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仮想世界で大暴れ!? 現実世界へ立ち戻ろう

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仮想世界で大暴れ!? 現実世界へ立ち戻ろう

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第 1 章 

 開発会社や設置をした技術者が頭を寄せ合うも、その原因が掴めないまま時間は過ぎていった。どうにか音声だけ仮想世界に入ってしまった契約者達と繋がる事が出来たが、開発会社でも出られる決定的な方法は打ち出せないでいる。
「確か、このデモンストレーション用にミッションを設定していたはずであろう。そのミッションをクリアするとゲームはエンディングを迎える……そのシステムに賭けるしか方法はないか?」
 正子の提案に技術者達もミッションクリアに出られる可能性を見出す事しか出来ず、ひとまず仮想世界の生徒達にミッションクリアを伝えるのでした。


 ◇   ◇   ◇


 ゲーム世界―仮想世界に降り立った契約者達はどこかの森の中に集まっていた。現実世界からの連絡はシルヴァニー・リードリットが中心となって伝達するようにしたところで高円寺 海(こうえんじ・かい)が口を開く。
「全員で行動していても時間を食うだけだろ、まずミッションを受けてその内容次第じゃ分かれて行動した方がいい」
「そうですね……あ、でも私は、海君と一緒に行きたいです」
 杜守 柚(ともり・ゆず)が口に出してから皆を見渡して恥ずかしそうに俯いてしまうが、海が柚の頭を軽く撫でると小声で囁いた。
「俺から離れるなよ。必ず守るから」

 雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)は未だ災難体質にプリプリと怒っているがそんな彼女に想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)が傍に寄り添う。
「大丈夫だよ、雅羅のせいじゃない事を証明するためにもミッションをクリアして蒼空学園に戻ろう。キミの事はオレが守るから」
 そこかしこでいい雰囲気を作るカップル達だが、シルヴァニーが頭を掻きながら割り込んでしまう。
「あー……もしもし? いい雰囲気のとこ悪いんだがそのミッションについて蒼空学園の校長さんから通信が入ってんだが」
 正子からの通信でミッション内容を調べる間でもなく、それに向けて行動開始となった。

 ミッション【降り立った国の王はモンスターが化けた偽物。本物の王を救出して偽物を暴こう】

 ミッションクリアの条件は本物の王を救出する事と偽物の王を暴き、化けていたモンスターを倒す事、と決まれば行動は早かった。

 
 ◇   ◇   ◇


 ミッションクリアのため、大まかに二手に分かれた彼らは真っ直ぐ城へ向かうパーティと、クリアに必要なアイテムやサブミッションの存在を確かめるパーティが途中の村や町で情報収集に当たる事となった。城へ向かうにもモンスターとの戦闘は避けられないものとみて前衛で攻撃主体、後衛で魔法攻撃や遠距離攻撃、その後ろで回復や支援魔法を主体にする役目でそれぞれ配置に付く事となった。既に情報収集に向かったパーティと分かれ、城へと進むがRPGらしく道行く人や店先などの情報収集で本物の王が捕えられている場所も探らなくてはならない。
「そうだ、雅羅様にはこれをお渡ししておきましょう。【禁猟区】を施したリボンです」
「……あ、ありがとうクナイ」
 クナイ・アヤシ(くない・あやし)が雅羅へ手渡し、次いで清泉 北都(いずみ・ほくと)が夢悠へ向き直る。
「僕も弓装備なので、一緒に同行します……夢悠は彼女の事、守って上げて下さいね。後ろに付くから全体は見渡せるし、気付いた事があったら皆に知らせますよ」
「ええ、頼みます北都。仮想世界とはいえ、この中で死亡するのは危険です……戻れても精神や肉体に影響が残っては大変ですから」
 クナイの言葉にエセル・ヘイリー(えせる・へいりー)も不安な顔は隠せない。
「……そうだよね、ゲームの世界だけど生身だから痛いのも本物かもしれないよね……気を付けないとなの」
 エセルの頭をくしゃっと撫でるレナン・アロワード(れなん・あろわーど)が城へ向かう仲間達を見渡し、顎に手を当てながらぽつりと呟く。
「まあ、ざっと見たところ攻守バランスはいいよな……というか、回復や支援を行う奴らには護衛も必要じゃないか? 他に立候補がいなけりゃ、オレとエセルがその役目に当たるが」
 レナンの申し出に特に異論も見えなかったところで、2人はシルヴァニーと神崎 零(かんざき・れい)の傍に付いた。
「護衛がついてくれるのは助かるわ、その代り回復と支援は任せてね」
 零の傍にはエセルが付き、シルヴァニーにはレナンが護衛に入るとミッションを確認した神崎 優(かんざき・ゆう)が海に1つ提案する。
「城に向かうのはいいとして、やはり先に本物の王様の居場所を特定した方がいい気がする。まだ何の情報もない状態ではあるけれど、偽物を暴くには本物の王様の存在は大きいのじゃないか?」

 優の提案にその場にいる皆が頷き、まず本物の王様の居場所を突き止める事に専念すると別行動のパーティと情報を共有し、ミッションクリアへ向けて動き始めたのでした。