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リアクション
中央議会ウェスタ
荒井 雅香(あらい・もとか)は雷霆の地下層。中央会議場『ウェスタ』にいた。議会の様子を隣室のガラス越しに傍聴していた。
議員たちは市長を支点に両翼を広げるように座っていた。そして、彼らの前、登壇しているのはフィンクス・ロンバート大将だった。
彼の、軍部の要求が今回の議題だった。
『対ドールズ作戦に置ける軍事費の捻出』
『パラミタ間協力体制による此方側からの技術提供について』
議題資料をAirPADで見て、雅香はいかにフィンクスがパラミタに対して友好的なのかを知った。
そして、市議会員との軋轢も。
「金融がうまくいかないのはわかっているだろう? バーデュナミスの開発だけでもどれだけの金がかかっていると思っているんだ」
「協力軍が現れたとはいえ、彼らは別の世界、いや国の者だ。易々と技術を渡すわけにはいかない。今は味方でも彼らもまた侵略者と同じかもしれんのだぞ」
「そもそも、『外世界からの来訪者』というお伽話を本当に信じていいのか?」
「ここの安全さえ確保されていればいいが、この戦いはもう何年になる? 『ユピテル』の運営も成り立たなくなるぞ」
罵倒のように、批判的意見が議会を飛び交う。
「思った以上に内情は切迫しているのね」
都市部の人の柔和さと違い、ここは剣呑としている。
「これじゃ、議会員さんに話しかけてもダメでしょうね」
コチラが警戒してなくても、あちらは随分と警戒している。
彼らは何か焦るように、議題を話そうとしない。
しかしその中で、顔色を変えない者もいる。両翼の支点に。
「やっぱり、市長に直接話すのがよさそうね」
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