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ザナドゥの方から来ました シナリオ2

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ザナドゥの方から来ました シナリオ2
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第6章


 その頃、ザナドゥドライブがある『心臓部』では。
「さあ、ゆくぞ!!!」
 重攻機 リュウライザーがぶっ放していた。
 何をぶっ放していたのかというと、レーザーガトリングと曙光銃エルドリッジ、そして六連ミサイルポッドを4基、ついでに『バキュー夢』で出した『情熱クリスタル』による目からビームをぶっ放していた。

 リュウライザーにとってはブレイズを援護してラウネを倒し、ザナドゥドライブを破壊することが最大の目的であるため、他のことはあまり気にしていない。
「ギャアアアァァァ!!!」
 その砲撃を受けてラウネは叫び声を上げる。
「あ、コラ!! 何を」
 ラウネを娘として保護しようとしていた多比良 幽那は抗議の声を上げるが、激しい銃弾の中にその声は紛れて消えていく。
 問題は、協力者であるはずのノーン・クリスタリアやローザマリア・クライツァールをも巻き込みかねないということだが、リュウライザーにそんな気遣いは皆無であった。
 彼はあくまで主人である武神 牙竜――ケンリュウガーの目的を達成できれば、それでいいのだから。

 そして、そのドサクサに紛れ込んだ人影があった。ゲドー・ジャドウ(げどー・じゃどう)である。
「――よし、うまいこと潜り込んだぜぇ」
 ゲドー・ジャドウは目下のところ指名手配中である。その中で彼がどうしてこの空中宮殿に入り込んだのかは謎だが、それもザナドゥ時空の影響であろうか。

「ったくよぉ、はみだしモンのくせに空中宮殿とは生意気なんだよ」
 人目につかぬようにと、背中の十字架を気にしながら行動する。本来なら目立つことこの上ないが、この銃撃の中ではゲドーを視認することは困難だ。
 個人的に気に入らないから、という理由で宮殿まで殴りこみをかけてきたワリには、直接Dトゥルーを狙わないあたりが実に彼らしい。
「――よっこらしょっと」
 ゲドーはその辺に落ちていたカメリアの『バキュー夢』を拾い上げた。誰かが使ったものを拾ったものだったが、以前見たことがあったそのアイテムをゲドーは使うことができた。
「……つーかよぉ、特に引っ張り出したいモノもねぇんだよなぁ……ぶっちゃけ、思い出なんかロクなもんねぇし……いいや、掃除機だってんだから、適当に吸っとけ」

 なんとも投げやりな話ではあるが、目下のところザナドゥドライブの警護をしていて邪魔なラウネの動きを阻害するため、ゲドーはラウネに向けて『バキュー夢』を使用した。


 それがザナドゥドライブ破壊に対して、功を奏するとは知らずに。


「――さあ、こっちも行きますよ」
 混乱を極める『心臓部』。リュウライザーの援護という名の銃弾が飛び交う中、煙の中を突進したのはリュース・ティアーレ(りゅーす・てぃあーれ)グロリア・リヒト(ぐろりあ・りひと)、そしてレイ・パグリアルーロ(れい・ぱぐりあるーろ)だ。
「とりあえず破壊の限りを尽くしましょう」
 リュースの目的はひとつ。ザナドゥドライブの完膚なきまでの破壊。
 ゲドーがラウネの動きを止めている間に、リュースはザナドゥドライブの機械部分に黒曜石の覇剣を振り回した。さらに片手にも同じ剣を持ち、激しい攻撃を加える。
「それについて依存はないわ。でも、何があるかわからないから、油断はしないでね」
 グロリアは、リュースの手助けをするために来た。物腰柔らかな外見に反して、リュースは意外と力押しなところもあるので、何かあれば事態を収拾するのは大体グロリアの役目だ。
 リュースの動きに気をつけながら、ソニックブレードを放ち、ザナドゥドライブにダメージを与えていく。
「そうねぇ、本当にリュースって力押しよねぇ……ふんふん、グロリアはリュースのサポートに徹する、と。メモメモ」
 と、その様子を取材して細かにメモを取るのが、レイであった。
 レイの目的はひとつ、次の同人誌新刊のネタ探しである。


 今なんか、変なノイズが混じったような気がしませんか。


「……あのねぇ」
 グロリアはため息をひとつつくと、レイに向き直った。
「別に何をメモしても自由だけど、仮にもここは戦いの場なのよ? 少しは手伝ったらどうなの?」
 レイはまったく手伝うそぶりも見せず、必死にメモを取っている。
「ふんふん……グロリアは真面目キャラ、と」
 まったくグロリアの話を聞く気がないレイを前に、再び深いため息をつくグロリア。
「あのねぇ……私はあなたを親友だと思ってるけど……」
 苦言を呈しようとしたグロリアを眺めつつ、レイは告げた。
「大丈夫、私もグロリアのことを親友だと思っているわ……ただひとつ残念なのは、グロリアが男だったらリュースと絡ませるのにってことね」
 と言いつつ、何かのネタが浮かんでしまったのか、必死にメモを取る手が止まらない。
「やめてよ、そうやってすぐに人を掛け算の材料にしようとするのは……はぁ……リュースはリュースで破壊活動を楽しんでるし……私、何しに来たのかしら」
 更に深いため息をつくグロリアに、レイは優しく微笑みかけるのだった。

