。

 セルファはつぶやく。
「別にシャムシェルってヤツにムカついてる訳じゃないわよ。あの時、気づいてたのに何も出来なかった自分にムカついてるの」
 そしてセルファは小型飛空挺を足場にしてバーストダッシュとヴァルキリーの飛行能力を使って八艘跳びの要領で敵陣を切り裂いていく。まさしく、牛若丸、源義経の再来のようにも見えた。そして真人の範囲魔法のタイミングに合わせ、離脱と突入を繰り返す。
「真人、先に行ってなさいよ。私? こんな奴等さっさと倒して追いかけるわよ…悪いけど、バッソ隊? だったっけ? あんたたちに手加減なんて出来ないわよ。怪我したくなければ道を開けなさい!」
 真人はセルファの言葉と、グレンやソニアたちからも「いけ!」「いって頂戴!」と言われ、最後に目くらましにファイアストームを使うと、そのまま駆け出した。

 赫夜たちは、一旦、隊士たちの輪から抜け出ることが出来、中央部への道を探す。
「みなさん、大丈夫ですか!」
 赫夜たちの上空から声がする。
 小型飛行艇をふわっと降ろすと影野 陽太(かげの・ようた)は共闘し、赫夜をサポートするために駆け寄ってくる。
「…陽太殿…傷は大丈夫か!」
「ええ、すっかり。…環菜校長が特別な薬を下さって、早く良くなって赫夜さんたちを助けろって!」
 陽太は行ってきます、環菜校長、と旅立つ時にこっそり呟いたのだった。
 環菜信者の陽太は輝くような笑顔を見せると、「弾幕援護」「情報撹乱」特技「銃器」使用し、戦闘にも加わった。

 ウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)は中央部の上空から切り込む。敵の集団の真上に来たところで、剣を下にして飛び降りると、禁じられた言葉+紅の眼のファイアストームを使い、炎を纏いつつ着地の瞬間、地面に向かって封印解凍+爆炎波を使い、地面を砕き、かつ猛烈な衝撃波と爆炎が敵を襲い吹き飛ばしてしまう。反作用と爆撃による衝撃が返ってくる前に超感覚を使って受け身を取りつつ、奈落の鉄鎖で重力の影響を減らし、吹き飛ばされながら体にかかる負担を激減させる、まさに神業の一撃であった。
下手をしたら死に兼ねないワザだが、完璧にマスターしているので、ウィングは軽々とこなすと、次々に中央部の隊士たちを斬りつけていく。


 虎鶫 涼(とらつぐみ・りょう)は途中まで、赫夜と赫夜の清符を守る為、行動を共にしていたが、途中から、バッソとダンツオ決裂のために別行動を起こしていた。
(真珠が連れ去られるとはな…。友達として、助けないわけがないだろう)
 そしてダンツオや庶民層の兵をこっそりと探し出し、密かに情報撹乱を使う。
「ダンツオとか言ったな…こんな所で油を売っていていいのか、庶民派リーダー」
「なんだと!?」
 バッソに比較しても明らかに、たたき上げと見える日に焼けた顔をしたダンツオは、警戒し、涼に短機関銃を向けるが涼は【殺気看破】で自分への攻撃だけを迎撃し、【チェインスマイト】でダンツオの武器を弾き飛ばす程度に留めた。
『この戦いが終わった後、庶民層の評価を下げるそうだ…』
 リリィ・ブレイブ(りりぃ・ぶれいぶ)は、ツインスラッシュで武器を弾き飛ばしたりする程度にし、涼をサポートする。

 涼はその間にも、庶民層が後々不利になるような情報を周りに流して混乱を図る。明らかに庶民層は重なる情報攪乱と今までの上級隊士たちとの軋轢が溜まっていたのか、ざわざわと動きも鈍くなっていく。さらに「こんな事をしている暇ではないんじゃないか?」と吹き込んで行く。