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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 4

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【祓魔師のカリキュラム】一人前のエクソシストを目指す授業 4

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第5章 2時間目・昇級発表

「2時間目の授業がまもなく始まりますよぉ〜。皆さん、お教室の中へ入ってください〜!」
「エリザベートちゃん、こんばんは。ちゃんと免許も持ってきましたよ。今日もよろしくお願いしますね♪」
 一番前の席に座ろうと、急いで教室の前にやってきた神代 明日香(かみしろ・あすか)が、エリザベートに挨拶する。
「はい♪それとおやつも…」
「もちろん、用意してありますよ。自習時間、一緒に食べましょう♪」
 そう言うと明日香は教室に駆け込み、エリザベートがよく見えてエリザベートに一番近い席に座る。
「今回のスープは、夏向きに辛口のトマトチリスープを作ってきましたが……。辛いものが駄目なエリザベートさんたちのために、桃のスープも作ってきました」
 もう夏だし室内も暑いだろうと思い、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)は気を利かせて冷たいスープを用意した。
「タバスコも用意しましたから、味付けにどうぞ」
「いつもありがとうね」
「それとこれを…」
「忘れずに持ってきたわよ」
 ベアトリーチェと小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が、ラスコットに免許を見せる。
「うん、今日も忘れ物しなかったね。あぁそうそう…授業が始まったらすぐ、昇級発表があるよ」
「分かりました。では、また後ほど」
 軽くお辞儀をするとベアトリーチェは、美羽と一緒に教室へ入る。
「エリザベート、見て見て!!エクソシスト免許♪」
「両方持ってきたんですねぇ、ルカルカさん」
「そうなの。新しいのと、最初にもらったのと両方ね。じゃ、今日の授業も頑張るわね」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は嬉しそうにエリザベートへ片手を振ると、パートナーたちと共に教室へ入っていった。
「免許はこれでいいんだよな?」
 樹月 刀真(きづき・とうま)たちもエクソシスト免許を校長に見せる。
「そうですぅ〜♪」
「行こう、玉ちゃん」
「急がずとも、まだベルの音は鳴っていないのだが…」
 片腕を漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)に捕まれ、玉藻 前(たまもの・まえ)は教室へ連れて行かれる。
「和輝さんですね?免許を見せてください〜」
「忘れずに持ってきたぞ。ほらアニスも、校長を校長に見せてきな」
「えぇ…でもぉ〜…」
「校長といっても小さな子供だって…」
 エリザベートに聞こえないよう、アニス・パラス(あにす・ぱらす)に小さな声音で言う。
「実技を受けたんだろ?免許を見せてこないと入れないって」
「わ…分かったよ。…はいっ」
 カバンのポケットからごそごそと免許を取り出し、佐野 和輝(さの・かずき)の後ろに隠れながら、校長に免許を見せる。
「確認しましたよ♪」
「(ふぅ…。実技に参加して大丈夫なのだろうか…)」
 非社交的な禁書 『ダンタリオンの書』(きしょ・だんたりおんのしょ)だが、パートナーの後ろに隠れるほどの人見知りではなく、アニスの後に免許を校長に見せに行く。
「空いてる席に座って、待っててください〜♪」
「どこにしようか…」
「ねーねー…和輝、端っこがいいっ」
「端っこって…」
「和輝、スペルブックの授業でよかったのか?」
「1・2・3時間目の、どれか選ばなきゃいけないからな。アニスと組むのは自習時間だ」
「な…!?」
「えぇー…」
 せっかくやる気を出したアニスだったが、2時間目はスペルブックのみの教えるため、この時間は和輝と一緒にお話を聞くだけになってしまった。
「そうはいってもな。宝石のほうじゃ、リオンが一緒に参加出来ないだろ?自主練する時は、教室に残っている人に少し聞いてからだな」
「むぅー、4時間目まで我慢だね…」
 和輝に寄りかかり、ちょっぴりしゅー…んとしてしまう。
「フフッ、今日の授業もしっかり、学ぶのですよ!さぁ、これを見るのです!」
 ベリート・エロヒム・ザ・テスタメント(べりーとえろひむ・ざてすためんと)は免許をラスコットに見せる。
「もうすぐで授業が始まるよ」
「はいっ。真宵、免許を見せたなら、さっさと教室に入るのですよ!」
 諮問を書きまくったノートを抱えている日堂 真宵(にちどう・まよい)の手を引っ張る。
「そんなに強く引っ張らなくても、まだ時間じゃないわよっ。ちょっとテスタメント…っ」
 またもや聞きそびれた…とラスコットの方をちらりと見る。
「前回はなんとか上手く行ったが、やっぱ普通に戦うのと全然違うよな」
 ホームセンターでの実戦を思い出しながら、ラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)は5列目の席に座った。
「いやはや、ぼちぼち覚えてるとはいえ、やはり経験をつまないとこういうのは慣れそうにないですな」
 いつ授業が始まってもいいように、ガイ・アントゥルース(がい・あんとぅるーす)はカバンからスペルブックを取り出し、テーブルの上に置いた。
「ダリルさん、何をしているんですぅ?」
 教室の壁に何かを設置しているダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)を、エリザベートが見上げる。
「授業の様子を、カメラで録画したいんだ」
「そういう時は、私たちに一言声をかけてくださいねぇ〜」
「すまない…。(今度から許可を得てからにするか…)」
 カメラの設置を終えたダリルは道具を片付け、パートナーがいる席に行く。



