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天の川よりの巨乳X襲来!?

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天の川よりの巨乳X襲来!?
天の川よりの巨乳X襲来!? 天の川よりの巨乳X襲来!?

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【五 ダーク・サイド・乳(にゅう)】

 マッサージ講座に、目を向けてみよう。
 女性限定のこのマッサージ講座だが、意外な程に盛況で、大勢の美女がラナの手ほどきを受けている……筈なのだが、しかしどういう訳か、このマッサージ講座が行われている簡易テントのすぐ傍らに、若い男がひとり、首から下を、砂の下に埋められてしまっている。
 彼こそは知るひとぞ知る、のぞき部部長弥涼 総司(いすず・そうじ)であった。
「ふっ……つわものどもが夢のあと、か……」
 自嘲気味に笑う総司だが、その姿はお世辞にも格好良いとはいえない。
 そんな総司が何故こんなところに埋められているのかというと、経緯は至極単純で、ラナのマッサージ講座を覗こうとしたところをハイナに見つかってしまい、その場に居合わせた講座参加者のコントラクター達から袋叩きにされてしまったのだ。
 総司にとって誤算だったのは、マッサージ講座に参加しているのが美緒、ハイナ、エンヘドゥの三人だけではなかった、というところであろう。
 しかしながら、もっと大きな誤算に泣かされている者が居る。
 総司とはのぞきに対する異なる観点から、一時的に決別してしまい、別方法でのぞきを敢行しようとしていた田中 土下座ェ門(たなか・どげざえもん)である。
 一歳児という外観と、必殺の邪気眼レフでおっぱいをひと目見るという作戦に出た土下座ェ門は、そのプランだけを見れば完璧な成功率を誇っているといって良かった。
 ところが、そうは問屋が卸さない。
 流石に一歳児を放置してマッサージ講座を受講するというのは、この場に居る全ての女性が難色を示し、解決策を模索していたところに、九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)が顔を出した。
 ジェライザ・ローズはマッサージ講座を受けるつもりであったが、どういう訳かラナがジェライザ・ローズをひと目見るなり、丁重に断ってきた為、参加は叶わなかった。
 しかしその一方でジェライザ・ローズは、医療従事者の観点から一歳児を放置しておく訳にはいかないと考えた為、短時間であれば、その場で土下座ェ門の面倒を見ようという話になったのだ。
「申し訳ありません……受講をお断りした上に、こんな小さな子供のお世話までお願いしてしまって」
「時々、小児科の手伝いもしてるから、一歳児の面倒は得意なもんだよ」
 心底申し訳無さそうに頭を下げるラナに、ジェライザ・ローズはまるで気分を害した風も無く、落ち着いた調子で土下座ェ門を抱きかかえた。
 この時、土下座ェ門は巨乳のラナではなく、スレンダーな体型のジェライザ・ローズに抱きかかえられることに強い不満を抱いたが、それでも女性であるには変わりはないと自らを納得させ、まずはこのジェライザ・ローズのボディから堪能してやろう、と必殺の邪気眼レフを行使した。
 ところが――。
(ムムムム! これは一体どうしたことだ!)
 内心の奥の方で、ひどく動揺した土下座ェ門は、何故か異様な程にぺったんこのジェライザ・ローズの胸元を何度も何度も凝視する。
(カモフラージュ!? そんな抵抗は、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!)
 無駄無駄ラッシュを口の中で唱えながら、土下座ェ門はふと、ジェライザ・ローズの下半身へと視線を落とした。
(……うっ……グハッ!)
 不意に土下座ェ門の口角から、泡が噴き出した。
「おい、どうした、大丈夫か!?」
 流石にジェライザ・ローズも慌てた様子で、土下座ェ門を手近のベンチに寝かしつけ、触診に入った。
 一方の土下座ェ門はというと、己の不運を呪うしかない。
 実のところジェライザ・ローズは、本来の性別は女性であったが、この日に限っていえば、あの特殊な海水に浸かり、我知らず男体化してしまっていたのである。
 つまり、ラナにマッサージ講座を断られたのはこの男体化が原因であり、そして同時に土下座ェ門は、ジェライザ・ローズの股間に収められ、しきりに自己主張しているイチモツを、直接的ではないにせよ、至近距離からその目に焼き付けてしまったのである。
 だが、それも序の口である。
 実はこの後、五色の浜に遊びに来ていた馬場 正子(ばんば・しょうこ)が、ジェライザ・ローズが土下座ェ門の扱いに困り果てているところに姿を現し、一緒になって対応しよう、ということになったのである。
 そしてその際、土下座ェ門は正子の水着姿を直視してしまった。
 いわばここからが、土下座ェ門にとっての本当の地獄の始まりであった。

