蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

潜入、ドージェの洞窟!

リアクション公開中!

潜入、ドージェの洞窟!

リアクション

「わーはっはっはっはっはっは!! まさか学者を教師に仕立て上げるとは思うまい!」
「えぇ、本当にこんなことでうまくいくのだから、世の中不思議よね……」
 レベッカの爆笑に先導されるように、調査メンバーが走る。いくら妨害をしてくるであろう者達を巻けたとはいっても、いつ追いつかれるのかわからないのだ。早めに目的を達成しておくに越したことはない。
「ですが、吸血コウモリが出るのでしょう? このまま進んでも大丈夫なのでしょうか?」
 しかしそれでも懸念事項ある。レベッカのパートナーアリシア・スウィーニー(ありしあ・すうぃーにー)は犬耳生やした少々アレなかっこうで相方をたしなめる。
「いや、それなら大丈夫です」
 とは蒼空学園大草 義純(おおくさ・よしずみ)
「一応二、三日前から張り込んでみたのですが、そのときの情報と先ほど遊牧民の方たちから聞いた情報は一致します。今から大体30分、それまでなら十分安全です」
「ならば、迅速に行きましょう。わざわざ鉢合わせて争うこともありません」
 と、つなげるのは蒼空学園の叢牙瑠璃(そうが・るり)。しかし、そんな彼女の言葉に相反するように洞窟は二手に分かれてしまう。
「ふむ。一応どちらにいっても目的地には着けるようですね。ただ、」
 スッと義純が左を指を指す。
「ルートとしては遠回りになるコウモリ達の住処と、」
「落盤の可能性のある最短ルート、ですか……」
 右をみて、瑠璃。
「なら、ここは両取りでいこうか」
 と、一歩前に出たのは蒼空学園の斎藤 邦彦(さいとう・くにひこ)
「両方に分かれて一気にいこう。多少のリスクを背負ってでも時間を悪戯に消費することは避けたほうがいい。ネル、クジを」
「はい、こんなこともあろうかと♪」
 と、色のついた紙縒りとついていないものを取り出すのは彼の相方ネル・マイヤーズ(ねる・まいやーず)
「事を名づけて”群狼”。時は金なりだ、急ごう」
 てきぱきと事を進める邦彦に従い、みんながクジを引く。しかしあえて涼子を左にとみんなが選んだ。もし何かしらかの事態が起きた場合、ほかのメンバーを囮に使えば彼女だけは逃げる事が出来るからだ。
 いくら幼いとは言え、彼らは冒険者であり、プロだった。
「ではいこう」
 メンバーが左右に分かれ、進む。だが、
「まぁぁちたまぇぇぇぇぇ!」
『!?』
「ココから先は危険だ! 私が諸君を先導して……」
 んなこと知ったこっちゃねぇんだよぉと言わんばかりの人物一人。
『へ、変態だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!??』
 薔薇学マントに赤マフラー、赤い羽の仮面のみをつけた、ほとんど全裸の阿呆が一人。 薔薇の学舎の裸の煌めき、変熊仮面(へんくま・かめん)の雄々しき姿がそこにあった。
「とう!」
 彼はマントをたなびかせ、洞窟内の比較的高い場所から鮮やかなムーンサルトを決めながら飛び降り、
「ふんッ!」
「ペプシッ!?」
 邦彦の蹴りに股間を圧殺され、地面に温かく迎えられた。
「時は金なりだ。急ごう」
『うぃっす……』
 みんなは、何も見なかったことにした。

