校長室
【ですわ!】パラミタ内海に浮かぶ霧の古城
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◎第10章―2 外部からの攻撃。 「あんた、嘘ついてないでしょうね!?」 第2の塔の最上階で、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は捕まえた魔法使いを尋問していた。 「島の紫水晶をある程度破壊すれば、あの黒い球体が壊れる。そうよね!?」 既にボロボロの魔法使いのこめかみに、銃を突きつけるセレンフィリティ。 魔法使いは命惜しさに、事実を認めた。 「それじゃあ、みんなに――」 「連絡なら済ませたわよ」 セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)が、他の生徒達へ手に入れた情報を送っていた。 「セレン、私達も水晶の破壊に向かいましょう」 「オッケー。っと、あんたは寝てなさいね!」 セレンフィリティは魔法使いを気絶させると、塔を駆け下り始めた。 「これを破壊すればいいんですね」 連絡を受けた紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は、森の中で光る紫の水晶を見つけた。 【雷術】を使って水晶を攻撃すると、思っていたより楽に破壊することが出来た。 「まずは一つ……ん?」 ふいに気配を感じて木の上に身を潜める。 すると、狩人達が慌てた様子で、森を駆けていった。 「こちらの動きに気づいたようですね……」 唯斗は慎重に次の水晶を探しに向かう。 「敵の数が多いですね……」 月詠 司(つくよみ・つかさ)の前に狩人達が立ち塞がる。その奥には紫水晶が見えていた。 「ツカサ、今こそ本当の力を見せる時よ!」 「そうでした! まだ限定解除がありますね!」 シオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)の言葉で、限定解除が残っていることを思いだした司。 さっそく、その力を発動させる。 すると、包帯となっていたアイリス・ラピス・フィロシアン(あいりす・らぴすふぃろしあん)が魔法少女として人間形態に戻る。そして残った司は―― 「……なんですか、これ?」 元の成人男性の体に、ネコ耳とネコ尻尾と薔薇のコサージュ(ミステルくん)がつき、所々男の肌が透けた丈の短いゴシック和装束を身に着けていた。 女装……というよりは危ない趣味の人みたいだ。 その姿を見た狩人達は、怒りの雄叫びをあげて迫ってくる。 「なんだ、お色気作戦失敗か」 「当たり前です! 余計に怒ってるじゃないですか!!」 シオンを怒りながら、逃げ惑う司。 なんだかんだで身体能力が上がっていたのは嬉しかったが、走るたびにめくれて下着が見えることや、背後で狩人達が吐きそうになっているのが辛かった。 「や……やっとついた……」 生徒達と古城のテラスに辿りついたリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)は、疲労から床に顔をつけて倒れた。 ここまで連戦続きで全員がクタクタだった。 それでも騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は、太ももに両手を置きながら首を動かす。 「これ、全部例の水晶だよね。大変そう……じゃあ、ちゃちゃっと片しちゃおうか☆」 詩穂は明るい声を絞り出し、仲間と励まし合いながら水晶を破壊していく。