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【2024VDWD】甘い幸福

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【2024VDWD】甘い幸福
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37.ホワイトデーの団欒

空京の自宅にて。

御神楽 陽太(みかぐら・ようた)と妻の御神楽 環菜(みかぐら・かんな)は、
仲良く、子育てを行っている。

娘が眠っている様子を見つめつつ、
二人は、ゆったりした時間を過ごしていた。

陽太が、かいがいしく、クッキーと紅茶を用意する。
「環菜と二人で仲良く一緒に食べるお菓子は格別です」
「ええ、そうね。甘いものを陽太とゆっくり食べられて幸せだわ」
「えっと、誰も見てませんし、食べさせあいっこしましょうか」
そう提案する陽太の胸は、新婚当初……いや、付き合い始めの頃と同じくらい、高鳴っている。

「そうね。じゃあ、口を開けて」
「え、あ、はい……!」
当然、自分から先に環菜に食べさせてあげるつもりでいたため、
陽太はフェイントでドギマギする。
「何よ。自分から言い出したのに」
「え、その」
いたずらっぽく笑う環菜は、確信犯であろう。
陽太の反応を読んでの行動に違いない。

陽太は、クッキーを口で受け取り、自分の手でも、環菜の口に運ぶ。
二人は、穏やかに笑い合った。

「それにしても、環菜と結婚して、こうして子宝にも恵まれて……。
本当に、夢かと思うくらいに幸せです。
ちょっと改めてほっぺをつねってもらえないでしょうか?」
「いいわよ。おばかさんね。
ふふ、でも、これだと、私は夢か現実か判断がつかないわ」
「では、お返しに環菜のことをギュッと抱きしめてもよいですか?」

照れながらも、環菜は、陽太には他の人には見せない顔を見せる。
「抱きしめるだけでいいの?」
上目づかいで見つめる環菜に、陽太は、
宣言したとおり、ギュッと抱きしめながら
おでこにキスをするのだった。



その後、二人は、娘の寝顔を見て、将来について話す。

「環菜に似ていますしリーダーの素養がある気がします。
蒼空学園に入学したら生徒会長になるかもしれませんね。
……きっと頭も良さそうですし才女と呼ばれるんじゃないでしょうか?」
「親バカよね、陽太は。
でも……きっと、陽太に似て、
優しくて勇敢で、とても頼れる、素適な子に成長するわ」
「ふふ、そう言われると照れくさいです」
「私の気持ちがわかった?」
二人は笑い合った。

「とは言え、元気に成長してくれるのが一番嬉しいですよね」
「私も、元気に成長してくれることが一番の願いよ。
……こうして、この子と一緒の時間を。
陽太と、三人の時間を過ごすことがとっても幸せなの」

環菜が顔をほころばせる。
二人は再び見つめあい、笑顔を交わす。

「ねえ、陽太。
私ね、あなたと出会うことができて。
こうして、一緒に過ごすことができて。
いつまでもこうしていられれば、って思うわ。

いつか、この子が、私たちの元を巣立っても。
おじいちゃんおばあちゃんになっても。
ずっと、一緒に変わらず愛してくれる?」

「はい……!
もちろんです!
俺の、環菜への愛は、永遠です!

俺は、改めて実感したんです。
この子が無事に生まれて。
こうして、環菜ともゆっくり過ごして……。

俺にとって、本当に、本当に……!」

陽太の唇を、環菜が塞ぐ。
寝ている娘が起きないよう、ジェスチャーで静かに、と告げて。

二人は、静かに、甘い口づけを交わしたのだった。