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リアクション
第二章 情報収集
エリザベート達と調薬探求会の話し合いが終了してしばらく後。
丁度、素材採取と黒亜確保に山が賑やかな頃。
「話を聞いて飛んで来たよ! お土産ももちろん持参して!」
ルカルカ・ルー(るかるか・るー)はお土産片手に元気に登場。隣にはダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)もいる。
「お土産ですか?」
エリザベートはちろりとルカルカの手に持つに注意を向けた。
「うん。ダリル特製のモンブランと紅茶。和もいいけど洋もどうかなと思って」
ルカルカはニカっと笑った後、エリザベートの前にお土産を披露。箱の中から美味しそうなモンブランが顔を出しエリザベートを誘惑する。
「騒がしくなるがよろしく頼む」
ダリルはすでに騒がしくなりつつある状況を尻目にアーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)に一言挨拶をした。
「そうじゃな。お土産持参とは迷惑を掛けたようじゃの」
アーデルハイトは苦笑気味にうなずいた。
「いや、そちらが気にする事じゃない。ただ、エリザベートに会う度にあいつにスイーツを作れ作れとリクエストされるばかりでたまには自分で作れという話で」
ダリルは苦笑気味に言いつつルカルカをちろりと見た。
「ダリル、そう言わないの。ルカだってリクエストがあれば作るよ? 丹精込めた最高のスイーツを」
ルカルカは口を尖らせ不満いっぱいに言い返した。ルカルカも料理の腕はなかなかのものなのだ。
「それなら次は作れ」
ダリルは即切り返した。
「はいはい……どう? 美味しい?」
ダリルの相手を終えるなりルカルカはモンブランを楽しむエリザベートに感想を求めた。
「ん〜、おいしいですぅ」
エリザベートはもごもごしながら答えた。『調理』を持つダリル作なので当然の感想である。
「よかったぁ。はい、紅茶、熱いから気を付けてね」
感想に喜んだルカルカはエリザベートのために甲斐甲斐しく紅茶を用意する。
「はいですぅ」
エリザベートは紅茶を受け取るなり冷まそうと何度か息を吹きかける。
「今度はルカが作った美味しいスイーツを持って来るからね」
「それは楽しみですぅ」
ルカルカの次のお土産を楽しみにしながらエリザベートは楽しそうに飲んだり食べたり。
「……」
微笑ましい光景に苦笑から和みに転換したアーデルハイトとダリルは目が合い互いにうなずいていた。
しかしすぐに真剣な空気が場を塗り替える。
「……察しているとは思うが例の手紙の事を知りたくてここに来た」
話題を一番にしたのはダリルだった。
「確か上映会にも参加しておったな」
アーデルハイトは上映会の事を思い出し、うなずいた。二人がここに現れた時点でダリルの言うようにおおよその事は察していた模様。
「そうそう。知りたいの。多分だけど、大変な事になるんでしょ? だから詳しい事を聞いて二人の力になりたいの。きっと他の皆も知りたいと力になりたいと思っているはず」
ルカルカは力強くうなずいた後、優しい眼差しでエリザベートに話しかけた。幼いながらも校長という要職に就いている彼女の力になりたいくてここに来たのだ。
「……手紙ですかぁ。話してもいいですよ〜」
エリザベートは空になった皿を見つめながらあっさりと言った。元々話さなければならないとは思っていたので。
このまま話が開始されるかと思いきや
「話をするのは少し待ってくれないかな。採取ではなくこちらの会合に参加したいという知らせが入ってね。良ければ来てからにして貰いたいんだけど」
シンリが待ったを入れた。続々と山中へ人が向かう間にこちら側の参加を望む者達から連絡を受けていたのだ。
「俺は別に構わないが」
ダリルは受けない理由は無いため承諾し、他の三人の方に顔を向けた。
「ルカもいいよ。来るまでお土産見たり温泉に入ったりして待つよ。二人もどう? お土産とか温泉」
ルカルカは元気に即答し、エリザベート達に笑顔を向けた。
「いいですよ〜」
「同じ話を何度もするのは面倒じゃからな」
エリザベートとアーデルハイトも了承し、待ち人が来るまで時間潰しをする事に。
シンリとダリルは待ち人のために部屋に残りそれ以外の三人はかしましく風呂やお土産を見たりと賑やかに過ごす事にした。
山中。
「……手紙の内容が気になるな。これまでの事件と平行世界がどう繋がるのか」
素材採取募集の知らせを受けたグラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)は宿に向かっていた。
「それなら直接聞いてみましょう。会合に参加出来るように先方には話を通していますので」
とロア・キープセイク(ろあ・きーぷせいく)。素材採取募集の知らせを受けるなり『根回し』を持つロアは手紙の方に興味を持つグラキエスのために何とか会合に参加出来るようシンリに頼み了承を得ていた。
「しかし、これまで探求会と目立った接触をしていなかったというのに……急に話し合いとは、あの手紙にまずい事でも書かれていたのかもしれないな」
とウルディカ・ウォークライ(うるでぃか・うぉーくらい)。調薬探求会の横やりを念入りに阻止しようとする事に不審なものを嗅ぎ取った。予め横やりを阻止しなくとも対処出来るというのに。
「ウルディカの言う通り手紙に何か警告でも書かれているのかもしれないな。とりあえず急ごう」
グラキエスはそう言うなり歩く速度を上げた。
その後ろ姿にロアとウルディカは
「……私としては魔力を消す薬の方が気掛かりですが」
「そうだな。今回のこれで探求会の行動が遅れるのは困るな。活動に影響が出ないか確認を入れるか……しかし、会合とは不穏な物を感じて仕方が無い」
ぽつりと言葉を洩らした。平行世界云々よりも完全な健康体とはほど遠いグラキエスの状態改善の方が一大事なのだ。ただ、グラキエスの気持ちを優先するために先程口にはしなかったのだが。
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