「(さて…今回はどうしたものか…)」
 アルマンデル・グリモワール(あるまんでる・ぐりもわーる)は心の中でそう呟きながら、ノートを広げてメモを取る準備をしているレイナ・ミルトリア(れいな・みるとりあ)を、ちらりと見る。
 2人は他の生徒たちと離れた席に座っている。
「(心の闇は自身でなんとかするしか無いとはいえ…。…ううむ、知識が圧倒的に不足しておるな…)」
 今のところ、前回の時のように闇の部分が現れてはない。
 妨害されないうちに、少しでも多く学ぶ必要がある。
 それはレイナだけでなく、アルマンデルも祓魔術についての知識を得なくてはいけない。
「(…ふむ、ならば学ぶまで…か。足りぬ知識は補ってこそ…学ぶ場もある、ならば学び、自身の能力とすればよい。うむうむ、実に単純明快)」
 まだ数回しか学んでいないのだから、理解しなくてはいけないことが山ほどある。
「(…しかし、レイナのアレは…本当に祓うべきものじゃろうかの…?前回は確かにアレじゃったが…。真に悪意あるものならワシや他の連中もすでに…)」
 もしかしたら気づかれるのでは…と不安に思っているが、教室内に入ってきた者たちはレイナを怪しんで見る様子もなく、開いている席を探している。
「(…いや、今は余計なことに気をまわす次期では無いな。とりあえず退魔についての基礎知識を完全にモノにせんと次へと繋げられん)」
 落ち着きのない態度をとって、その理由を教師たちに聞かれるほうが厄介だ。
 そうなると学ぶどころじゃなくなる可能性だってある。
「(退魔については…確かスペルブックについて学ぶのが最良じゃったか…?)」
 2時間目の授業を聴こうと、アルマンデルは免許を校長に見せる。
「今日は本について学ぶんですねぇ〜?レイナさんも免許を見せてくださいねぇ」
「は…はい」
「―……確認しましたぁ〜♪は〜い、授業を始めますよぉ〜!皆さん、お席に座ってください〜」
 授業開始を告げるベルが鳴り、席に座るようにエリザベートが大きな声で言う。
「質問とかに答える前に、前回の実戦で昇級した者の名前を呼ぶよ。えー…まず、メイジ・ランク5に上がった者からな」
「(こ…、ここで呼ばれるんですか…)」
 高峰 結和(たかみね・ゆうわ)はどうか呼ばれますように…、と祈るように目をぎゅっと瞑る。
「―…ベリート・エロヒム・ザ・テスタメント、禁書 『ダンタリオンの書』、高峰 結和、ラルク・アントゥルース、ガイ・アントゥルース、ダリル・ガイザック、カルキノス・シュトロエンデ、ルカルカ・ルー、夏侯 淵、小鳥遊 美羽、ベアトリーチェ・アイブリンガー、神代 明日香」
「フフフ…やっと見習いから昇格したのです!」
 テスタメントは本を抱きしめ、満足そうに微笑んで拳をぎゅっと握る。
「おめでとー、リオン!」
「ありがとう、アニス」
「(珍しく自分からサポートとかしてたよな…)」
 非社交的なリオンの成長は、和輝にとっても嬉しいことだ。
「わわわ…私も昇格ですかー」
「見習いを卒業したっていっても、まだ序盤だ」
「日々の努力や、予習復習も大事ですな、ラルク」
「それに、他のヤツらと協力しねぇと、大変なるしな」
「命に関わることもあるからね。昇級、おめでとう♪」
 声のボリュームを下げて話すラルクたちに、ルカルカが声をかける。
「あぁ。そっちもメイジのランクに上がったんだよな?」
「そうよ♪」
「ルカには、少し落ち着きが必要かもな」
 席から立ち上がって踊りだしそうなルカルカの頭を、ダリルが軽くぽんぽんと叩いた。
「なによ…、感情的ならないように、気をつけてるもんっ」
「そういうダリルも、冷酷になりすぎないようにな」
「淵も言うようになったじゃないか。ダリル、言い返すセリフはあるのか?」
「……あまり騒ぎ立てることがないからな。そう見えるかもな?3人は…熱くなりすぎないようにな」
「へぇー…そう返してきたか」
 そういう場面もあるだろう?などと言うか、沈黙のするかと思ったが、カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)までまとめて言われてしまった。
「ベアトリーチェ、私たちも昇格したね!」
「ですが、まだまだスタートラインです。これから戦いも厳しくなっていきそうです…」
 昇級したことは嬉しいのだが、下級以上の相手とも戦うこともある。
 初心の心を忘れずに学ぼうと、授業についてまとめたノートを開いた。
「明日香、昇級しましたねぇ〜♪」
「はい、これからも頑張りますよ、エリザベートちゃん♪」
「…で、ビショップ・ランク5に昇級した者は…。日堂 真宵」
「真宵、昇級おめでとうございます!」
「ぁ…うん。(それ、お祝いにもらおうかしらね…)」
 テスタメントの足元にあるカバンから、ちらりと姿が見える菓子パンを発見し、いつ食べようか考える。
 もちろん、本人に許可をもらわず、いつも通り勝手に手をつけるつもりだ。
「本や章などを扱う者は…。メイジ、アークメイジ、キャスター、エグゼクターの順番で昇級するよ。2時間目の昇級発表は、以上」
 昇級発表を終えたラスコットは名簿を閉じた。