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『嘘』を貫き通すRPG

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第二章 魔法使いの役割

「目を覚ましなさい、未熟者!」

 突然声を掛けられ、呪詛子はハッとしたように顔をあげる。
「だ、誰が未熟者ですって!」
「あなたのことですわよ、新人の癖にレベルの高い魔法を使おうとして失敗するね。まあその心意気だけは買ってあげましょうか」
 望とノートは呪詛子を見下ろすようにして立っていた。
「ゴチャゴチャうるさいですね」
「このアマ、よくも猿をやってくれたな!」
 犬はガルルと声を荒げ、牙を剥き出しにして襲い掛かろうとする。
「よく見ていなさい、これが戦いというものですよ」
 高ぶっているモンスターたちを尻目にノートはそう宣言すると、猿の血にまみれた剣を持ちながら剣を振る。
「ノート! ラージドーベルマンの弱点は尻尾よ!」
 望がそう言うと、犬は弱点を庇うように直線に立つ。
「ふふっ、いくら隠しても無駄ですわよ」
 ザシュ。
 ノートが素早い動きで犬の尻尾を切りつけると、犬は先ほどの威勢はどこえやらキャンキャンと吠えて逃げてしまった。
「さあ、残ったのはあなただけですわよ」
「くっ、今日のところはこれくらいで勘弁してあげましょう」
 雉はそう言って、猿の体を鉤爪で掴んで、犬が逃げていった方向に飛び去って行った。

「助けていただいてありがとうございます。何とお礼を言えばいいか……」
 モンスターたちが消えた後、英彦は望とノートに向かって頭を垂れた。だが、呪詛子はそっぽを向いている。
 呪詛子さまもお礼を、と英彦が呼びかけるが彼女はそれでも微動だにしない。
「ふふふ。従者を上手く扱う事も出来ない未熟者が、不貞腐れるには10年早いよ」
「そうですわね、レベルが低くて魔法が使えないなら頭を使ってサポートするくらいしませんとね」
「……」
 呪詛子は黙って下を向き、ギリっと歯を食いしばる。
「そこの従者の方もこんな無能なマスターについているより、わたくしたちと一緒に来ませんか?」
「そうね、よく見ると結構精悍な顔してるじゃない」
 そう言って望が英彦の顔に手を伸ばして挑発する。今まで黙っていた呪詛子もこの様子を見て、カっと目を開いた。

――パシン

「……なにやってんのよ。これは……私のモノよ!」
 呪詛子が望の手を払いのけて、二人の間に立った。
「あらあら、そんなに彼にご執心ならもう少し力をつけないとね」
 ふふ、と望は微笑してから「さようなら、お嬢ちゃん」 と言ってノートともに二人の元から去って行った。