「くぅ! 完全に出遅れた!!」
 一方、須兵乱華亜。元の遅れを取り戻すために、荒れた荒野をバイクで突破してきていた。が、
「世の中、そうそううまくはいかないぜ……?」
「悠君右です……!」
「見えてるよ……」
 ガトリングガンの形した光条兵器で面攻撃を仕掛け、彼らの進行を阻止していた。シャンバラ教導団の月島 悠(つきしま・ゆう)とそのパートナー麻上 翼(まがみ・つばさ)である。圧倒的な火力による絨毯攻撃に、彼らは機動力を生かして攻撃をかわすものの、固定砲台となった彼女の攻撃を突破することはまず不可能だった。
「くそ、このままじゃジリ貧だぜ……」
 誰ともなくあせりをつぶやいたそのとき、
「まぁ、正面からは無理よね〜。こうやって……」
「!?」
「奇襲かけないと、ね!」
 ヴェルチェのダガーが、まっすぐに悠の命に食い込まんと走った。
 右で構えたガトリング、右から襲った斬撃。ガトリングのような大物が、この様な奇襲に対抗する方法は、ほぼない。
「ッのぉ!?」
 ズンッと、音がした。重心を預けていた左足のみで立ち、右足でガトリングの砲身を蹴り下ろした音が。
「あらら……。これだから戦闘のプロって嫌よね〜、あっさり反応しちゃうのだもの」
 一直線に首を狙ってきたそれを、ガトリングを回転させることによって盾へ。回避、別の防御手段よりも数手早く、この奇襲を殺す。
「雄々ッ!!」
 掛け声一つ、光条兵器としての質を強くし、さながら光の塊となったガトリングを回転させ、ドリルよろしく振るう。
「あら、こわい」
 が、あっさりとヴェルチェはかわす。元々彼女に本格的に打ち合う気はないのだ。目的は、
「ほら、みんなさっさといきなさいよ。時間稼いでるんだから」
 突入口確保。
「恩にきるぜ!」
「頭脳労働やってるあたしが肉体労働してるんだから、高いわよ?」
「いかせるかぁ!!」
 だが、それをさせまじと思いっきり重心を後ろに倒し、その動きで流すようにガトリングを振るう。
「こっちの台詞なおよねそれ、ッと!」
 が、悠の攻撃が彼らに届くより早く、ヴェルチェの蹴りが早い。
「ぐっ!?」
 どてっ腹に蹴りをくらい、尻餅をつくように倒れる。防御は出来るだろうが、追撃はこれで完全に不可能となった。固定重砲撃という強力な手を、彼は二手で封殺したのだ。
「せっかく普段動かないあたしが相手してあげてるんだから〜。ほかの子に手を出そうなんて、野暮だとおもわな〜い?」
「……抜かせッ」
 倒れた際に口内を切ったのか、血の塊を吐き飛ばすと、ガトリングに体重をかけ宙返りをし、戦闘態勢を整える。
「ゆ、悠君……!」
「大丈夫……」
「戦略的に大きく水をあけられて何が大丈夫なのやら?」
「戦術的にだ……!」
 ガトリングが、再びその圧倒的な火力を吐き出す。
「あらそう? ま、せいぜいキバッてねん?」
 からかうような口調。相手の攻撃意識を引き出すようなのらりくらりとした態度をとながら、ヴェルチェは攻撃をかわす。もう、攻撃する必要はないのだから。
(うまくやんなさいよ……? 何より私のために……!)
 すでに打つ手は打ったのだから。

「ようし、一気に進め! ヴェルチェの漢気に応えろぉ!!」
『応ォォォ!!』
 一方士気の上がりまくったパラ実一行。破竹の勢いで進撃してゆく。
「うぅ、俺様のグレートお亀さんが……」
 が、その目の前には全裸マントの素敵紳士が。
「む? 諸君、ここから先は危険だ!! 私が……」
 まぁ根はいい奴なのだろう、危険性を訴え力になろうとするが、
「邪魔だ変態ッ!!!」
「テンドンッ!!??!?!?!!!」
 再び股間にいい感じに蹴りをくらい、悶絶する。
「し……、んごー。しんごー……痛いよしんごー……」
 なんぞトラウマでもあるのか、だれぞの名前を呼びながら、彼はさめざめと泣いた。