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リアクション
炎上する遺跡から脱出した一行の前に、
あわや…と朝野姉妹によって修理された小型飛空艇に乗った菅野 葉月(すがの・はづき)、月島 悠らが援軍として駆けつける。
「天魔衆の手から遺跡を守ろうと思っていましたが……。まさか、こんなことになっているなんて」
葉月は、呆然とつぶやく。
パートナーのミーナ・コーミア(みーな・こーみあ)は、遺跡の方を指し示し言う。
「ねえ、葉月、何か珍しいものがあるように思うんだけど。ちょっとだけ見に行ってもいいよね?」
「ダメです! この状況で何言ってるんですか。火事になってるじゃないですか!」
葉月はミーナをあわてて静止する。
興味がある場所にすぐ突っ込んでいってしまうミーナに、葉月は頭を抱えていた。
「待ちなさい! 灰にしてあげるわ!」
激昂したメニエスが遺跡から飛び出してくる。
高月 芳樹(たかつき・よしき)は、メニエスが魔法を乱発し、SPがつきかけていることを見逃さなかった。
「君のような者が、以前、僕と同じ魔法学校の生徒だったなどと、考えたくもないな。この凶悪犯め! これ以上、罪を重ねる前に、ここで引導を渡してやる!」
芳樹は、メニエスに向かって挑発の言葉を投げつける。
「なんですって!? 雑魚のくせに!」
メニエスはさらにファイアストームを放つが、芳樹は、なんとか回避する。
これは、相手を挑発して、SPを尽きさせ、取り押さえるという、芳樹の作戦だったのだ。
メニエスは、頭に血が上っており、気づいていない。
芳樹のパートナーのアメリア・ストークス(あめりあ・すとーくす)と伯道上人著 『金烏玉兎集』(はくどうしょうにんちょ・きんうぎょくとしゅう)も、メニエスの隙を伺う。
と、そのとき森の中で火事が発生する。
火事の遺跡から逃れたと思ったら、さらに炎に包まれ、一行は息を飲む。
しかし、これは、薔薇学勢を逃がすために朱 黎明(しゅ・れいめい)が 森に火を放ったためだ。
同時に黎明のスナイパーライフルが信長の腕を打ち抜く。
「日本で有名な信長公と相対することができるなんて、素敵なことですね」
黎明は、リーダー格の人物に怪我を負わせることで、相手の統率を乱すことができると考えていたのだった。
(呼雪をこんなところで失うわけにはいかない)
早川呼雪は、黎明にとって、年の離れた弟のような存在であった。
権力の頂点に立つという野望のためにも死ぬわけにはいかないと思うものの、今ではもうほとんどいない気の許せる相手を失うことの方が恐怖を感じる。
「大丈夫ですか! こちらでヒールをおかけいたします。さあ、早くこちらへ」
黎明のパートナーのネア・メヴァクト(ねあ・めう゛ぁくと)が、薔薇学勢に呼びかける。
呼雪は、ネアにとっても、大切な友人であった。
なんとしても助けたいと、ネアは思う。
信長は、猛禽のような目で黎明をにらみつけるが、腕からは血が流れ、武器を持つことはかなわない。
「ありがとう、きっと来てくれると思っていた」
呼雪は黎明とネアに礼を言い、走り出す。
その背中に、悠久ノ カナタは、何か言いたげな視線を送るが、こうなってはもはやかなわない。
(機会を伺い、呼雪には、ケイとイリーナは天魔衆で潜入捜査を行っているのだと伝えたかったが……。大臣の襲撃の件に、呼雪も憤りを感じていることであろうな……。しかし、それも身から出た錆。甘んじて受けよう)
「しかたねえ、ここは遺跡が手に入っただけで御の字だぜ」
逃走する薔薇学勢をにらみながら、国頭は言う。 さらに、そこへ異変に気がついた鮪たちが戻ってくる。
「ヒャッハー、薔薇学連中を追い立てようとしたつもりが、逆に追いかけられちまうはめになったぜ。ん、オッサン、血い出てるじゃねえかッ!」
「なに、これが国盗りの第一歩よ」
信長は、腕の手当てを受けつつ言った。
顎鬚をなでながらいつものように笑う。
利き腕に大怪我をしているとはとても思えない。
こうして、天魔衆は遺跡を制圧したのだった。
飛空艇に戻った薔薇学勢は大河、アディーン、2体の花嫁を連れ、浮遊島を後にする。
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