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仮想世界で大暴れ!? 現実世界へ立ち戻ろう

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仮想世界で大暴れ!? 現実世界へ立ち戻ろう

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 第 7 章

 蒼空学園の教室を1つ借り切って即席のヴァイキングレストラン――の、ように机を並べ替え、馬場正子は自慢の料理を所狭しと並べた。
「イベントはまた後日改めて行う事になった、今日は色々疲れたであろうから好きな料理はどんどん食べていくと良い」
 首謀者を連行するため、捕縛に参加した教導団員も呼ばれて鋭峰も姿を見せた。

「それにしても、前線に出てくるとは意外でしたよ」
 首謀者の尋問が残っている為、アルコールは避けて殆どジュースなカクテルを手にダリルは鋭峰に向かって笑って言う。鋭峰も捕縛劇に参加した団員から似たような事を言われながらも黙って料理を堪能していた。

「誰のせいでゲームの世界に取り込まれたとか何とか……言ってたわよね。さあ、訂正なさい!」
「ちょ、ちょっと待て! 俺はあの時まだ雅羅のせいだとは……っ」
 雅羅の災難体質が今回の事件を呼び寄せた――なんて噂は既に立っており、原因となった首謀者は既に逮捕されているが面白半分に言う生徒も少なくない。海に詰め寄る雅羅を柚と夢悠が必死に止めていた。
「雅羅ちゃん、待って……! 海くん、そこまで言ってません……!」
「雅羅、キミのせいじゃないって証明出来たんだし……許してあげようよ」
 料理を楽しむ一方、あらぬ噂を立てられた雅羅の怒りは中々治まらなかった。

 首謀者が逮捕され、仮想世界から契約者達が戻ってくるまで講堂でただ待ちぼうけをくっていた忍は、やっとありつけた料理に手を出す。その横では思いっきり疲れた顔をする色花とまったり寛ぐ天照がいた。
「あ、そういえば……殴ってくれば良かったです、あのボスゴブリン」
「ふむ? まあわしは色花の面白い一面が見れて楽しかったがのう」
 甘いお菓子ばかり取って食べる色花と湯呑みでお茶を飲む天照だが、天照の一言に色花の頭の上には四角い怒りマークがしっかり浮かび上がるのでした。

 

 イーシャンとシルヴァニーの元に、ルカルカと淵がやってきてひとまず戻ってこれた事に安堵した。そんな魔道書2人へルカルカが迷いながら口を開く。
「戻ってきて早々なんだけど、ロートとブラウも金団長に付いて首謀者の取調べに同席してくれないかしら……?」
 ルカルカの要請に顔を見合わせる2人だが、同意すると料理の堪能もそこそこで教導団へと向かうのだった。


 ◇   ◇   ◇


 教導団の取調べには鋭峰自らが入り、首謀者――泰 龍千(たい ろうせん)は鋭峰の質問に淡々と答える。
「遡って確認したい事件はいくつかあるのだが、差し当たり本日のオンラインゲームでの不可思議な現象について訊ねよう……あれは、何が目的であったのだ」
「……あなたも見当がついているんじゃないですか? 時間魔法ですよ、彼ら魔道書の持つ……ね。本来は発動のきっかけが何なのかを知る事が出来れば、と思ったのですがあれは私も予想外でしたよ」
 それを聞いたルカルカが龍千にくってかかる。
「あのね、ロートとブラウに何の用かは知らないけれど、しつこい男って嫌われるのよ! ……いえ、そもそも教導団でも限られた者しか知らない彼らの秘密をどうしてあなたが知っているの……?」
 ルカルカの言葉にイーシャンとシルヴァニーも困惑を隠せない。鋭峰が厳しい視線を龍千に向けるが当の彼は簡単な事だというようにあっさり答えた。

「私が、イーシャン・リードリットのパートナーだからですよ」

 契約した当時、“時間魔法”について知ったが言われた通り簡単な事ではなく、設備の整った研究機関でも解明出来るかどうかと判断した時、そうした所に拾われ、その研究成果を掠め取るのが手っ取り早いと結論付けた。その為にはイーシャンを手放さなくてはならない。
「赤の書は君を知らないであろう、というよりも覚えていないというのが正しいのか……」
「――命令しましたよ、効くかどうかは半信半疑でしたが……私の事は忘れろと」
「てめえ!!」
 それまで耐えていたシルヴァニーが龍千に掴みかかろうとしたが、直前でダリルと淵が止めると2人をそのまま部屋の外へ連れていくのでした。


 ◇   ◇   ◇


 取り調べ後、泰 龍千は然るべき警察機関へ身柄を送られる事となり、教導団では護送までの僅かな期間預かるだけであった。


 そして数日後、再びオンラインゲームのイベントが行われ、その際は事件解決に少なからず協力してもらった契約者達も招待される事になった。新たに設置作業が進む中で鋭峰は余った参加権のチケットを手にその作業を見守る。
「何れは目覚めるであろう、その時にはこのゲームもパラミタ全土へ配信されておるだろうからな」

 教導団の研究書が収められている書庫の一角――

 “時間魔法”封印のため、自ら眠りについた赤の書と青の書は現在書物の形となりガラスケースに収められている。時間魔法そのものを失くす為の研究が教導団内の秘術科によって進められ、その研究が完成するまでは目覚める事なく2冊の魔道書は静かに眠り続けるのでした。

担当マスターより

▼担当マスター

小湊たまご

▼マスターコメント

初めましての皆様、再びお目にかかれた皆様ご参加頂きありがとうございます。
第6作目「仮想世界で大暴れ!? 現実世界へ立ち戻ろう」をお目通し頂きありがとうございます。
実際にはありえない現象ですが、それだけに皆様のアクションがそれぞれ面白く、その上で連携出来そうなアクションを多く寄せていただけました。
ありがとうございます!

また、今回で「双子の魔道書」は一区切りとさせていただきました。双子は眠っている状態ですが彼らの持つ面倒な制約を取り払うには、やはりそれなりに時間が必要と判断した次第です。
双子を見続けて頂いたPC様方、ありがとうございました!
僅かでも関わり頂いたPC様方、ありがとうございました!

リリース最後のシナリオには、再登場と考えております。
もし宜しければ、再びお目にかかれるといいなと思います。