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食べ物×合体!

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食べ物×合体!

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第1章 食べ物戦士、出動!

「あんパンパーンチ!」
「フギー!」
 あんパンとパンチを掛け合わせた必殺技でウイルスを次々と撃破していくのは、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)
 のっけから大変危険な技名だ。
 その隣には、指先でリング状の物体を回転させ、ウイルスに狙いをつけるコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)
「はあっ!」
「ギーッ!」
 コハクの指先から放たれたリング状の物体は、くるくると回ってウイルスを倒していく。
 それはチャクラムではない。
 ドーナツだ。

 ここは、蒼空学園図書館のコンピューター。
 生徒たちはそのプログラムの中に転送され、コンピューターに侵入したウイルスと戦っている。
 しかし、生徒たちの姿は通常の状態ではない。
 プログラムを作成したドクター・JAMのミスにより、各種食べ物と合体させられていたのだ。
 美羽は、あんパンと。
 コハクはドーナツと。
 隣で槍の様に串を振り回して戦っているエミン・イェシルメン(えみん・いぇしるめん)はドネルケバブとの合体だし、木製のボウルのような衣服を纏い野菜を次々と召喚している金襴 かりん(きらん・かりん)はサラダとの合体だ。
 学園を護る生徒たちは、食べ物の姿のまま、それを利用して戦っていた。

「三大料理のひとつ、とくとご賞味あれ!」
「アチ、アチ、チー!!」
 エミンが串刺しにしたウイルスたちをあぶり焼きにしている。
「野菜は、新鮮さが命!」
「キキキキギギッ!」
 キュウリを構えたかりんは、捕まえたウイルスを殴打する。
 新鮮なキュウリはイボが痛い痛い。
「ここら辺のウイルスは大概片付けたかな……っと?」
「そだね。どうかな、JAMのおじさん……おーい、JAMおーじさーんっ!」
「その名で呼ぶな! 少し先、2時の方角にウイルスの群れがいるようじゃな。そこにも生徒は待機しているが、応援を頼む」
 美羽に元気よくおじさんと呼ばれ、少々不満気な様子でプログラムをチェックするドクター・JAM。
「そうそう。美羽さん。今の戦闘で少しパンが欠けています。新しいか……もとい、パンをどうぞ」
「ありがとう!」
 マーガレットから新しいパンを渡され、元気いっぱいになる美羽。
「いえいえ、これもお仕事ですから……ん?」
 マーガレットの足元がもごもごと動き出す。
「いかん、地下型ウイルスか!」
 JAMの声より早く、地下から飛び出してきたウイルスがマーガレットに襲い掛かる!
「危ないっ! ピタパンアターック!」
 エミンの手から放たれた半月系のパンがウイルスに覆いかぶさる。
「ギュ……ググッ!」
「トッピングだよ」
 更にかりんがピタパンの中に刻まれたオクラとモロヘイヤを入れる
「ギュムギュムギュム……」
 粘着性のあるそれらの野菜のために完全に動きを封じられるウイルス。
「ありがとうございます、助かりました」
「いいえ。優しいあなたを守れたなら、こんなに嬉しい事はないよ」
 礼を言うマーガレットに、エミンは手をぎゅっと握ると彼女の瞳を覗き込む。
「あなたの瞳は金色なんですね。ああ、だからあなたの視線はいつも太陽のような優しさに満ちているんですね」
「えっ……」
 まるで口説き文句のような甘い言葉が流れ出る。
 しかしエミンは、素だ。
 決して下心などではなく、これがエミンの「普通」だった。
「ほらほら、何をやっとるんだ! 早く応援に行かんか!」
 ドクター・JAMの苛立った声が響いた。