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妖怪の山・黒亜の確保


 妖怪の山前。

「この山にいるのね。例の黒亜という女性は」
 桜庭 愛(さくらば・まな)が両拳を突き合わせながら山を見上げていた。
 その時、
「そうでありますな。イルミンスールよりも数段危険でありますよ」
 葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)が登場。ポータラカマスクと機晶ゴーグルで魔法薬対処をしっかりしていた。
「あら、あなたも狙ってここに?」
 愛は振り向き、吹雪を迎えた。
「そうでありますよ。たまには真面目に仕事をするために」
 そう言うなり吹雪は超遠距離にも対応している試製二十三式対物ライフルを見せながら言った。
「射撃というわけね」
 愛は銃から吹雪の手段を知り、
「そうであります。そちらはプロレスでありますな」
 吹雪は愛の赤いワンピース水着に膝パット、リングシューズと赤いオープンフィンガーグローブ姿から知った。
「そうよ。薬なんかに頼るなんてナンセンスだからプロレスに勧誘しようと思って」
「ほほう、自分はこの射撃で動きを封じるつもりであります」
 愛と吹雪は互いの目的を話してた。
 そして、
「それじゃ、互いの目的を果たすために頑張ろう。発見したら連絡を」
「分かったであります! 二手に分かれて行くでありますよ!」
 愛と吹雪は二手に分かれて黒亜捜索に励んだ。

 妖怪の山前。

「以前、ここで騒ぎを起こし見逃して貰ったのに性懲りもなく同じ事を繰り返して恩を仇で返す所業だ。これは放ってはおけないな」
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)は山を見上げながら黒亜の所業に腹立ちを見せていた。以前の騒ぎを知っている事と知り合いの妖怪がいるため怒りは強い。
「……発見したら捕縛してこんな騒ぎを起こさないようにしなければ。今回はもう甘い顔はしない」
 陽一は黒亜を確保し、アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)達との相談の上、ブタ箱にぶち込もうと考えていた。至極当然の事である。
「さてと」
 陽一は『妖精の領土』で山中での活動を快適にし『肉体の完成』と『ナノ強化装置』で魔法薬の対策をして侵入しようとするが
「……君は」
 山中に入ろうとする足が止まった。
 目の前に
「!!!」
 陽一に懐くてんがちょろりと現れたからだ。
 しかもその姿は
「大丈夫か!!」
 記憶の素材化が発現し、植物まみれであった。陽一は急いで駆け寄り、抱え上げようとするが、てんは陽一の手をすり抜けては入り口からは離れず通せんぼうをする。
「どうしたんだ?」
 陽一は以前見た懐く様子を見せないてんに何かあったのかと訝しんだ。
「!!!」
 てんは鋭く鳴き、通せんぼ。
 じっとてんを見る陽一は
「もしかして俺を心配して入らせないようにしているのか? だったら、大丈夫だ」
 しっかりとてんの気持ちを読み取り、ひょいとてんを抱き上げて笑みを浮かべた。小さな獣の通せんぼなど陽一にとっては何の障害にもならなかった。
「……」
 てんはじっと陽一を心配そうに見つめる。陽一が読み取った通りてんは被害に遭い、それと同時に救助のため人が侵入するのを見て陽一も来るだろうと考え止めようと来たのだ。
「俺よりも君を何とかしないと。このままじゃ、大変だ」
 事情を知る陽一はてんの胸に咲く輝く植物に危惧を抱いた。
 まずはてんを預けてから黒亜の追跡だ。
 一刻も早くてんを宿に届けるため陽一は漆黒の翼を広げ、空から宿に向かい到着するなり解除薬を飲ませて宿の者にてんを任せて仕事に戻った。

 てんを宿に届けた後。
「先導を頼むよ」
 前回の騒ぎにて黒亜の匂いを記憶したシャンバラ国軍軍用犬を先に行かせた。
「絶対にこれっきりにする。被害を受けたてんのためにも」
 解決に燃える陽一は荒馬のブーツで駆ける軍用犬を追った。
「……薬ごときが俺の邪魔は出来ない」
 宿で解除薬は服用しているが、月桂樹のバングルで魔力を回復出来るので念のために駆けながら自分にまとわりつく『風術』で吹き飛ばしながら突き進む。
 そして、狙撃手に出会った。