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【相方たずねて三千里】懇親会でお勉強(第1歩/全3歩)

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【相方たずねて三千里】懇親会でお勉強(第1歩/全3歩)

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1.懇親会が始まります

 一通の招待状を手に、春日将人(かすが・まさと)は言う。
「睡蓮、出かけるぞ」
 衛宮睡蓮(えみや・すいれん)はぱっと顔を輝かせた。将人の方からデートに誘ってくれるなんて――!
 無表情に喜びながら、睡蓮は将人の後を追いかけた。

 目賀家夏の懇親会。
 賑わう会場を見渡すのは目賀獲(めがとれる)嬢だ。普段はぼさぼさのショートカットはきちんと整えられ、夏らしい青色のドレスワンピースを着ている。
「お嬢様、もっと笑顔で」
 と、隣で見守る執事の園井(そのい)に言われ、むっとするトレル。
 椿薫(つばき・かおる)は少し離れた所から、その様子を観察していた。
 今日一日、彼はトレルから目を離すまいと考えている。トレル日誌作成のためである。
「眠くなってきた」
「まだ始まったばかりですよ」
 全くやる気の見られないトレルは、ふとこちらへ向かってくる人物に気が付く。
「こんにちは」
 にこっと笑うルカルカ・ルー(るかるか・るー)。トレルは顔ごと視線を逸らした。この人は知っている、そういえば彼女も契約者だった――!
「今日は招待してくれてありがとう」
 と、ルカルカ。園井がトレルの顔を無理やり前へと向けさせる。
「えっと、ああ、いえ……」
 苦い愛想笑いを返すと、ルカルカは言った。
「この前の話は嘘だったのね。安心した」
「え?」
 ルカルカはただにこにこと微笑んでいる。嘘をついたのに許すなんて、超良い人じゃないか?
「……あー、うん、悪かった」
「いいのよ、気にしないで。それよりも、契約のことが知りたいんだったね」
 と、ルカルカはポケットから何かを取り出す。
「剣の花嫁と、ドラゴンと、英霊と魔道書のパートナーと契約してるんだけど、トレルちゃんはまだパラミタ出歩けないし、地球の知識がある英霊はどう?」
 そう言ってトレルへ見せたのは英霊珠だった。
「この珠、英霊珠って言うんだけど、これがないと英霊とは契約できないのよ」
「へぇ、初耳」
 初めて見る契約アイテムに、トレルは興味を持ったようだ。
「英霊がパラミタへ来るのには百五十年かかるっていうから、それよりも昔の英雄や偉人が英霊となるの。うちの英霊を見れば分かるけど、姿や性別が変わることもあるのよ」
 そう言うと、ルカルカは離れたところで待っていたパートナーを呼ぶ。
 夏侯淵(かこう・えん)はトレルの前へ来ると名乗った。
「中国の魏国の武将、夏侯淵という」
「……ちみっこい」
 思わずトレルがそう言うと、淵が大きな声を上げる。
「ちみっこ言うな!」
「はいはい、落ち着いてね」
 と、ルカルカが羽交い絞めにして抑える。その英霊は見た目が幼く、身長も子どもサイズだった。
 武将にしては弱そうなので、英霊が生前と違う姿になるのは本当のことらしい。
「っつーか、性別も逆転してる?」
 トレルの問いにまた怒りだす淵。
「俺は男だー!」
 それをルカルカが楽しそうに抑えつける。可愛らしい顔でトレルを睨む淵は、一家に一人いたら面白そうだ。
「ちなみに英霊と契約すると、ヒロイックアサルトっていう技が持てるの。過去の技を再現するような感じよ」
「ふーん、楽しそうだ」
 と、トレル。契約する相手によって、いろいろと違いがありそうだ。

 そうしてルカルカたちと楽しそうに話をするトレルを、やはり観察しているのは薫だった。
 ――どうやら、トレルお嬢様は知らないことを知るのが好きみたいだ。あと、人をいじってからかうのも好きらしい。言葉づかいはあまり良いとは言えないが、執事に注意されないということは諦められているのだろうか。
 どちらにしても、観察のやり甲斐はありそうでござる。