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死の予言者

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死の予言者

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 葦原の大通りをハートキャッチな娘三人組(二人は男w)が歩いて行く。
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)(♀)と夏侯 淵(かこう・えん)(♂)と竜胆(♂)であある。
 彼らは、調査班として主に聞き込み捜査をしていたのだが、どう見ても、女の子三人の楽しい街ブラにしか見えない。
「また会えて嬉しく思うぞ、竜胆殿」
 夏侯 淵が言った。
「私もです。あのときいただいた小へびちゃんも元気ですよ。千代丸と名付けてかわいがっております」
 竜胆が微笑みながら答える。
「竜胆は元気してた?」
 ルカがたずねた。
「はい。ルカルカさんは?」
「うん、ルカ達はいつも元気(笑)」
 ガッツポーズをとるルカを見て竜胆は笑顔を浮かべた。こちらまで元気になれそうだ。
「それにしても、死の占い師なんて怖いですね」
 竜胆の言葉にルカはうなずいた。
「だよねぇ、どうせなら良い占いだといいよね。それに、殺すならサクッと殺せばいいのに、どうして予言して日数置いて殺すのかな?」
「私もずっとその事を疑問に思っていたのです」
「必然性っていうやつ? 何か理由があると思うんだけど、敵の正体もだけどそれも知りたいな」
「そうですね」
「とにかく、死の予言だなんて人騒がせな事をするのは、とっちめてやろうかなって」
「私も同じ気持ちです」
「でさ。もしかして、もしかすると、この事件はさらなる謎と展開を生むかもね」
「え? そうでしょうか?」
「うん。もしそうだとしても、勿論解決まで手伝うからね♪」
 ルカルカは、そういうと竜胆の手をぐっと握った。
「ありがとうございます」
 竜胆は頼もしげにうなずいた。
 その時、一人の女性が竜胆達に近づいてきた。イナンナ・ワルプルギス(いなんな・わるぷるぎす)によく似た赤毛の女性だ。
「あなたは?」
 竜胆が首をかしげると、女は声をひそめて答えた。
「私よ。ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)
「え? 本当にローザマリアさん? でもその姿は?」
「変装したのよ。完璧でしょ?」
 彼女は、【イナンナなりきりセット】を着用し本物そっくりに造形されたイナンナ・ワルプルギスの顔マスクの上からフェイスマスク【スパイマスクα】を装着して軽く化粧を施し、顔を赤毛で垂れ目ながら優しげで知的そうな眼鏡をかけた色白の女性へと変えていた。
 先ず、聞込みとは言ってもあからさま過ぎれば敵側に此方の動きを察知される恐れがある為、あくまで隠密裏に情報を収集しようと考えたのだ。
「それで、何か手がかりは見つかったの?」
 ローザマリアの言葉に竜胆は首を振って答える。
「残念ですが……」
「そっちは?」
 ルカルカがたずねた。
「私は今から聞き込みをするつもりよ。いい考えがあるの」
 そういうと、ローザマリアはルカルカに何か耳打ちをした。
「偶然だね。ルカも同じような事を考えてたよ」
 ルカはそういうと、二人は連携しようという事で話がまとまった。

 そして、竜胆達と別れると、ローザマリアは変装した顔の上に、更に【パーティマスク【バーバヤーガ】】を被り三重にフェイスマスクで素顔を多い隠した。そして、腰が曲がり気味の老婆の姿になる。その姿のまま、人の集まる場所を探した。見ると、集会所があり人が集まっている。ローザマリアは老婆の姿のまま、その集会所に近づいて行った。
 どうやら、囲碁大会があり皆で見物しているらしい。
「あたしも混ぜてもらっていいかね?」
 ローザマリアはそういうと、ちゃっかりその輪の中に加わった。
 隣にはいかにも口の軽そうな女が座っている。ローザマリアは、その女に向かってさりげなく話しかけた。
「最近、この辺りに寿命を当てる占い師がいるそうですねえ」
「ああ。私も噂は聞いた事があるよ」
「すごいですねえ。なんでも百発百中らしいじゃないですか。是非占って欲しいと思っているんですけど、どこに住んでるか知りませんか?」
「分からないね。いつもどこからともなくふらっと現れて陽炎みたいに消えちまうそうだから。特定の場所で店を開いているわけもなさそうだし」
「誰か、つてはありませんかねえ?」
「いないね。とにかく不気味な幽霊みたいなじいさんなんだ。それに、あんな奴に占ってもらおうなんてやめた方がいいよ」
 どうやら、めぼしい情報は得られそうもない。それで、ローザマリアは話題を変えた。
「ところで、知っていますか? 今度、明倫館の中に新しく幻心道場が出来たらしいですよ」
「え? 本当かい?」
「本当ですよ」
「でも、なんであんたがそんな事を知っているんだい?」
「先日、物盗りに襲われそうになった所を荒田幻心と名乗る人間に助けられたんですよ」
「荒田幻心? そいつなら知ってるぜ。何年か前に幻心道場をやってた人だろ? けど、あいつは殺されたんじゃねえのか?」
 火消しっぽい男が話に割って入って来る。他にも数名の人間がローザマリア達のやりとりに注目しているようだ。いい感じだと思いながらローザマリアは言った。
「殺されかけたけど、実はうまく逃げ延びる事ができたと言ってましたよ」
「へえ。そんな事があるのかねえ?」
 もちろん全て、嘘である。虚偽の情報を意図的に流し敵側を混乱させようと考えたのだ。
 しばらくすると、この噂はすっかり集会場に広まっていた。一日もすればこの界隈中の噂になるだろうとローザマリアはほくそ笑む。
 そして、物陰に隠れると、今度はパーティマスク【バーバヤーガ】を脱ぎ【スパイマスクα】の容貌になり若者の集まる食堂に入って行く。そして、相席を御願いしつつ食事のなかで世間話に興じ情報を集めていった。しかし、やはりめぼしい情報はない。仕方なく、ローザマリアは先ほどと同じ嘘の情報を若者達に向かって流しておいた。
 そのローザマリアを物陰から見つめる者がいる……