校長室
【2024VDWD】甘い幸福
リアクション公開中!
32.魔法少女パトロールの二人 「リア充爆発しろー!」 街中に、怒りと哀しみの叫びが巻き起こる。 バレンタインとなると決まって現れる、 「リア充爆破テロリスト」。 「待ちなさい!」 「そこまでです!」 その前に立ちはだかるのは、 【革命的魔法少女レッドスター☆えりりん】こと、藤林 エリス(ふじばやし・えりす)と、 【魔法少女アウストラリス】ことアイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう)であった。 「な、なんだてめえら!」 「愛と希望を守る魔法少女としては、 愛のイベントたるバレンタインを妨害する輩を見過ごしては置けないわ! 共産主義者の象徴たる赤い星の加護の元、粛清よ!」 「さあ、今のうちに逃げてください」 レッドスター☆えりりんが暴徒の注意を引いてる間に、 アウストラリスが、襲われていた罪なきカップルを逃がす。 「って、てめえ! ヒゲのおっさんも『革命は暴力によってなされる』って言ってんじゃねえのかよ! あいつら、恋愛資本を独占してんだぞ! 暴力でやっつけて何が悪いんだよ!」 「屁理屈こねるのはやめなさい! 見苦しいわね! だいたいね、あんたのはただのワガママっつーか、犯罪でしょ!?」 「うるせえ! 恋愛資本主義で搾取される者の気持ちがわかってたまるか!」 「そういう行動が愛がないのよ! 誰かを愛さないと誰にも愛されないのよ!?」 レッドスター☆えりりんは、 嫉妬に駆られた暴徒をぶっ飛ばし、 義理チョコを今年も配って改心させる。 「これあげるから、とっとと帰りなさい!」 「ううっ……!」 「来年は、素適なバレンタインが過ごせるといいですね」 アウストラリスがそう添えて、暴徒を見送る。 年中行事のようになった行動の後。 「ああ、それと、これも、年中行事の一環みたいになってるけど……」 エリスに帰り際にチョコを渡され、アイリは微笑む。 「ありがとうございます、エリスさん。 魔法少女として、今年もご一緒できてうれしいです。 これからもよろしくお願いしますね」 「何言ってんのよ。アイリだけじゃ心配だしね。 まあ、これからも付き合ってあげるから感謝しなさいよ。 ……バレンタイン、どうせ暇なのもあるしね」 「ふふ、ありがとうございます。 エリスさんと一緒だと、とっても心強いです」 「アイリの目標を叶えるためには地道なことから一歩ずつでしょ? あたしも、そのためだったら協力を惜しまないわ」 「はい、世界平和を実現させましょうね!」 アイリはエリスの両手をしっかり握って笑顔で言った。 エリスは、ちょっと、視線を逸らしつつ。 「ハッピーバレンタイン、アイリ」 そう、つぶやいたのであった。