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【2021修学旅行】ギリシャの英雄!?

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第七章:ギリシャ(その2)
「それじゃ、なななの話だと今日で最後になるらしい石像事件の解決を始めるとしましょうか……」
 一同の前に立つルカルカが佑一のワイヤーで固定された柱から今にも外れそうな石像達を見つめる。
 彼らを横切るようにして、目の下にクマを作った刹姫、暦、グースが左右にフラフラと揺れながら歩いて行く。
「ふふ……や、闇の手の者……流石ね……この『夜』の化身の、力を……ここまで消耗させるなん、て……」
「サキ……おぬし……相当参っておる、ようじゃ……のぅ……」
「ヨミも……綺麗な顔に、クマを作っちゃって……ふふふ……」
「くくく……そ、それはお、おぬしも……じゃ……しかし、に、憎き太陽め……いつの間に昇りおったの……じゃ」
 徹夜で氷漬けの石像の解凍に当たった刹姫と暦が、互いに強がりを言い合いながら歩いて行く。並んで歩く二人は時折頭をゴツンッとぶつけている。
「グー姉? サキ姉とレキ、大丈夫かなぁ?」
 現在も刹姫の魔鎧となっており、昨晩は途中で仮眠を取っていた雪が、グースに話しかける。
「大丈夫ですよ、セツくん。二人のSP切れには【驚きの歌】で、わたくしがちゃんと補給していましたから」
 フゥァァーッと欠伸をするグースが答える。
「いや、グー姉。それはそれでヘヴィな気がするんだけど……」
 去っていく刹姫達を見ていた海が、「大変なんだな、夜の化身も……」と呟く。
「いえ、海くん……その感想はどうかと……」
 柚が呟き、「あれ?」と柱にくくられた石像の一体に異変を見つける。
「一つだけ……肌色になっているのがありますね」
「本当! 遠くてよく分からないけど、あたしの【石を肉に】が効いたのかな?」
「ノーン・クリスタニア? それは無いと昨日わたくしが説明……」
 エリシアがノーンに説明しようとするが、柚と三月を追ってノーンは走っていく。
「ミシェル。僕達も行くよ」
「はい、佑一さん」
 佑一とミシェルも直ぐ後を追う。
「さて、それじゃアコ達も……」
 ルカアコが伸びをしながら歩き出そうとした時、佑一が固定していたワイヤーを千切った石像が、ルカアコや蛇々の前に立ち塞がる。
「ふん! 今日はサイコキネシス作戦じゃないわよ? 壊れても知らないからね!」
 蛇々が構えると、アールが彼女を見て、
「壊してはいけないんじゃなかったのか?」
「壊さないように、対処す……するのよ!」
「何で俺から顔を背けるんだ?」
「う、五月蠅い! 何でもない!!」
「もー、蛇々おねえちゃんも、アールおにいちゃんも喧嘩しちゃ駄目だよ?」
「おお! 今日こそ俺の出番てワケだな!! もうリュナに氷漬けにはされないぜ!」
 気合い十分のエスフロスが拳をバキッバキッと鳴らす。
「……俺はやはり蛇々のサポートとエスフロスの監視をするか……」
「……頼んだわ、アール」
 石像との戦闘が始まると同時に、ダリルは執事達を統率し、一般人をガードラインで守らせ避難させていた。
 彼らの避難が済んだら【実力行使】で石像の行動範囲を制限させるつもりである。
「ななな、これは侵略じゃない。落ち着いて対処しよう。私達になら出来るわ」
「え? 違うの?」
 なななにルカルカが一つ釘を刺した後、直ぐに石像が襲いかかる。
「甘いよッ!!」
【氷術】で作った壁で石像の一撃をガードするルカアコ。
「カルキノス!」
「わかっているぜ!」
 ルカルカの呼ばれたカルキノスが、【ブリザード】で石像達の足を固めに行く。
「パスファインダーで全員瓦礫を越え、各自の攻撃スキルで『壊さないように』押さえるのよ!」
 なななの首根っこを掴んで、石像の攻撃を避けたルカルカが叫ぶ。
「アコはダリルが無力化した後は、戦乱の絆でまたぐるぐる巻きにしちゃおう!」
 ルカルカは、アコ、ダリル、カルキノス、ついでになななで連携し、石像に戦いを挑んでいく。
「かよわい乙女アタッーク!!」 
「……かよわい?」
 ダリルが首を傾げる。
……と。
「「「きゃぁぁぁぁーーッ!!!」」」
「な、何!?」
「向こう! 柚達の方だよ!!」
 ルカアコが遠くの柚達を指さす。
 カルキノスは目を凝らして、その正体を知り、「ヤツか……本気で泳ぎ切ったんだな」と呟く。