校長室
合コンしようよ
リアクション公開中!
★ ★ ★ 「さあ、続いての登場は、アーサー・レイスさんです。いったい、誰の所に行くのでしょうか」 キョロキョロと女性陣を見回していたアーサー・レイスではあったが、何度かの逡巡の末に、リン・ダージの前に立った。 「やはり、誘惑には勝てまセーン。さあ、我が輩の特製カレーを食べてくだサーイ!」 「ちょっと、あたしがいいの、それとも、カレーがいいの?」 意味が分かんないと、リン・ダージが聞き返す。 「もちろん、リンちゃんに食べられるカレーと、カレー味に染まった血が一番デース」 「ごめんなさい。で、そんなに血が吸いたいのなら……」 そう言うと、リン・ダージがぴらりと自分のスカートをめくった。 「ぶふぁっ!」 またもや、観客席でコハク・ソーロッドが鼻血を噴いて倒れる。もはや、これは条件反射であるといってもいい。 「もう、いいかげんに、耐性つけなきゃ」 慣れた手つきで、小鳥遊美羽がコハク・ソーロッドを介抱した。 「さあ、あの血を吸いなさい」 「ええ〜っ」 リン・ダージに言われて、アーサー・レイスがもの凄く嫌そうな顔をした。 「でしたら、あなたをカレーにしてさしあげマー……」 「いいかげんにしなさい!」 ガツンと、カレーの入っていた空っぽの寸胴鍋で、日堂真宵がアーサー・レイスを殴り倒した。 「回収していきます」 そう言って、ズルズルと引きずって行く。 「アーサー・レイスさん、退場です」 ★ ★ ★ 「さあ、次はゲブー・オブインさんの番です。おおっと、ココ・カンパーニュさんの前に移動した」 「ちょっと待ったあ!!」 「ちょっと待つんだな!!」 「ちょっと待ってくれないか」 「おおっと、大量のちょっと待ったコールがかかったあ。星になったと思われたブルタ・バルチャさんが、熾天使化して戻ってきたのを始めとして、風森巽さん、コア・ハーティオンさんと、次々と名乗りをあげる」 「お話していて、このひとときで終わらせるのがもったいなく思いました。これからも楽しい時間を共有したいです。ココさん、よろしくお願いします」 意外と正統派の押しで、風森巽が手を差し出す。 「復活したんだな。さあ、ボクの女になるんだな」 思いっきり他のゴチメイメンバーの警戒センサーのメーターを振り切らせながら、ブルタ・バルチャが言った。 「急な話ですまない。しかし、君の正義を愛する心を、これまでの事件で度々目にしてきた。だからこそ、君に頼みたい。どうか私のパートナーとなってほしい。そして、私と『合体』して人々のため、正義のために共に闘ってほしい」 キラリと全身から光を発しながら、コア・ハーティオンが言った。 「がはは、※※※※※元気が一番! てめぇが一番元気だから※※※※※※※惚れたぜ! 照れて殴ってきても俺様は頑丈だから大丈夫だぜ! 俺様とつきあえば朝昼晩に※※※前後とエステされ放題だぜ! 車は鬣がモヒカンなワイルドペガサス・グランツで送り迎えも※※※※※※※バッチリだぜ! というわけでよろしくだぜー!」 何やら、ゲブー・オブインがいろいろと言ったのだが、一部にピー音が被る。 「えー、先ほどの一部ゲブー・オブインさんの発言が放送コードに引っ掛かりましたので、ピー音と伏せ字にさせていただきました」 「さあ、ココ・カンパーニュさん、どう審判を下すか……」 真っ赤になってうつむいているココ・カンパーニュを見て、シャレード・ムーンが言った。 「お前ら、いいかげんに……しやがれえ!!」 さすがに、ココ・カンパーニュとて女の子、野郎どものセクハラ紛い、いや、完全にセクハラの発言に堪忍袋の緒が切れたらしい。いつの間にか、その右手には、すでに星拳エレメント・ブレーカーが顕現していた。 「邪な奴らは、光になれえ!!」 「ちょっと気持ちいい〜、パ〜ト・ツ〜!」 強烈な一撃に、またブルタ・バルチャが吹っ飛ばされて星になる。今度帰ってくるのはいつのことだろうか。 「けっ、やるじゃねえか」 「うぁっ! まだだっ!」 