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【蒼フロ3周年記念】蒼空・零 ~1946年~

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【蒼フロ3周年記念】蒼空・零 ~1946年~

リアクション

「いや、五対二ではない。五対『集団』だな」
 ジャジラッドは低い声で唸った。彼の周囲に、大量のイレイザー・スポーンが出てきたのである。
「ジャジラッド・ボゴル!」
 殺女とともにルカルカ、歌菜たちと向き合っていたジャジラッドは、怒りの籠もったその声を聞いた。
「ああん?」
「オレや! こんなところまで来て悪に荷担しやがって……頭くるわ!」
 七枷陣だ。彼の手から、蒼い炎が立ち昇っている。
「お前みたいな悪党が出てきたら、優先的に撃滅に動くつもりやった。そうさせてもらう」
 陣の眼は怒りに燃えている。
「お前、何が楽しいんや! パラミタと繋がる未来を変えられたら……そら、オレかて砂を噛む想いがないとは言わん。変えられたら楽になることもある……そう思わなかった、って言えば嘘になる。けど、それ以上に友達や戦友、親友になった朝斗くん、ローザさん、歌菜ちゃんたちを始めパートナーで恋人になれたリーズと真奈、ついでに磁楠、上手く行った事も上手く行かずに瑕になった切欠も沢山あるけれどな、その全ての縁が今のオレを構成してるんや! それを引き替えにしてまで……願えるわけねぇだろうが!」
「……」
 ジャジラッドは何も返答しなかった。
「ボク達の今までを消し、すべてを消滅させようというその魂胆……契約者として恥ずかしいと思わないの!」
 リーズ・ディライドもやはり激昂していた。
「地球とパラミタの繋がりがなくなれば、ご主人様との縁が潰えてしまう。空京のあった地のジャンクの山の片隅で、私は今も埋もれたまま……そんな世界なんて想像したくもない。あなたがやろうとしているのはそういうことなんですよ!」
 滅多に怒らないだけに、小尾田真奈の怒気は静かで、しかし熱い。
「自らの運命まで消滅するを辞さないとは、とんだアナーキズムだな。しかし私は……それを好まない」
 仲瀬磁楠もまた、彼を敵と認定しているようだ。
 ジャジラッドは特に否定しない。反論する気もないようである。
「……オレにはオレの考え方がある」
 そう言って、体に一体化したパラサイトブレードを抜きはなったのだ。
「そんな大物、振り回して何になるってのさ!」
 いち早く斬り込んだのはリーズだった。金剛力で力を込め、屈み込んで顎へのアッパーカットを狙う。
「笑止」
 ジャジラッドは剣ではなく手で彼女の躰を払いのけた。
「邪魔を……」
 真奈とイレイザー・スポーンに囲まれ動けない状態だ。
「小僧、やつは強敵だ。決断せねばなるまい」磁楠は、促すような眼をした。
「インテグラルに使うつもりやったが……」少し悩んだが、
 しゃあない、と陣は決断したのである。
 磁楠と陣は並んだ。
「お二人の邪魔はさせません」
 意図を知った真奈はここで、邪魔するスポーンすべてを引き受けるかのように果敢に攻めの姿勢に入った。
「ボクだって」
 リーズも立ち上がって真奈に加わった。
 ジャジラッドはすぐに察した。陣とそのパートナーは最大の攻撃をこれから行うつもりなのだ。
 ――妨げるか。だがいつかは放つチャンスがくるだろう。
 ――逃げるか。そうするとウォンに攻撃が行く可能性がある。
 ――ならば。
 受ける、とジャジラッドは決めた。
 受ける。二度は放てまい。今、恐れるべきはウォンがその強大な攻撃によって倒れること。
「唸れ、業火よ! 轟け、雷鳴よ! 穿て、凍牙よ!」陣が詠唱を始めている。
「侵せ、暗黒よ! そして指し示せ……光明よ!」磁楠が継いだ。
「セット!」
 二人の声が重なった。

「クウィンタプルパゥア!」

 一瞬、時空が歪んだ。
 五つの属性の魔法が同時に解き放たれたのだ。自然界の常識を覆す自体が発生したのだ。
 五つの光が五様に光を放ち、1946年渋谷の空間を満たした。
 それはすべて、両肘を上げガード姿勢をとったジャジラッドの体に叩き込まれたのである。
「爆ぜ散れや、ボケェ!」
 という陣の声に導かれるように、
 光は、
 爆発した。