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【新歓】みんなで真・魔法少女大戦!?

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【新歓】みんなで真・魔法少女大戦!?
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リアクション

「おつかれ〜」
「お疲れさま」

 北月 智緒(きげつ・ちお)遠藤 寿子(えんどう・ひさこ)とハイタッチを交わす。
 そこへ桐生 理知(きりゅう・りち)アイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう)がお盆に飲み物とお菓子を持って戻ってきた。

「さぁ、飲み物とお菓子も用意したし女子会を始めましょう♪」
「理知、ナイスアイデア!」

 智緒は理知から飲み物を受け取りつつ、親指を立てた。
 
 寿子達は任務が無事に終わったことを祝して、なぜか戦艦にあったちゃぶ台を甲板に運び込み、晴天の下で談笑を始めていた。
 各々改めて自己紹介を行うと、飲み物とお菓子に手を付けつつ学校の話題から身近で起きたことまで、自由に話し始めた。
 寿子はおどおどしつつも、質問に答えたり、してみたりした。

 アイリも退紅 海松(あらぞめ・みる)に対して話しかける。

「海松さん。同人誌のネタにはなりましたか?」
「あら? 寿子さんから聞かれたんですわね」

 海松は微笑んで答える。

「ええ、とてもいい感じのものができそうですわ。
 後はご本人からお話を聞かせていただければ、嬉しいですわね」
「私でよろしけば答えられる範囲でお答えしますよ」
「ありがとうございますわ!」

 海松は紙とペンを取り出してメモを取る準備をする。
 するとアイリの腕を寿子が突いてきた。

「ねぇ、アイリちゃん」
「何ですか寿子さん?」
「アイリちゃんは同人誌になってもいいの?」
「私は別に構わないと思ってますけど?」

 アイリが不思議そうに首を傾げた。

「で、でも、魔法少女って正体を隠さないといけないんじゃ……」
「かもしれませんが、既にここにいる人達にはばれていますし、無理して隠す必要はないと思いますよ」

 寿子は何か言いたげな様子だったが、それ以上口にすることはなかった。
 
「と、いうわけでどうでしょうか、寿子さん?
 無理強いをしませんけれど……」

 苦笑いを浮かべる海松。
 すると寿子がゆっくりと首を振った。

「ううん。いいの。
 確かに恥ずかしいけど、どんな感じになるのか見てみたい気がするから」

 寿子が頬を赤くして笑うと、海松も嬉しそうに微笑んだ。

「大丈夫ですわ。カッコよくかつ可愛らしく描いてみせますわ!」
「そ、そんな別に私可愛くなんて……」
「そんな謙遜しなくてもいいのですわ。
 寿子さんはとても可愛らしいですもの」
「そうですよ、寿子。
 あんまり自分を否定すると本当に駄目になってしまうものなのです。
 だから、常に自信を持っておくべきです」
「そ、そうなの?」

 海松とアイリに交互に可愛いと言われ、寿子は照れながら本当はちょっと可愛いのかな。
 なんて思ってしまった。

「そうですわ。
 せっかくですし、可愛らしい寿子さんをここで描いて差し上げましょうか?」
「い、いいの?」
「もちろんですわ」

「だったら、この鉛筆を使ってみてはどうかなぁ!?」

 突然の声に背後を振り返ると、そこにはいくつもの鉛筆を握りしめて立つ、騎沙良 詩穂(きさら・しほ)の姿があった。

「じゃじゃーん。ケルベロスを構成していた鉛で作ったオリジナルの鉛筆だよん☆ 可愛くない?」

 鉛筆にはカラフルなシールが巻かれていたり、スパンコールをとり付けるなどのデコレーションがされていた。
 中には鉛筆の片側にマスコット状態の生徒達を模した造形が取り付けられた物もあった。
 理知はその中から一つ手に取り、回しながらじっくりと眺めた。

「終わった後、いないなぁと思ったらこれを作っていたんだねぇ」
「そうなのだよ♪
 あと、可愛らしい携帯バッテリーなんかも開発中なのっ。
 出来上がったらぜひ買ってほしいな〜」
「くれたりしないの?」
「製作費もただではありませんからっ♪」

 詩穂は白い歯を見せて二カッと笑って答えていた。

「何話してるの?」

 そんな彼女達の元へルカルカ・ルー(るかるか・るー)がやってくる。
 詩穂はカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)のミニドランゴンが乗った鉛筆を手に取ると、ルカルカに渡した。

「はい、これどうぞ!」
「あ、もしかしてこれカルキ? うわっ、可愛い!!
 これ、もらっていいの?」
「どうぞどうぞ、一本サービスだよっ!!
 そのかわり他に気に入ったのが買っていってくださいね♪」
「へぇ、色々あるね……あれ、これ傷?」
「え、どれどれ……」
「これこれ、鉛筆の横についているやつ」
「ん〜、あ、違うよこれ! 文字だよ文字! ほら、製造会社とか書いてあるよね!」

 ルカルカは目を細めてじっと見つめたが、やはり文字には見えなかった。
 元々字がうまくない詩穂が、下書きした後に掘った文字は常人には読めない域になっていた。

 ある程度鉛筆で盛り上がった後は、詩穂とルカルカも混ざって女子会が再開されることになった。

「ここ座っていい?」
「どうぞ〜」

 ルカルカは机を囲む女子の輪に入って腰を下ろすと、全員で改めて自己紹介をしていた。 
 なんども自己紹介していることに、少女達は誰からともなく笑い出していた。
 甲板でポツンと置かれたちゃぶ台を囲って話すその姿は、はたから見たら奇妙なものだったが、そんなことを気にすることなく少女達の笑い声は絶えない。

