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リアクション
数分前 迅竜 第二格納庫
「流石は鎧竜。何ともないか」
鎧竜のコクピットで鷹村 真一郎(たかむら・しんいちろう)は呟いた。
墜落直後とは思えないほど落ち着き払った様子の彼に対し、パートナーの松本 可奈(まつもと・かな)は未だショックが抜けきらないようだ。
「あわわ……わ、私……生きてる!?」
それでも無意識のうちに計器類や機体状況をチェックするあたり、真一郎とともに幾多の激闘をくぐり抜けてきたサブパイロットということだろう。
「……で、でもぉ! 落下の衝撃でフレームへの蓄積疲労が一気に溜まっちゃったよう……! もう稼働時間が残ってないみたい」
「フレーム自体の破損でないなら問題ない。その程度の被害で済んだのならむしろ僥倖だ」
それだけ言うと、真一郎はハッチを開けて外へと出る。
慌てて後を追う可奈。
「……」
「うああああ!」
真一郎と可奈は二人とも違う反応を示した。
コクピットを出た先にいたのは、身の丈2mを超えようかという巨漢と小柄な少女だ。
巨漢の方はモスグリーンのジャンバーとジーンズ。
一方、少女の方はというと、まさに街にいる子供といった格好だ。
ほどよく跳ねて丁度良くくしゃくしゃになったショートヘアは可愛らしく、大きめのキャスケット帽とも良く合っている。
長袖の上に半袖を重ね着しているのか、無地のシャツの袖からはそこだけ別物のようにボーダー柄が覗いている。
ショートパンツの下に見える二ーソックスも同様の柄であり、それにスニーカーという組み合わせが子供らしい可愛さをより引き立てていた。
子供らしい印象に違わず、彼女の背丈は小さい。
巨漢の方はともかく、少女の方は明らかに場違いだ。
だが、可奈な驚きはそのせいではない。
なにせ二人は、鎧竜のすぐ前に停止している漆黒の機体――“フェルゼンbis”のコクピットから出てきたのだから。
「……」
「……」
黙って無言で互いを見やるメインパイロット同士。
それが鎧竜と“フェルゼン”bisのパイロットの、生身での出会いだった。
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