 妙な闖入者(とまではいえないかも知れないが)による若干の騒ぎはあったものの、ラナのマッサージ講座はその後も滞り無く進められている。
 特に、色んな意味で優秀だったのが、茅野 菫(ちの・すみれ)冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)の両名である。
「はいはい、いや見事見事……よくぞこんなに、大きくなったもんだわね。けしからんよ、実に全くもって、けしからんよ」
 余人が聞いてもよく分からない独りごとをぶつぶつと呟きながら、エンヘドゥの肩、ではなく何故か胸を必死に揉み続ける菫。
 対するエンヘドゥも、菫の手がほとんど巨乳にばかり触れている点に、いぶかしげな表情を浮かべながらも、一応はなされるがままになっている。
 菫の手つきは、極めていやらしい。
 それは間違い無いのだが、しかし凝り固まった筋肉も同時にほぐしている為、それなりに効果はあるらしく、胸を中心に触っているからといって、無理に止めさせる訳にもいかなかった。
「えっと……肩こりの解消は、胸のマッサージから、ということになるのでしょうか?」
「さぁな。わしは肩こりなんぞにならんので、よく分からん。そもそも乳がでかいからといって、それだけでこるというようなものでもなかろう。矢張り大事なのは姿勢だよ、姿勢」
 自身も相当な巨乳の持ち主である相馬 小次郎(そうま・こじろう)が、菫のいやらしい手つきでのマッサージを施している隣で、やや戸惑いがちのエンヘドゥに文字通り、胸をそっくり返らせて応じた。
 菫の魔の手は、エンヘドゥの巨乳だけにとどまらない。次は、美緒の番である。
「それでは、宜しく頼むでありんす」
 別段、肩がこっているという訳でもないハイナだが、菫のマッサージ技術の鍛錬の為にということで、自身が次の揉まれ役に買って出てきた。
「さぁ、いくよ! 手加減しないからね! マッサージは格闘技だ!」
 嘘である。
 マッサージにバトル要素があろうなどとは、誰も聞いたことがない。
 しかしハイナは、そんなものかと適当に相槌を打ちながら、簡易ベッド上に寝転んだ。
 隣の簡易ベッドでは、うつ伏せになった美緒に対し、小夜子がいよいよ実践に入ろうとしている。
 小夜子自身、マッサージの心得はある方だったが、この場ではラナの教えをしっかりと守り、美緒の内部筋肉をしっかり揉み解すことだけに意識を集中している。
 少なくとも、菫のように乳そのものが目当てであるような、邪な心は抱いていない。
「では、宜しくお願いします」
「はい……こちらこそ、宜しくお願いしますね」
 美緒は既に一度、ラナの手で全身を揉み解されているからリラックスしているが、小夜子はこれが最初のマッサージである。幾分緊張しており、手が微かに震えていた。
「これこれ……揉み手側が緊張しておっては、話にならんだろう」
 小夜子の緊張を敏感に察知した小次郎が、呆れた様子で声をかけてきた。
「妙な姿勢で揉むと、マッサージの効果など無いのではないか?」
「えぇ、その通りです。小夜子さん、もっとリラックスして、力を抜いて揉んで差し上げてください」
 小次郎の言葉を受けて、ラナが小夜子の傍らに立ち、手ずから指導する姿勢を見せた。
 一方、菫が担当するベッドでは。
「い、いたたたた! 痛いでありんす! もっと優しく揉んでおくんなまし!」
 菫がハイナの巨乳を鷲掴みにしている姿が、小夜子の視界に飛び込んできた。
 普通の乳とは異なり、ハイナの巨乳は規格外である。その分、触感も常人とは異なるらしい。
 如何に菫といえども、手強い相手になりそうであった。

