リアクション
エルの元につくと、ホイップはまた顔を赤くしていたが、さっきのミレイユのように深呼吸を1つした。
(よしっ!)
心の中で気合いを入れる。
「エルさん!」
ホイップの声を聞くとエルは灰から戻り、ふらふらと立ち上がった。
「ごめんね」
「やっぱり……振られ……」
エルはホイップの言葉で灰になりかけた。
「ち、違うの! あのね、さっき突き飛ばしちゃって……それと、振ったわけじゃない……よ?」
ホイップが言うと、エルはまた灰状態から復活した。
「えっと……その……私もエルさんが……あの……その……す、好きです!」
ホイップは言いきると顔を赤くしてうつむいてしまった。
「え……それじゃあ……」
「うん……よ、宜しく……ね?」
ホイップが上目づかいでちらりとエルを見る。
「よっしゃーーーーーーーっ!」
エルはホイップをぎゅっと抱きしめた。
その様子をにまにましながら眺めているのは幸、陣、リース、ノワール、蒼、恭司、菫、ルカルカ……他にも今回、エルやホイップを応援していた人達は全員だ。
ちょっとさみしそうに見ていたのはカレンとホワイトだ。
抱きしめたホイップに顔を近付け、今度こそ口づけをしようとエルが試みた。
ホイップは逃げない。
「はーい、ストーップ!」
キスは結婚情報誌で遮られてしまった。
やったのは菫だ。
「教えてあげる! (義)妹たちはお兄ちゃんの邪魔をしてもいいのよっ」
そう言うと、菫は良い笑顔で逃げ出した。
「何かいやなことがあったら、連絡してきてくれれば、妹総出でおにいちゃんにお仕置きしてあげるから。ふふふっ」
リースも側に来て、それだけを告げると菫と一緒に逃げ出した。
エルとホイップはふふっと笑う。
「えっと……ホイップちゃん。呼び捨てで呼んでも良いかな?」
「う、うん。私も……良い?」
「勿論」
「それと……浮気したら許さないから」
ホイップは笑顔なのだが、黒いオーラを纏っていて……怖い。
「……はい……しませんです」
エルは小さくなってしまった。
部屋の中は笑いで包まれた。
ホワイトは笑いながら、涙を少し流す。
蒼がそれに気が付いて、何も言わずにぬぐった。
「ありがとうございます」
「うん……」
ホワイトはそう言うと、ホイップとエルの元に駆けだした。
「あの……ホイップ姉様って呼んでも良いですか?」
「えっと……う、うん」
ホイップはホワイトの申し出に戸惑いを見せながらも了承した。
ホワイトの涙の理由はホイップには分からないだろう。
温泉では芳樹とアメリア、『金烏玉兎集』、マリルがのんびりと湯に浸かっていた。
そこに天音とブルーズが入ってきた。
「ふぅ……あ、ホイップとエルがくっついたみたいだよ」
「そうか……」
天音の言葉を聞き、芳樹は1つ頷いた。
アメリアも嬉しそうだ。
あまり面識のない『金烏玉兎集』とマリルは首をかしげていた。
「ここの温泉の元とか売ってるのかな」
「ああ、それなら……」
天音が言うと、芳樹が何かを言おうとした。
「それなら、買わずとも良い。好きなだけ持って帰れ」
言葉を遮ったのは鄙だ。
「良い月だ……こんな日に野暮な事をいうんじゃない」
鄙はそういうと、定位置のしだれ桜の下へと向かって行った。
芳樹と天音は帰りにかなりの量の温泉の元を持って帰ったようだ。
「ふはははは! 宜しく頼む!」
牙竜は廊下で携帯電話を切った。
まだ冥土漢の洗脳が解けていないようで、いつもの口調と違う。
どうやら、どこかに送り付けた写真の確認をしたようだ。
ルイは部屋の中でにこやかに頷いていた。
そんなルイの頭をセラエノ断章はうっとりと撫でまわしている。
「なんか気持ち悪いよ」
リアの言葉は届いているのだろうが、全く動じない。
「これはやっぱり」
「やっぱり?」
セラエノ断章がルイの言葉を反芻する。
「ルイ☆スマイル!」
ルイの最大の笑顔とポーズで今回の話しは無事に終わったのだった。
皆さま、最後も遅れて本当に申し訳ありませんでした。
今回の話しで十二星華編は一段落となりましたが、いかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけましたでしょうか?
皆さんの色々な想いの形。
本当に色々な形で、書いていてとても楽しかったです。
これからのホイップのお話がどうなるか?
勿論、秘密です!
ただ、なるべく早く告知はさせていただきますので、宜しくお願いします。
リアクションの裏話、シナリオガイドが出るよりも早い次回予告は『蒼い予告編』を検索してみてくださいませ。
ではでは!