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リアクション
■□■□■□■□■
鹿にコウモリの羽のキメラと対峙しているのは瓜生 コウ(うりゅう・こう)、高月 芳樹(たかつき・よしき)、アメリア・ストークス(あめりあ・すとーくす)、伯道上人著 『金烏玉兎集』(はくどうしょうにんちょ・きんうぎょくとしゅう)、マリル・システルース(まりる・しすてるーす)だ。
「金ピカ達は無事に屋敷の中に突入できて良かったよ」
「そうだね。さて、僕達に出来ることをやらないとね」
コウが言うと、芳樹が返した。
芳樹達の眼前には空中でコウモリの羽をはばたかせ飛んでいる鹿の体があった。
キメラはしばらく様子を見ていたかと思うと、いきなり滑空してきた。
その先にはマリルが居る。
マリルは悲しみの歌を歌い出した。
キメラの滑空は少しだけ遅くなったように見受けられる。
しかし、重力がある為か攻撃の威力はそれほど落ちているようには見えない。
「わらわがやりますじゃ」
『金烏玉兎集』が、他の人達が行動しようとしていたのを制し唱える。
マリルにぶつかる寸前、キメラの脇腹に氷術で作られた氷の塊がぶつけられた。
氷の塊の勢いで、キメラは態勢を崩し、マリルの横で地面と激突した。
そこへコウが追い打ちを掛けるように火術を放ったが、これは気づかれ上空へと逃げられてしまった。
翼をはばたかせ、攻撃する機会を狙っている。
芳樹はキメラに向かって手を叩いた。
「こっちだ。相手してやる!」
そう言うと、遠当てをキメラに向かって放った。
キメラは自分が攻撃されたことに怒ったらしく、芳樹の狙い通り突っ込んできた。
芳樹しか目に入っていないようだ。
待ってましたとばかりに皆、キメラに狙いを定める。
キメラが芳樹に接近してきた。
そこへアメリアがキメラの体の下に入り込み遠当てでキメラを打ち上げる。
『金烏玉兎集』が雷術を撃ちこんだ。
コウは雷術で痺れているキメラをたたみこむように氷術によって全身を凍らせた。
落下してくるキメラ。
キメラの下に入りこんでいたアメリアはもうどいている。
キメラが落下して氷が砕ける。
すると、息も絶え絶えな体が出てきた。
とどめは芳樹がライトブレードで首を切り落としたのだった。
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「黄金の鉄の塊で作られたゴーレムが貧弱契約者に負ける筈が無いわ! さあ、ルーシーと遊びましょう?」
リュシエンヌはシャガから借りた黄金の鉄の塊で作られたゴーレムに突撃命令を出した。
このゴーレム、屋敷の2階部分の高さまであり、かなり大きい。
ゴーレムの前にいるのは早川 呼雪(はやかわ・こゆき)、ファル・サラーム(ふぁる・さらーむ)、黒崎 天音(くろさき・あまね)、ブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)、和原 樹(なぎはら・いつき)、フォルクス・カーネリア(ふぉるくす・かーねりあ)だ。
ゴーレムは大振りのパンチを繰り出した。
天音とブルーズがいる場所への攻撃。
2人は横へ跳び、避ける。
パンチは2人は当たらず、地面への攻撃となった。
地響きが起こり、ゴーレムが拳をどかすと地面は20センチほど窪んでしまっていた。
天音はパンチを避けるとともにシャガの方へと駆けだしていた。
「どこに行くのかしら?」
それをリュシエンヌが立ちはだかる。
手には黒い大鎌の光条兵器が握られている。
天音が近づくと、それを振り被り攻撃してきた。
慌てて避けるが当たりそうになる。
突然、リュシエンヌのそばが炎に包まれた。
ブルーズがファイアストームを放ったのだ。
「やっぱりこの人数には不利過ぎるわね……じゃあね! ゴーレム、あと宜しく!」
なんとリュシエンヌは炎が壁になっているのを幸いと洋館の方へと駆けだしてしまった。
(やれることをやっておかないと)
リュシエンヌはそう呟くと洋館の背後へと回って行ったのだった。
それを天音達は追わない。
それよりも、このゴーレムがやっかいだ。
さきほどから樹が光術やバニッシュで攻撃をしたり、フォルクスがブリザードを放っていたりするのだが、まったく効いている様子がない。
ゴーレムから繰り出されるパンチは遅いものの、もし当たってしまったら、恐ろしいことになるだろう。
「ファル!」
「うん!」
呼雪がファルに言うと、ファルはゴーレムの背後に回り込んだ。
「えいっ!」
ファルはゴーレムの顔目がけて何かを投げつけた。
ゴーレムは避けられず、顔にもろ当たってしまった。
当たるとボフンと粉の様なものが飛び出した。
キノコの胞子だ。
ファルが投げつけたのはキノコだったのだ。
暫くして胞子が薄くなってくると、ゴーレムはその動きを止めた。
バランスを崩したゴーレムは前のめりに倒れた。
地面に巨体がぶつかると大きな音と土煙を上げてバラバラになってしまった。
天音はシャガの方を見る。
そこではリアが爆弾に苦戦を強いられているようだ。
天音はドライバーを手にして、隠れ身を発動させた。
そっとシャガに近づく。
「大丈夫!?」
樹はリアに当たりそうな爆弾を氷術で凍らせ、防いだ。
「ちっ!」
シャガは盛大に舌打ちをする。
次の爆弾を取り出そうと鞄を漁っていると、首元にひんやりとした感触が伝わり、シャガの動きが止まった。
シャガの背後にいたのはドライバーを手にした天音だった。
「さあ、観念してもらおうか」
天音の言葉を聞き、大人しく……すると見せかけて逃げ出そうとするシャガ。
「往生際が悪い」
「まったくだ」
フォルクスの言葉にブルーズが賛同の意を表す。
フォルクスは氷術を使い、首を残して全てを凍らせてしまった。
ブルーズはその身を蝕む妄執でシャガの動きを止めようとした。
しかし、何故か反応がおかしい。
顔が紅潮している。
ティセラにおしおきされている幻でも見ているのだろうか。
その様子にブルーズはどん引きした。
とりあえず、シャガは大人しくなったのだ。
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リスのキメラを追って行った栗はある場所に到着していた。
高い塀と鉄線。
何やら怪しげなその場所にキメラは逃げ込んでいった。
栗は見張りの者に見つからないようにこっそりと、茂みから顔を出す。
入口には『ジィグラ研究所』と書いてあった。
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