校長室
第1回 ヤマハGP~空京・秋の陣~
リアクション公開中!
9.エピローグ ……山葉涼司が空京を後にし、蒼空学園にある校長室に戻ってきたのは、深夜だった。 ■ 廊下を歩いて行くと、ドアの前に見知った顔がいる。 「ルカルカ?」 「うん、待ってたんだ! 涼司」 ドサッ。 両手いっぱいの写真を渡す。 「これ、『御神楽777号線』の要修復個所だよ! ダリルが撮ってきてくれたんだ、活用してね♪」 「あ? ……ああ、すまねえな……」 というか、それ以外の言葉の掛けようもない。 刀真達が聞いたら、調査経費が浮いてよかった、くらい言うのだろうな、とかぼんやりと考える。 彼は、何しろ疲れていた。 「いや、こんなの! 親友なんだからさ! 当然のことだよね?」 あははは〜と爽やかにルカルカは去っていった。 入れ替わるようにして、涼司さん! と花音がやってくる。 「私、先に帰りますけど。 今日は涼司さん、暴漢にも毅然としていて。 本当に格好良かったです!」 「はあ、そうか?」 「たまにはこういう楽しいレースもいいものですよね? 涼司さんも楽しそうでしたし。 またやりましょうよ! そーだ! カノンさんも呼んで……」 涼司は苦笑い。 花音は小首を傾げると、勝手に良いように解釈したらしく。 「じゃ、また明日!」 ルカルカの後を追って行った。 涼司は夜の廊下でまた1人となった。 「やれやれ、今日は散々な一日だったぜ!」 ぎいっとドアを開け、校長室に入る。 「さて、本日中に片付けなくちゃいけねえ仕事は、っと」 ったく、校長業も楽じゃねえよなぁ、とぼやきつつ。 「お! 刀真達からの伝言か?」 机上のメモ用紙を見る。 足下の小包を見ろ! と書かれてある。 「へえ、さては、レースに併せて何か用意してくれたのか? あいつらも気がきくぜ!」 ふふん、と鼻歌まじりに小包みを開ける……と中からは夥しい量の請求書が出てきたのであった。 「何々? 『本日のレースにかかった請求書だ! 少しは環菜の経営力を見習え!』 だと? くそっ!」 金額の多さに、どうやって資金を工面しようかと涼司は1人頭を悩ませる。 ……これからは地道に「庶民」に徹しようと、固く心に誓う涼司なのであった。 おしまい。
▼担当マスター
大里 佳呆
▼マスターコメント
シナリオを担当させて頂きました、大里と申します。 この度は「第1回 ヤマハGP〜空京・秋の陣〜」へのご参加ありがとうございました。 優勝された方、おめでとうございます。 それと参加されたすべての皆様へ、感謝をこめて――「お疲れ様でした」。 またご機会があったら、是非よろしくお願い致します。 それでは失礼致します。 ※10月20日 一部修正を加え、リアクションを再提出しました。