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リアクション
あれから少し経って。
洋考、セレン、セレアナの元に、洋、みと、エリスの3人が合流したのだが、未だに怪物の対処はできていなかった。
攻撃しても傷が瞬間的に再生していくのでダメージも与えられず、動きを一時的に止めることさえもできない。
洋、みと、エリスの3人が、光条兵器やらブリザードなどのスキルやらヴォルケーノのミサイルをぶっ放し、下手すると小さな街一つ吹っ飛ぶんじゃないかって程の火力を費やしても、怪物の動きがとまることはなかった。
目的はピザ配達なんだから逃げれば良いんじゃ!? ってことで逃走を試みたのだが、明らかにバイクや小型飛空艇より何倍も早いスピードで追ってくる。
まさにお手上げ状態なのである。
\(^o^)/の状態なわけである。
そして、
「あぁ、もうっ! なんなのよ! あっち行ってよ! …ってかそこォ!! 見てないでなんとかしなさいよ!」
何故か、6人もいるのに、セレンだけが執拗に襲われていた。
他の5人は何故か完全にスルーだった。
なので、他5人は傍観しながら策を考えていた。
「ふむ。女好きなのか? あの怪物は」
と、洋。
「いや、それはないでしょ。女一杯いるし」
と、セレアナ。
「好みのタイプだったとか?」
と、洋考。
「ありえますわね」
と、みと。
「それなら捕まったらヤバい感じですね。色んな意味で。以上」
と、エリス。
「ちょっとコラぁ!! 真面目にこの状況を打開できる策を考えなさいよ!! その会話からするとあたしとんでもないエロピンチなんだけど!?」
と、セレンが割と切羽詰まった声で叫ぶ。
というかさっきからずっと逃げ回っているのだ。
そろそろ体力も限界なわけである。
「そうね。そろそろ時間もヤバいわ。なんとかしないと」
セレアナは時計を見ながら呟く。
「ピザだけあの姉ちゃんからこちらに渡せないかな。先に配達を済ませておいた方がいいよ」
洋考は言う。
ピザのバッグを持っているのは、セレンだった。
「いや、それはやめておいた方がいい。もし、怪物の目的が彼女でなく、ピザだったとしたら、マズいことになる」
洋が言う。
「しかし、それだと洋考のピザバッグも狙われるはずでは?」
みとが冷静に言う。
「だよな。いまいち怪物の目的が分からない。ピザが目的なら、私が頼んだ洋考のピザを食わせてよかったんだが」
と、洋が何気なく言った一言に、エリスが大きく反応した。
「洋考様のピザ、使ってもよろしいのですか? 以上」
エリスは身を乗り出して洋に聞く。
「え? あ、あぁ」
洋は突然なことだったので、驚いてエリスから身を引いた。
返事をもらったエリスは、素早く行動に移る。
洋考のピザバックから、ピザパックだけを取り出した。
中身はシーフードピザ、キマクスペシャルである。洋の注文で、一番高額なトッピングを施してある。
それを手に、エリスは怪物に一人、近づいて行った。
慌てて洋考達が止めにかかるが、もろともせずに近づいていく。
そして、エリスはある程度近づいたところで、ピザパックの蓋を開けた。
チーズやトッピングした食材の香りが辺りに漂う。
その瞬間、ぐるん、と。
怪物の首がエリスの方を向き、突進してきた。
そして―。