ゲブー・オブインと風森巽が拳聖の意地を見せて、残心と不壊不動でなんとかその一撃に耐える。 「ふはははは、痛いではないか……うげぼあっ……」 だが、そこへ、余裕を持ってココ・カンパーニュの一撃をまともにその身に受けたコア・ハーティオンが、風に吹き飛ばされる捨て看板のようにもんどり打って転がってきた。 「うおっ、なんで!?」 その場で耐えるのが精一杯だったゲブー・オブインがまともに巻き込まれて一緒に転がっていく。 紙一重で助かった風森巽に、ティア・ユースティが司会席からこっそりとリカバリをかけた。コア・ハーティオンとゲブー・オブインの吹っ飛んでいく衝撃波に巻き込まれかけた風森巽が、なんとか持ち直してその場に踏ん張った。 「えっ、無事だったのか!? よし、気に入った。とりあえず一号な。戦隊モノと変身ヒーローがセットというのも気に入ったからな」 そう言うと、ココ・カンパーニュが風森巽の手をギュッと握りしめた。風森巽がなんとかそれに耐えて、笑顔を作る。 しかし、一号というのはなんの意味だろうか。風森巽としては、凄く耳に聞こえのいい言葉ではあるが。多分、恋人一号なんだろうと、自分で納得する。まさか、下僕一号だとは、このときは気づいてもいないようであった。 いずれにしても、ゴチックメイド戦隊のリーダーとしては、いろいろと琴線に触れる言葉があったのだろう。 「ちょっと待て、な、納得いかねえ」 コア・ハーティオンの下からごそごそと這い出してきて、ゲブー・オブインが言った。 「大丈夫、お前らの挑戦はいつでも受けてやるぜ。とりあえずは、この一号を倒してからだかな」 「よっしゃあ、やってやるぜえ。だが、ひとまず今は、あばよぉっ!」 そう言うと、ゲブー・オブインが走り去っていった。 「ツンツン、ハーティオン、終わったわよ、ツンツン」 まだのびているコア・ハーティオンを、ラブ・リトルが割り箸の先で突きながら言った。 ★ ★ ★ 「さあ、続いては、ガウタマ・シッダールタさんです」 「とりあえず、明日からの断食を皆さんと共にしましょう」 全員を対象に、ガウタマ・シッダールタが呼びかけた。 「あのー、誰か一人に絞ってもらえますか?」 さすがに、シャレード・ムーンが注意する。 「えっ、そうなのか?」 思わず助けを求めるように、ガウタマ・シッダールタがジーザス・クライストの方を見る。 「いや、愛はすべての者に分け隔てなくというのが私の信条だし……」 こちらも、根本的な所での誤解があるらしい。 「とにかくどうしたら……」 二人で相談しようと、ガウタマ・シッダールタとジーザス・クライストが、中央に歩み寄ってピタッと止まった。偶然にも、ベアトリーチェ・アイブリンガーとイコナ・ユア・クックブックの前である。 「はい、それでは、最後の告白タイムです!」 これ以上ややこしくされてはたまらないと、シャレード・ムーンが二人に告白をうながした。 「ええっ、あ、あの、よければ断食を……。その、軽くでいいですから……」 しかたなく、ガウタマ・シッダールタがベアトリーチェ・アイブリンガーに言ってみる。 「ダイエット程度でしたら、つきあえるかなあって思います」 二心なく真摯に言われて、ベアトリーチェ・アイブリンガーの警戒心も薄らいだようだ。すっと、ガウタマ・シッダールタの手をとった。 「あなたが、わたくしに告白しようなんて思っているんですの!?」 イコナ・ユア・クックブックの方は、おじさまタイプのジーザス・クライストに、かなり警戒している。 「私は、すべての者を愛するだけです。もちろん、あなたも」 極上の微笑みを浮かべられて、イコナ・ユア・クックブックがちょっと顔を赤らめた。ちょっと変わっているが、ポンポンときついことを言うイコナ・ユア・クックブックに言葉も、全部受けとめてくれそうだ。 「じゃあ、ちょっと試してみますわ。いいです、おためしですよ。私は、駄うさぎとは違うんですからね」 前後が繋がらないことを言いながら、イコナ・ユア・クックブックがジーザス・クライストの手をとった。