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【じゃじゃ馬代王】秘密基地を取り戻せ!

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【じゃじゃ馬代王】秘密基地を取り戻せ!

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 突然現われた立ち入り禁止の文字に理子は眉を跳ね上げた。先に続く坑道の入り口をふさぐようにして看板が立っている。炭坑口で見るなら分かるが、何故こんな奥まったところにあるのだろうか。
 看板をどかし、道を進むとレオンの予想が事実へと変わることになる。先のほうで右へ折れる道があるのだが、そこからぼんやりと光が滲んでいる。電気が通っているのだ。微かに金属がぶつかる音と、内容までは掴めないが喧騒のような雑音が聞こえてくる。
 周囲を警戒し近づいていくと、コボルトが数匹たおれていた。灯りの差す右手の道へ折れるとそこには先客の姿があった。黒崎天音だ。
「――君達は向こう側って感じじゃあ、ないね」
「ちょっくら子供の遊び場を卑怯な手つかって奪い取った連中をこらしめにね。そっちは?」
「見てみなよ。彼ら、結構、派手なことしてるんだ」
 理子の問いに天音は笑みでもって応えた。
 今までの静けさが嘘の様に、眼下には活気が渦巻いていた。かなり広く掘り進められている。次々と貨車に石がつまれ、それはちょうど理子たちの向かい側にある穴へと運ばれていた。裏口だろうか。確かに本道を利用しては人があまり寄り付かないとは言え、目立ちすぎる。数十名は居るだろう坑夫達は汗をかきかき仕事に熱中している。理子たちに気付く様子は無い。
「それで、あんたはここで何をしてたのかしら」
「見学に来てたんだよ。ブルーズが機晶石に興味を持っていたから。街で色々話を聞いていたら、ここにたどり着いたという訳だ」
「ここでものんびり観光ってわけ」
「無駄な戦闘はしない主義なんだよ。まあ、君たちが来るのがもう少し遅かったら、僕も考えていたかも知れないけれどね。ほら、あっちについた契約者もいるみたいだよ」
 指差した先にはヒロユキが暇そうにあくびをしていた。フィオナが一人でここに来たわけと、見計らったようなコボルトの動きに要約説明がついた。少し離れた所に坑夫とは思えない出で立ちの男が立っている。覇気も精気も薄く、どちらかといえば不健康そうだ。大きな鎌を持っている。
「あいつが元凶かしら」
「どれを持ってして言っているか分からないけど、コボルトを使役してるのは彼みたいだいだね」
 機晶石欲しさにコボルトを使役し、子供を追い出したのだろうか。わざわざ廃坑に潜入し坑夫まで雇い、機晶石を掘り出そうとする傲慢知己なタイプには見えない。火の中に氷がひっそり佇んでいるような場違いさだ。
「理子? やっぱり! やっと見つけた!」
「衿栖!?」
「もしかして、と思ったら外にヴァルと可憐が居たから。話は聞いたよ。私も一緒に行くわ。一緒に帰ってくるって、女の子と約束したの」
 再会の喜びもそこそこに、衿栖はここに来た経緯を話した。少しはなれたところでHCに耳を傾けていた白竜が戻ってくる。苦々しい顔をしていた。
「どうしたの、白竜」
「源から連絡だ。上が動かないらしい。急いでこちらに向かっている」
「まあ、そりゃそうだろうねえ」
 羅儀は別段驚いた風でもない。
「ジャスティシアもだよ」
「英虎!」
 大きく肩で息を吐く英虎がいた。英虎はユキノと共にジャスティシアの母体の一つである憲兵部隊を訪れたのだが、門前払いを食らってしまった。可能性だけでは動けない。勝手にやってくれ、と。治安にも関わる事だと英虎は食い下がったが全く相手にされなかった。
「ここに来る途中、死臭みたいなのを纏っている人と擦れ違ったんだ。香水みたいなので分かり難くくしてたけど。コボルトが出るようになったっていうのも聞いてたから、もしかしてと思って」
 あー疲れた、とようやく呼吸が落ち着いてきた英虎は額をぬぐった。
「お前達、こんな所で何をしている? 誰の許可を得て発掘作業をしているんだ。廃坑と言えど所有者がいる筈だが。責任者はどこだ」
 マーゼンが声を張り上げる。
視線が理子たちへ一斉に向けられる。
一瞬の静寂のあと、坑夫たちの目に好戦的な光が走った。
「これは、おとなしく話を聞いてくれそうにないな」
「ま、その方があたし達向きじゃないの?」
 理子の言葉にレオンがやれやれと肩をすくめた。