 そんな中でアイリに声をかけた源 鉄心(みなもと・てっしん)の行動は、周囲から見れば勇者か変人、少女達から見れば異教徒的扱い。

「すまない。アイリ、ちょっといいかな?」
「あ、はい。みなさん、失礼しますね」

 少女達は心よくアイリを見送るが、鉄心には冷たい視線を浴びせていた。

「どうかしましたか? なんだか、顔色が悪そうですが……」
「いや、なんでもない。大丈夫だ」

 鉄心はアイリを連れて甲板の端に移動する。

「それで鉄心さん。なんかご用でしょうか?」
「ああ。そろそろ質問に答えてもらおうと思ってな」
「……あぁ、なぜ「この戦艦の名前を知っているか?」というやつですね」
「それと、他の生徒に≪ケルベロスの幼体≫が安全だといった理由もだな」
「調べたんですか……」
「悪いな」

 アイリが少し寂しそうに笑っていた。
 じっと鉄心の目を見つめる。今度は誤魔化して後回しというわけにはいかないようだ。
 観念してため息を吐くと、アイリは手すりに寄りかかって話し始めた。

「信じてもらえないかもしれませんが、以前から話している通り私は未来から来ました」
「……」
「その未来には、戦艦アグニトゥスも≪黒鉛製ケルベロス≫も普通に存在しているんです。
 今ここにある戦艦アグニトゥスは、内部に使われている部品などが未来のものと違って一部変更されています、ですが元は同じ設計図だと思われます。でも、これはまだこの時代に存在しないはずのものなのです」
「…………」
「これはこちらにくる前に聞いた話ですが、私と同じように過去に渡った武器商人の男がいたそうです。
 その男は争いで武器を売って儲けていました。そのために自ら争いを起こさせる。そんな人として許せない行いをする男です。
 だから設計図の事といい、もしかしたら今回の事件にはその男が裏で糸を引いていんじゃないかと私は考えています。
 この時代でも自ら争いを起こして儲けようとしているのではないかと」

 話終わって黙るアイリ。
 横目で鉄心を見ると、腕を組んで思考を巡らしているようだった。

「理屈は通っているな……が、証拠はない。
 この話は全てキミの作り話の可能性もある」
「……そうですね。確かに証拠はありませんから、仕方ありませんね」

 俯くアイリを前に、鉄心がため息を吐いた。

「とはいえ、今回の事件が奴らだけに起こせたとも思えん。
 奴らだけであの空間と戦艦を用意できたと言われても疑問が残る。
 だからそいつがどんな奴であれ、黒幕がいるという部分は信用してもいいと思っている」

 アイリは目をパチパチさせた後、小さい声で「ありがとうございます」と言っていた。

「これからは寿子と一緒にその人物を探していくのか?」
「おそらくそうなると思います」
「そうか……」

 会話が途切れ、二人はなんとなく雲一つない澄み切った空を眺めていた。
 すると、やたらと騒がしい声と共に、鉄心の腰へとイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)が頭から突っ込んできた。

 ――ゴキュッ

 なんだか嫌な音がした。

「鉄心、鉄心、お腹すきましたわ!!
 早く早くお寿司ですわ!!」
「わ、わかったから、馬乗りになって揺するな」

 上に乗っていたイコナがどくと、鉄心が手すりを掴みながらよろよろと立ち上がる。

「わ、悪いな、アイリ。俺達は先に失礼させてもうよ」
「はい。お体をお大事に。
 またいつか、のんびりお話でもしましょう」
「ああ。その時はマスコット以外の姿でな。
 よし、いくか。イコナ」
「わーい、お寿司ですわ!!」
「やったぁ。鉄心さん太っ腹!!」
「って、なんだ!?」

 両手を上げて喜ぶイコナの背後で、理知もまねして両手を振り上げ、さらにその背後にも多くの生徒達が悪ノリして大喜びしていた。

「おいおい、皆も行く気か? 
 さすがにこれ全員で寿司は無理だろう……」
「いいじゃないですか。みんなで行った方が楽しいですよ、鉄心」
「そうですわ! ティーの言う通りですわ!」
「おまえら……」
 
 鉄心のパートナー達は既に全員で行く気満々のようだった。
 額に手を当てる鉄心。
 聞くところによると、女子会で寿司を食べに行く話をした所、皆で行こうということになり、せっかくだからと他の人も呼ぼうかなんて話しているうちに……こうなってしまったらしい。
 鉄心は深いため息を吐いて観念した。

「別に全員で行ってもいいが、ティーとイコナとゴン以外の人は自分で払ってくださいよ」

 生徒達は近くで全員が入れる店を探して、電話をかけ始めた。
 誰かが店を貸切かいっそのこと出前をとるかで揉めていた。

 そんな中、アイリが鉄心の隣に立って――

「「いつか」はすぐでしたね」

 と言っていた。

(END)

担当マスターより

▼担当マスター

虎@雪

▼マスターコメント

 初めまして、またはお久しぶりです。
 『【新歓】みんなで真・魔法少女大戦!?』のリアクション製作を担当しました。虎@雪(とらっとゆき)です。

 始めに、リアクション公開が遅れまして申し訳ありませんでした。
 今後はより早い執筆を心掛けたいと思います。
 後、本編が長くてすいません。

 新入生歓迎ということで遠藤 寿子とアイリ・ファンブロウのお披露目を担当させて頂きました。
 どうでしたでしょうか。
 少しでも仲良くなりたいと思っていただけたのなら嬉しいです。

 今後ともどこかで出会うことがありましたら、よろしくお願いいたします。
 
 後、いつものことながら素直な感想が聞ければ嬉しいと思っています。

 機会があれば、またよろしくお願いします。
 この度はありがとうございました。