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夏の雅に薔薇を添えて

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夏の雅に薔薇を添えて

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第7章 空に花の咲く頃に7





クマの人形を抱きながら花火を見上げるグィネヴィア。
その横にはナディムが付き添っている。


「目的のものが取れて良かったな」
「そうですわね。 感謝しますわナディム」
「いやいや。 それよりグィネヴィアのお嬢さん、
 どうして射的をやろうと思ったから教えてくれないか?」


そういわれるとグィネヴィアは、
射的で手に入れたクマの人形をそっとナディムに手渡す。


「それ、プレゼントいたしますわ」
「プレゼント? 俺に?」
「その…前にお渡ししたクッキー、ところどころ焦がしてしまいましたし、
 こないだはテディベアも貰いましたし…何かお礼を出来ればと……嫌でしたか?」
「そんなわけないだろ? ただお嬢さんから何かもらえると思ってなかったから驚いただけさ」
「わ、わたくしだって、誰かにプレゼントしようだなんて思ったの初めてですもの!」


そんなグィネヴィアの姿を見て、嬉しい気持ちになるナディム。


「じゃあこれで貸し借りなしだ。
 次は何かのお礼じゃなくて、2人で楽しむために遊ぼうぜ」
「ナディムがそういうなら………分かりました、約束ですわ」




               ◇ ◇ ◇





「やっぱり花火も派手ね〜、薔薇学は。
 あんまり夜は遊べなかったけど、フリューネと花火が見れたからいっか」
「私もリネンと見れて嬉しいわ」
「それにしても、他にも誘われてたんなら言ってくれれば良かったのにー」
「あれは言おうとしたときにちょうど行っちゃうからでしょ」
「冗談よ。 フリューネが私がいない間暇してなくて良かったわ。
 またこういう機会があったら一緒に来ましょうね」
「ええ、もちろんよ。 また声をかけてもらえるの、楽しみにしてるわ」


こうしてまた会うことを約束するリネンとフリューネ。
2人の絆はいつまでも途切れることはないだろう。


               ◇ ◇ ◇





「やっぱ花火はいいもんだな〜ねっ、ルミーナさん」
「そうですわね」
「でも、やっぱりルミーナさんの浴衣姿の方が綺麗だぜ」
「も、もうからかわないで下さい」
「からかってるもんか、俺は本気だぜ。 愛してる、ルミーナさん……」
「……夫婦になって初めてのイベント…わたくしはとても楽しめました。 今日はありがとうございました」


ルミーナ・レバレッジと隼人・レバレッジ。
2人の影は1つになる。


彼らの折った鶴が一瞬動いたような気もするが、きっと風のいたずらに違いない。