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潜入、ドージェの洞窟!

リアクション公開中!

潜入、ドージェの洞窟!

リアクション

「くそ、こんな狭いところで銃なんか使うなっての!!」
「うぅ、あまり攻撃を受けないようにしてよぉ。回復するこっちが精神的にまいっちゃうよぉ」
 岩肌に身を潜め、カービンで銃撃を行っている武尊が受ける傷を、受けたそばから回復しながら、シーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)が泣き声じみた講義を上げる。
「カービンフルオートでぶっぱなしてる奴に言われたかねぇ! こっちゃデリンジャーだぞ!? サタデーナイトもフィーバーできねぇっつうの!」
 武尊の銃撃を岩陰に隠れて回避しつつ、デリンジャーで応戦する蒼空学園の椎名 真(しいな・まこと)。しかし火力は圧倒的であった。というか、突撃銃相手に二連発しかできない掌サイズのある意味豆鉄砲で対抗しているのだから、ある意味神業というかなんというか。
「くっそ〜、流石に光条兵器は使えないしな〜……」
 射撃系の光条兵器なんぞ使おうものなら、いくらなんでもこの洞窟自体が崩壊しかねないと、切り札が封じられた状態にやきもきする真。
「大丈夫だって。いくらなんでも無限に弾が撃てるってわけじゃないんだ。弾丸補充の隙を狙えばなんとかなるぜ!」
 とは、同じく蒼空学園の犬神疾風(いぬがみ・はやて)
「ふふふ、確かに正しい戦術なのでしょうが……」
 一歩、岩肌から姿をさらすものが一人。
「なッ!?」
「まどろっこしいですわ♪」
 波羅蜜多実業高等学校所属、藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)は、デリンジャーで武尊の頭上にある崩れやすそうな箇所を射撃。
「うお!?」
 部分的な落盤を引き起こすと同時に踏み込み。数歩で十メートルはあった距離をつめる。
「こんばんわ♪」
「へろ〜……?」
 零距離。銃の間合いは完全に殺された。
「覇ッ!」
 気合一閃、人を殺せる蹴りが武尊の顔面を襲う。
「!?」
「きゃッ!?」
 が、回避。下半身と上半身を入れ替えるように体を倒し、体捌きのついでにあごを狙った蹴りを打つ。
「おっと?」
 少々意外といった感じで、頭を軽く後ろに倒して回避。が、その少しでアサルトカービンを取り回すだけの距離が開く。
「ハッ!?」
 躊躇なくトリガーを引く。残弾は数初程度だったが、人を殺すには一発でも十分である。
「ふふッ!」
 当たれば、であるが。弾丸の一発が優梨子の頬をかすめ、血と共に愉悦の笑みが漏れる。
「いいですわ、中々ぁ!!」
 重心を極端に落下。片足でひざを曲げて体勢を保ち、残った足が、遅れるように踵落しとなって武尊の胸骨を砕かんと急降下する。
「なめんなッ!」
 空いた手と足で地面を叩きつけ、回転回避。ブレイクダンスの要領で背中を軸に回転し蹴りを放つと同時に、手でカービンの装弾を済ませる。
「あらあら〜。中々かわしますわね」
 楽しそうに愉しそうに優梨子は笑う。対する武尊も似たような、愉悦が駄々もれた笑みを浮かべる。
「ハッ! 伊達に銃闘法なんて名乗ってねぇんだよ、舐めんな!」
 互いの殺撃を入れるために、二人の動きが止まったかのごとく緩やかになる。
 それを合図としたのか、単に呆けていただけなのか、武尊の後ろから人影が飛び出してくる。
「このままちまちま攻めてても、苔が取られるだけだ! 悪いが先にいくぜ!」
 須兵乱華亜メンバー、ナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)である。
「ち、いかせるかよ!」
 が、そうそう通す訳にもいかないと疾風が得物を構え、その隣にクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)御国 桜(みくに・さくら)がランスを構えて並ぶ。
「俺が右で、」
「私が真ん中♪」
「そいで俺が左か。あいよッ!」
 短く受け答え、三人が突貫を仕掛ける。
「っとぉ!? んぬ、なんとぉぉぉぉぉぉ!!」
 ランス二本による突進をスライディングでかわし、反対から攻めてきた疾風の剣撃をナイフで受け止める。
「っとぉ……! 流石に三対一は卑怯じゃね……ッ?」
「アンパンの戦士や、五人レンジャーのおきてを知らねぇか……? 数で押すのも戦術ってな……!」
「ぐぅ……!?」
 片手剣とナイフのつばぜり合い。長さをそのまま威力に出来る分疾風は圧倒的に有利であり、いかんせんナガンは部が悪かった。
 が、二人の間に張った膠着の糸が切れようとした瞬間、異変が起こる。
「キィィィィィィィィィィ……」
 鼓膜を引き裂くような、鋭い音がした。