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リアクション
「ぬっ!? まだ力が足りないか!!」
世界コイルの前でマスク・ザ・ニンジャが悔しがる。コイルは微かに振動しているものの、まだ女神の魂はでてきてくれない。
装置の出力を高める為に、マスク・ザ・ニンジャはあたりを見回し、新しい裸体の提供者を探していた。
「――おぉっ! あんなところに御雷がいるではないか!?」
ニンジャが向かった先には、弟の高天原 御雷ことドクター・ハデス(どくたー・はです)がいた。
「フハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクターハデス!」
世界コイルなる謎めいた装置を前にして、おなじみの口上も冴え渡っている。
「こいつは実に興味深い! ここは【オペレーション・アマテラス】の実験に協力しようではないか!」
「うむ。我が弟ながら感心なやつだ。私のためにあそこまで熱心になるとはな」
マスク・ザ・ニンジャがうんうんと頷きながら、ハデスの様子を見守っていた。
当のハデスは、世界コイルという未知の装置に科学者魂を刺激されたのか。持ち前のスキルを総動員して怪しげな発明品を作りはじめる。
「ククク。エネルギー変換効率を求めるなら、胸の大きな女性を全裸にするのが効率よかろう!」
「……どうやら、私の出番はなさそうですね」
作戦内容を聞いたペルセポネ・エレウシス(ぺるせぽね・えれうしす)が、自分の小さな胸をおさえて肩を落とした。
「けど、裸なんて恥ずかしいですし。かえって安心したかもしれません。私は念のため、警備でもしていましょう」
気を取り直したペルセポネが周囲の見回りに赴こうとしたところで。
ちょうどハデスの 発明品(はですの・はつめいひん)が完成する。
ハデスはできたばかりの発明品を掲げながら、部下の怪人 デスストーカー(かいじん・ですすとーかー)を呼んだ。
「さあ、デスストーカーよ。我が発明品で、オペレーション・アマテラスを成功に導きたまえ」
「了解です、ハデス師匠! 八紘零の野望を阻止するためなら何でもやります!」
零に因縁を持つデスストーカーは、張り切ってハデスの命令に従おうとしたが――。
「えっ……。女性の服を脱がして躍らせるのが任務……なのですか?」
ハデスから作戦内容を聞かされ、戸惑うデスストーカー。初心な彼は女性に対する免疫を持ちあわせていなかったのである。
「……くっ。だが、この程度の試練! 乗り越えてみせる!」
決意した表情で、デスストーカーは発明品をつかんだ。
「強制脱衣しすてむ、起動シマス」
発明品から【アシッドミスト】が放出される。巨乳だけをターゲットにして、次々と女性の服が溶かされていく。
「きゃーっ! なによこれぇ……」
「服が溶けちゃう! いやぁぁぁん!」
アシッドミストで服を脱がされた女性たちは踊りをやめて、その場にうずくまった。濃度が調節されているため人体に害はないものの、さすがに全裸では踊りをつづけられない。
しかしそこへすかさず【機械の触手】が伸びていく。
多数の触手にしばられて、女性たちはむりやり踊らされてしまった。あっちでボインボイン。こっちでボインボイン。たくさんの大きなおっぱいが揺れ動くさまをみて、デスストーカーの頭のなかは茹で上がりそうになっていた。
「こ、これは任務なんだ! ハデス様の命令なんだ!」
そう自分に言い聞かせながら、デスストーカーは任務をこなしてゆく。
そしてふと、ある異変に気がついた。なにやら発明品の様子がおかしい。
ガガガガ……というノイズの後で、発明品がメッセージを告げた。
「えらーガ発生シマシタ。たーげっと、再設定シマス」
なんと、ターゲットが貧乳少女に変更されてしまったのである。
お約束の暴走をはじめた発明品が、次に狙いを定めたのは、会場を見回りしていたペルセポネであった。
「装置が勝手にっ!?」
「えっ、え〜っ!」
「逃げて下さい……ペルセポネ様っ!!」
だが、時すでに遅し。アシッドミストをまともに浴びたペルセポネの服は、みるみる溶かされてしまう。露わになっていくペルセポネの柔肌。
そこへ間髪入れずに触手が巻きつき、彼女を拘束した。
「きゃああっ! み、見ないでっ! デスストーカーくん……」
「ぺ、ペルセポネ様……」
裸になっていくペルセポネから、デスストーカーは目を背けようとする。
彼はペルセポネに対して、師弟愛や家族愛とはまた別の、ちょっと甘酸っぱい感情を抱きつつあるのだ。
「くっ……見ちゃダメだ! なのに、ペルセポネ様から目が離せない! どうなってるんだ……。まさかこれも、ハデス様の発明品のせいなのか……!?」
違うぞデスストーカー。それは君が、むっつりだからだ。
とはいえ、気になる女性の裸を凝視してしまうのは、年頃の男の子ならばしかたあるまい。
煩悶しながら発明品を止めようとするデスストーカーと、ほぼ全裸の状態でむりやり踊りに参加させられるペルセポネであった。
パートナーが大変な目にあっているのに、ハデスは裸踊りを見ていなかった。研究バカのハデスは女性の裸よりも、世界コイルの方が気になっていたのだ。
使いこなせばパラミタのエネルギーや通信をまかなえる可能性を秘めた、世界コイル。
ハデスは【オリュンポス研究員】とともにモニタリングをつづける。
「……ニコラよ。この世界コイルとやらは、一体どういう原理で動作しているのだ?」
コイルの前に立つニコラ・ライヒナームに、ハデスは疑問をぶつけていく。
「俺が見るに、従来の科学技術、機晶技術、光条技術、そのどれにも当てはまらないようだ。研究員によると生体反応のようなものを感じるそうだが――。それすら、確認されているどんな生物とも違うらしい」
「そのとおりだよ。実はね、世界コイルっていうのは、ライヒナーム家に伝わる……」
コイルの秘密について、語りはじめたニコラだったが――。
「変態さんは、駄目なのーっ!」
及川 翠(おいかわ・みどり)が、世界コイルに向かって突撃してきた。
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