「大丈夫、安心してグロリア。私、ノーマルの場合は相思相愛じゃないとカップリングとして認めないから」


 ノーマルじゃない場合、とはどのような状態なのか興味深いですね。


 そういう問題じゃない、とグロリアは海よりも深いため息をつくのだった。


「おっと……他にもコレを壊しにきた人がいるようですね……やっぱり」
 リュースは呟いて、一瞬だけ振るっていた剣を止めた。
 ラムズ・シュリュズベリィ(らむず・しゅりゅずべりぃ)のパートナー、シュリュズベリィ著 『手記』(しゅりゅずべりぃちょ・しゅき)である。火術による魔方陣をザナドゥドライブそのものに描いていく『手記』の頭部には、光輝く『正義マスク』がある。
「ふっふっふ……丸焼きにして喰ろうてやるぞ……」
 存分に魔力を強化した『手記』は、不気味な笑みを浮かべた。
 【黒の通路】において存分にザナドゥ時空に巻き込まれた『手記』は、正気にもどった今、やや自暴自棄になりながらも心臓部に到達したのである。
 その目的は、こんがり焼いたザナドゥドライブを丸かじりすることである。


 いいから無茶を言うなと。

 正気に戻ったんじゃなかったのか。

 というか喰ってどうする。


 とは言うものの、『手記』は本気そのものだ。火術でじっくりと魔方陣を形成し、タイミングを見て焼き払おうというのである。
 そして、それはそれとしてザナドゥドライブを護っていたはずのラウネはどうしているのかというと。

「ひゃーはっはっは、こりゃ面白ぇや!!」
 ゲドーが『バキュー夢』で吸い出そうとしているのは、偶然にもラウネに取り込まれたマリオン・エーディン・ノイシュバーンである。もちろん、完全に吸い出すことはできないが、ラウネの動きを止めるには充分だった。
「ギイイイィィィッ!!!」
 ラウネの下半身と上半身の結合部がきしみ、ラウネが悲鳴を上げる。
 リュウライザーの砲撃は今だ続いており、周囲からは何が起こっているのかは分からない。
「ああ、ラウネちゃんの悲鳴が!! どこ、どこにいるの!?」
 幽那は、その悲鳴を聞いて半狂乱であるが、先ほどまでヒプノシスの影響で朦朧としていたため、ラウネの場所を特定できない。

 それに対し、牙竜は冷静であったと言える。龍ヶ崎 灯の殺気看破で位置を特定した牙竜は、『剛竜剣ダイナミックブレード』でラウネの上半身に必殺の一撃を加える!!

「でりゃあああっ!!!」
 裂ぱくの気合と共に、牙竜の一撃が炸裂した。
 それと、ラウネに取り込まれていたマリオンのパートナー、ローザマリア・クライツァールの行動はほぼ同時だった。

「――今!!」
 ようやく静かになりつつある銃撃の煙の中、わずかに開いた視界を縫ってスナイプによる銃弾を放つ。
「グギャアアアァァァッ!!」
 煙の中、ラウネの断末魔が響いた。その瞬間、ラウネの意識支配から解放されたマリオンは、行動を開始した。
 ゲドーのバキュー夢によって引き抜かれる勢いを利用して、ラウネの身体から自分の身体をい引き剥がす。
「――これでトドメだ!!」
 マリオンが至近距離から放ったサイドワインダーが、ラウネの頭部を吹き飛ばした。


「……げほっ、げほっ……どうなった、の……?」
 ようやく視界が晴れてきた時、煙の向こうに幽那が見たものは、本体を失って枯れてゆく蔦の中に佇むマリオンの姿だった。
 凄惨な笑みを浮かべて、マリオンは呟く。
「ふ、ふふふ……ようやく終わったぞ……これで俺が最後のラウネとして君臨するのだ!!」

 どうやら、ザナドゥ時空の影響はまだ続いていたようで、マリオンはまだ自分のことを真の魔族6人衆、花妖精のラウネであると思い込んでいた。
 そして、高らかに笑うマリオンに横っ飛びに抱きついたのが幽那である。
「ああ、ラウネちゃん無事だったのねーーーっ!!!」
「え、ちょっ!?」
 様々な混乱が引き起こした事態ではあったが、幽那から見れば『ラウネの最後の上半身が辛うじて生き残った』という図に見えなくもない。しかも、本人が『自分はラウネだ』と言っているのだから、これはもう間違いない。

「さあ、こんな危ないところからはさっさと脱出しましょう!」
 幽那は、マリオンを抱えてパートナーのアッシュ・フラクシナスとネロ・オクタヴィア・カエサル・アウグスタを促した。
「さあ、母よこっちだ!!」
 あらかじめ確保しておいた脱出ルートへと促すアッシュ。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!」
 それを追うローザマリア。せっかく救助したパートナーだというのに、おかしな勘違いで連れ去られてはかなわない。
「はっはっは、まあそう言うな!!」
 ネロも幽那に加わり、さらにキャロル著 不思議の国のアリスがその後に続いた。
「『ああ、何だか色々と面倒なことになったなぁ。まいっか、幽那ちゃんが幸せそうだし♪』」

 そのまま、心臓部を後にする幽那一行と、マリオンを追うローザマリアだった。


                              ☆