 このマッサージ講座には、本来なら立ち入り禁止である筈の『男』が紛れ込んでいる。
 正確にいえば、女体化した男、であるが。
 ひとりは如月 正悟(きさらぎ・しょうご)、そしてもうひとりは誰あろう、山葉 涼司(やまは・りょうじ)であった。
 正悟の場合は、同伴しているエミリア・パージカル(えみりあ・ぱーじかる)が黙ってさえいれば誰にも気づかれる心配は無いのだが、問題は涼司の方である。
 同伴しているのが、先頃入籍を果たした山葉 加夜(やまは・かや)であった為、誰の目にも、女体化涼司の正体がほとんどバレバレだったのだ。
 正悟は、女性としての端正な面立ちのまま、加夜の隣でどぎまぎしている女体化涼司を、半ば憐れむような目で見ている。
(あ〜あ……こりゃ、完全に針のむしろ状態だな。可哀想に)
 同情してはみるものの、しかし自分とて、正体がバレれば大変な騒ぎになってしまう可能性がある。
 エミリアがどことなく責めるような、或いは困惑したような表情を浮かべているものの、今のところは何もいわずに黙ってくれているので事無きを得ているが、正悟も警戒には警戒を重ねる必要があった。
 ひとまず正悟は、小夜子のマッサージを受けている美緒の隣に椅子を寄せて、雑談を交わしている。
 本来なら美緒に己の正体を明かしたいところであったが、場所が場所だけに、おおっぴらに明かす訳にはいかなかったし、美緒から変な目で見られる恐れがあった。
 仕方がないので、エミリアと正悟の共通の友人という架空の人物を装い、美緒とは当たり障りのない会話で終始している。
(う〜ん……何だか、勿体無いよなぁ。折角こういう珍しい機会に恵まれたんだし、もっと色んな本音トークを楽しみたかったんだけど……)
 だが、この場はとにかく、我慢するしかない。
 一方の涼司はというと、妻の加夜から『涼ちゃん』と呼ばれたりしているのだが、もうその呼び方だけで十中八九、正体がバレているようなものである。
 女体化した涼司は、そこそこに可愛らしい容貌を見せてはいるが、あからさまにどぎまぎしている怪しげな言動が、疑惑を更に深める始末であった。
「涼ちゃん……もうちょっと、落ち着きましょうよ」
「んなこといわれてもよぉ……じゃなかった、いわれたってぇ」
 女体化涼司の狼狽ぶりは、既に半ば正体を見抜いているラナやハイナから見ても、気の毒な程であった。
 流石に女体化涼司を他の参加者に触れさせる訳にはいかないと判断したラナは、加夜と女体化涼司でペアを組ませてマッサージを互いにかけさせ合う、という方法を選んだ。
「それじゃ涼ちゃん、そこのシートの上にうつ伏せになってください」
「おぅ……あ、いや……えぇ、そうね」
 女体化涼司は緊張に強張ったまま、指示されたシート上に身を倒す。その視線は、どこか宙を彷徨っているようにも見えた。
 当初加夜は、女体化涼司が他の女性に目移りするのではないかと内心で心配していたが、それはもう、最初から杞憂に終わっている。
 今の女体化涼司には、自分の身を守ることで精一杯であり、加夜以外の女性など端から眼中に無かった。
「はい、それじゃ涼ちゃん、始めますよ〜」
 加夜はなるべく力を抜いて、優しい手つきで女体化涼司の体に触れた。
 ところが、あまりに優し過ぎて妙に気持ち良かったのか、女体化涼司は思わず、
「うひょっ」
 などと変な声を漏らしている。
 簡易テント内のそこかしこで、微かな失笑が幾つも漏れた。