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リアクション
第 3 章
蒼空学園の講堂では、開発会社の技術者や他校から調査の助けとなるよう集まった契約者達があれこれと手段を試していた。そんな中でカル・カルカー(かる・かるかー)はゲームの開発者を呼び出し、基本仕様の説明を受ける。その説明の過程で開発そのものを請け負った会社の技術者ではなく下請け会社に丸投げしていた事が判明したのだった。
「ちょっとこれは……そんな無責任な『仕事』ってありかよ! 自分で組まないプログラムで稼いでるって、不具合出ても対応出来ないじゃないか!」
怒り出したカルに開発者と請け負った会社の技術者が平謝りするも、このレベルのバグはそうそう起こるものではない。
「カル、落ち着いて下さい……平常心はどんな戦いでも重要ですよ」
端末を借りていたジョン・オーク(じょん・おーく)がプログラム文法に基本的なミスがないかどうかチェックしながらカルを諌めた。このプログラムのどこかに『悪意で改変されたプログラム』が仕込まれていると考えた2人は根気よく調べ続ける。
カルとジョンの動きに気付いた和輝は、目的の1つである『自分達の情報流出』を探る事に特に問題は見つからずに済むと、後は仮想世界に閉じ込められた彼らの支援にと動き出した。研究者との接触により、プログラムのバグではなくXルートサーバに仕掛けられた罠であると解っているがせっかく双子の魔道書の動向を探っていたのだし、と彼らが力を使うかもしれない機会と見てプログラムバグの書き換えを思いつく。
「……少し遊んでいくのも一興か」
「遊ぶの? 和輝。アニスも遊びたい!」
システムチェックのため、端末と繋がったままのアニスも『遊ぶ』という単語に反応してか、楽しそうだ。
「Xルートサーバに気付いていないなら、そのままプログラムバグと思ってもらった方がいいだろう。……まあ、奴にそこまでしてやる義理はないが双子の秘密を探れる可能性は試して損はないだろうからな」
和輝は手始めにカルとジョンがチェックした後を追い、メインミッションで必要なアイテムと良く似た名称を付けたアイテムの作成などを行ってみるのでした。
◇ ◇ ◇
イーシャン・リードリットは開発会社の企画書とゲームのプログラム、特にミッションが正しく発生するかどうかのバグチェックの資料をカルとジョンへ届けた。
「カルさん、ジョンさん、新しい資料を持ってきました。……どこに置きましょう?」
既に2人の使う端末の周りには開発会社から提供された資料が山と積まれている。何とか場所を作ってイーシャンは資料を積み上げた。
「ああ、ありがとうイーシャンさん。しかしこう多いと思わなかったよ」
「【情報通信】を会得していても、これは少々骨が折れそうです……とはいえ、痕跡を見つけられないわけではありませんからね」
「馬場校長のお話だと、ミッションさえクリア出来れば戻ってこられそうだという事ですが……もし、可能なら少々チートっぽくなるんですが武器や魔法の強化、特別なアイテムをプログラムに組み込むことは?」
イーシャンの言葉にカルとジョンは顔を見合わせてミッションのプログラムを追っていくと更新可能なプログラムを探し当てた。――が、皮肉にもそれは和輝がミッションアイテムを増やしたプログラムであった。
「――やってくれたな、バグで見つけたんじゃなくて更新して有利なアイテムにすり替えたか……アニス、探してきて欲しいデータがある」
電子の世界へと飛び込み、情報処理しながら探るアニスとそのデータを書き換えてプログラムに組み込む和輝、イーシャンの手伝いとカル、ジョンの2人が新たに書き加えるプログラムが飛び交って互いに気付かないまま電脳バトルへ発展していくのでした。
現実世界の電脳バトルは、そのまま仮想世界にも反映されたが派生ミッションにも怯まず突き進むパーティ――の姿がありました。
「とにかくミッションクリアだ! なぜならそこにミッションがあるから!」
1つクリアすると新たに現れるミッションをゲーム好きの本領発揮とばかりに受けまくるヴァイスと、彼に付き合うアルバとラフィエルがアイテム集めから探索まで幅広くクリアしていくのでした。
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