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リアクション
第6章 混沌風呂
こちら、ワイン風呂。
その隅でドクター・ハデス(どくたー・はです)達はお酒を囲んでの囲炉裏端会議を行っていた。
「フハハハ! さあ、この世界の支配権を、世界征服のために勝利を我が手にしようではないか! 十六凪!」
「はい、咲耶君、神奈君。今回の作戦を伝えます」
「はい!」
天樹 十六凪(あまぎ・いざなぎ)はなぜかワイングラスを片手に持ちながら話し始める。
高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)と奇稲田 神奈(くしなだ・かんな)は十六凪の言葉に耳を傾けた。
「これを飲むのです、二人とも」
「えっ……これって焼酎ですか?」
十六凪が出してきたのは2リットルペットボトルに入った焼酎だった。
焼酎には【特注】という文字が入っている。
「ただし、ただのお酒ではありません。裏ルート手に入った【激やば偽アルコール40度】です」
「う……わらわもこれを飲まねばならぬのか?」
「当然です。名付けて、『敵を酔わすには、まず味方から作戦』です!」
二人は顔を驚いたり困惑した表情で見合った。
「本当に大丈夫なのかのう……こんなの飲んだら、酔いつぶれそうなのじゃが」
「い、十六凪さんのことですからきっと深い考えがおありなのですよ」
「ふむ……たしかに参謀が言うのじゃから、何かあるのじゃろうな……仕方あるまい」
神奈は少し苦しそうに、咲耶は無理してお酒を飲み干した。
「の、飲んだのじゃ」
「フフフフ、さあゆくのだ改造人間サクヤ、巫女剣士カンナよ! ほかの参加者達を蹴散らし今こそオリュンポスの驚異見せつけるのだ!」
ハデスのかけ声とともに、神奈と咲耶はそれぞれ同じ方向へと歩いていった。
その間ハデスと十六凪は不適な笑みを浮かべた。
「ククク、我が秘密結社が誇る参謀殿の考えた策さえあれば、我らオリュンポスの栄光は間違いないな」
「ふふふ、ハデス君の指揮力も重なってこそですよ。さあ、我々はのんびりとこのワインをゆっくり飲みながら観戦するとしましょう」
「わたしと飲み合いで勝負れふっ!!」
「えっ、わたしですぅ?」
突然冬蔦 日奈々(ふゆつた・ひなな)は声をかけられ、驚いた。
咲耶に声をかけられた日奈々はお酒こそは飲める物の、目が不自由なため勝負をするには少々ハンデがあった。
「その、勝負。俺が引き受けましょうか」
「むむっ、何者です!」
「紫月 唯斗(しづき・ゆいと)と言います」
唯斗は律儀に名前で答える。
ずっと日奈々の付き添いとして後ろについてきていた唯斗はどこからか焼酎を出してきた。
対して咲耶はワインボトルを手に取る。
「私も飲むわよ―っ!」
そういって意気込んで入ってきたのはリーズ・クオルヴェル(りーず・くおるう゛ぇる)
「いきま〜ふ〜っ!」
3人は一斉にお酒を飲み始める。
減りは五分五分といった感じだ。
「……なんだか楽しそうですぅ。私も飲むですぅ」
日奈々も同じようにワインを飲む。その飲みっぷりはゆっくりではあるもののを、量は多かった。
「わっ、楽しそうなことしてるね〜、私もまざる〜っ」
そういって、日奈々の横にはルカルカ・ルー(るかるか・るー)も混ざる。
〜30分後〜
「唯斗〜おいしい?」
突然、リーズが唯斗に後ろからのしかかる。
耳元で話してくるたびに息がかかり、こそばゆさが唯斗を襲う。
「え。ええ……おいしいですね」
「でしょ〜おいしいよね〜はぷっ」
さらにはリーズは唯斗の耳を甘噛みしてくる。
「お、おい!?」
「ふにゃあっ、にゃに〜……あれ……なんだか眠くなってきたよ〜」
リーズはそのまま、唯斗の背中で寝息をあげ始めた。
唯斗は静かにリーズを背中から話すと、椅子の上に寝かせた。
そして、危機感を唯斗は感じた。
「これはやべぇ……このお酒無駄に酔いやすくないか」
この調子でいけば、今のみあっている人たちは全員酔う可能性が高かった。
それどころか、周りは唯斗以外全員女性であることもあり、焦りがさらに連なる。
「早いところ、脱出しなければ!」
「ふわぁあ〜、ふかふかれすぅ〜」
「きゃ、ちょっと〜くすぐったいよ〜」
唯斗が元に戻ると、すでに酔っていた日奈々はルカルカの胸を揉んでいた。
くすぐったさにルカルカは悶えながらも耐える……が、次第に胸につけられた水着がゆっくりとずれていく。
「っととと、そこまでにしておいた方が良いですよ」
唯斗は慌てて日奈々の肩を抱え、後ろに下げた。
「ふわ〜おさけ〜。お酒のみらいれすぅ〜」
「酔っていらっしゃるみたいですし、その辺にされては――」
「酔ってなんかいないれす〜おさけ〜おさけもういっぱいだけのみらいれふ〜」
「はいはい、どうぞ」
「わぁい〜」
日奈々は唯斗の肩の上で、からになったグラスを受け取ると、見えない何かを飲んだ。
「きゃっ!」
「!?」
足どりのおぼつかない日奈々が何かに躓き、前のめりに倒れる。
その弾みで持っていたグラスが宙を舞うが、唯斗はそれを間一髪のところでキャッチした。
だが。
「……っ」
「あ……れ?」
唯斗の水着はなぜか、下に降りていた。
というのも、日奈々がこけた弾みで手を引っかけ降りていたようだった。
「……ふわ? 何かやったらいけないことをやったようなきがするですぅ」
目をきょとんとさせる日奈々をよそに、唯斗は慌てて自身の水着を元に戻した。
そして、とにかく冷製、平然を装った。
「さ、さあ。あちらに行きましょう。あちらでもっとお酒が飲めますよ」
とにかく日奈々を介抱するのにしばし時間を費やしたのだった。
さて、そのころ神奈は……。
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