天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

夏合宿、ざくざく

リアクション公開中!

夏合宿、ざくざく

リアクション

    ★    ★    ★

「さあ着いたぞ。幸運の場所、13だ!」
 しっかりと宝探し用の地図を両手に握り締めながら、マネキ・ングが言いました。ちゃんと、13と44の場所に赤く×印がつけてあります。
「出番だ、ジョウジ」
「うおりゃあ!!」
 マネキ・ングに名指しされて、御手洗ジョウジが派手な水飛沫を上げながら、浅瀬をかき回しました。
「オウッ! フォー! ポー!!」
 負けじと、マイキー・ウォーリーもスコップでしゃにむに浅瀬を掘り返します。
 激しく水と土砂が舞いあがる中、ボーンと宝箱が宙に舞いあがりました。
「おっとっと……」
 呆れながら見ていたセリス・ファーランドが、すかさずキャッチします。
「さあ、お宝、オープン!!」
 わくわくしながら、マネキ・ングがセリス・ファーランドを急かしました。
 中から出て来たのは、大量の『鏡餅』です。ちょっと動きだしそうな気もしましたが、今のところはぴくりともしません。
「これは、山分けかな」
 外れだったのかなあっと、セリス・ファーランドが言いました。まあ、みごと幽霊を引き当てるよりはずっとましだと思います。
「なんの、負けるものか。44番にむかうぞ!」
 めげずに、マネキ・ングが叫びました。何が何でも、人数分、いや、自分の分はアタリの宝物をゲットする気満々です。

    ★    ★    ★

「ああ、もう。なんなの、あの化け猫妖怪軍団!」
 思いっきり周囲の海水をかき回されて、びしょびしょにされた綾原さゆみが悪態をつきました。せっかく綺麗に纏めたツインテールからも、ぼたぼたと雫が滴っています。
 百鬼夜行が去るのを待って、綾原さゆみが、やっと落ち着いた14番区画の浅瀬を掘り始めました。
 潮干狩りの要領で、砂を熊手でかき分けていくと砂の下から何かがでてきました。すぐに砂に埋もれてしまおうとするところを、急いで掻き出してゲットします。
「なんだか大きいけれど、何かしら?」
 ちょっとドキドキしながら箱を開けると、中から『イコプラ・ヤークト・ヴァラヌス・ストライカー』が出て来ました。フライトユニットをつけた、真っ赤なヤークト・ヴァラヌスです。
「こ、これは……。アディに勝てるのかしら……」
 突っ込まれるのは必然だと思う綾原さゆみでした。

    ★    ★    ★

「ローゼンクライネー。うーん、まさか、泳いでいて、沖に流されちゃったということはないだろうけれど……」
 15番地区の浅瀬を探しながら、コハク・ソーロッドが言いました。まだ、ローゼンクライネは見つかっていません。
「とりあえず、掘ってみようか」
 そう考えると、しゃがんで浅瀬を掘り始めます。
「どいてどいてどいてー。ここよ、ここにお宝があるって、ワタシの野生の勘が叫んでいるんだもん!」
 なんだか叫びながら、ノーン・クリスタリアが迫ってきます。ただ、パラミタイルカに乗っているので、浅瀬ではうまく進むことができません。身体の半分以上を水から出して、パラミタイルカがキュルキュルと浅瀬を転げ回ります。おかげで、ノーン・クリスタリアは、背中から振り落とされないようにするのが精一杯でした。
「どいてったら、どいてー!」
 突っ込んでくるノーン・クリスタリアに、砂の中から宝箱を見つけたコハク・ソーロッドが、それを持ってあわてて避難しました。
「ああああーっ、先越されたー」
 悔しそうに叫びながら、ノーン・クリスタリアがパラミタイルカと共に浅瀬を転がっていきます。
「えっと……」
 さすがに、パラミタイルカの下敷きになって溺れかけるノーン・クリスタリアを、コハク・ソーロッドが助け起こしました。
「何が入ってたの、なになになに!?」
 いい物が入っていたら許さないぐらいの勢いで、ノーン・クリスタリアがコハク・ソーロッドに聞きました。
「えっと……」
 とりあえず、コハク・ソーロッドが宝箱を開けてみます。
 中に入っていたのは『コンちゃん御挨拶券』でした。コンちゃんに見せれば、いつでも御挨拶をしてもらえるという券です。
「よし、罰ゲームだよね。さあ、ちゃんと泳げるもっと深いとこ行くよー」
 パラミタイルカに命じると、ノーン・クリスタリアは沖へむかって突き進んでいきました。そのまま、源鉄心たち一行のど真ん中を突っ切っていきます。もろにパラミタイルカに衝突されそうになって、思わずその場にしゃがみ込んでしまったティー・ティーでしたが、うまくパラミタイルカの方で避けてくれたようです。
「うおっ、あぶな。まあ、あの様子なら、この先も幽霊はいないか。みんな、大丈夫だったか?」
 浅瀬にダイブするようにして左右に避けたみんなにむかって、源鉄心が訊ねました。
「だ、大丈夫です。座っているから、大丈夫ですうさ!」
 腰の辺りを、寄せる波に洗われながら、ティー・ティーが必死に答えました。

    ★    ★    ★

「お宝、お宝、お宝ー」
『――いい、16番よー。16番、16番、16番……』
 お宝を求めて突き進むセレンフィリティ・シャーレットに、セレアナ・ミアキスが一所懸命念を飛ばしていますが、まったくと言っていいほど届いてはいません。
「多分、このへん。あたしの女の勘が、そう叫んでいる!」
 16番区画をみごとに通りすぎて、17番区画にやってきたセレンフィリティ・シャーレットが、元気に浅瀬の砂を掘り始めました。
 あっと言う間にどんどん掘り進んで、みごとに宝箱をゲットします。
「さすが、あたしの勘♪」
 やったねとばかりに、セレンフィリティ・シャーレットがドキドキわくわくで宝箱を開きました。はたして、中から出て来たのは、大判小判がざっくざく……とはいかず、何かの紙が一枚入っていたきりです。
「何これ?」
 その紙には『福神社お祓い券』と書かれていました。どうやら、福神社で、厄払いをしてもらえる券のようです。