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リアクション
☆ ☆ ☆
沼地を抜け、小型飛行艇で上空を旋回していた佐々良 縁(ささら・よすが)は、ダリルたちの軍用バイクの側まで降下し、そのまま併走をはじめる。
「縁、頼んだぞ!」
「わかった!」
カルキノスから縁がドラゴニュートの赤ちゃんを受け取ろうとした、そのときだった。
「させるか!」
いきなり上空から飛び降りてきた羽根 季保がカルキノスの手から、ドラゴニュートの赤ちゃんを奪い返したのだ。
「な、なんだと!」
羽根 季保は森の最奥に隠れていたが、リリーや紀の窮地を知り、小型飛行艇を駆って急遽駆けつけたのだ。
「散々やってくれたわね…」
季保の目がギラギラ光っている。
「仕掛けてきたのはお前たちだろう?」
ダリルも容赦はしない。季保に向かってバイクを走らせる。
「ドラゴニュートの赤ちゃんを返せ!」
「いやだね」
季保は素早い動きでダリルのバイクからひらり、と身をかわすと、自分の小型飛行艇に飛び乗ろうとする。
その瞬間、レーゼマンが撃った一発の銃弾が、季保の手から麻袋をはじき飛ばしてしまう。
「痛!」
「すまんな。任務失敗だけはどうしても避けたかった」
麻袋は季保の手を離れ、地面に叩きつけられられそうになる。
「危ない!」
間一髪、ケイが空飛ぶ箒に乗って、その麻袋をすくい上げるが、キャッチすることが出来ず、再び麻袋はケイの手元を離れてしまう。
「うわ!」
「しっかりするのじゃ、ケイ」
ぐらっと体のバランスを崩したケイを、カナタが後ろから同じく空飛ぶ箒で支える。
「あ、ありがとう、それより赤ちゃんは…!」
「任しといて!」
一ノ瀬 月実(いちのせ・つぐみ)が軍用バイクで突っ込んで、ドラゴニュートの赤ちゃんが入った麻袋を拾い上げたのだ。
「いっただき!」
「もう! 月実! 危険だってば!」
サイドカーに乗ったリズリット・モルゲンシュタイン(りずりっと・もるげんしゅたいん)は光条兵器を使って月実をサポートするつもりだったが、月実が突然離したハンドルを押さえ、バイクのコントロールに必死になっていた。
「やった! 今度こそ、ドラゴニュートの赤ちゃんを奪い返したわ! そこの飛行艇に乗ってる人! 受け取って、蒼空学園の本部に連れて帰ってあげて!」
「判ったよ!」
急に月実に指名された佐々良 皐月(ささら・さつき)だったが、臨機応変に対応し、リズリットに渡されたドラゴニュートの赤ちゃんの入った麻袋を受け取った。
「可哀想に、こんなものに入れられて…」
皐月は、ドラゴニュートの赤ちゃんを麻袋からそっと取り出すと、自分の胸に抱えてあげた。
そこにカルキノスを乗せた縁がピッタリと寄り添う。同じドラゴニュートのカルキノスが側にいることで、安心すると『機甲戦女』の面々は考えたのだ。小型飛行艇は緩やかなカーブを描いて、そのまま蒼空学園へと飛び去っていく。
そこに赤いマフラーをたなびかせ、パラミタ刑事シャンバランこと、神代 正義(かみしろ・まさよし)が現れた!!
「神代 正義、彼は普段は歩兵科に所属する熱血青年である。しかし、彼にはもう一つの姿があった…。この世に悪が現れる時、彼は正義のヒーロー『パラミタ刑事シャンバラン』へと変身するのであった!」
(ナレーション終わり)
「ババーン!」
自分で効果音を言うシャンバラン。寂しい。
「テックセッタ!! 装着変身! パラミタ刑事シャンバラン! シャンバランダイナミィィィック!!!! 悪は滅びろ!! 正義のヒーローがただいま助けにきたぜ! …ってあら? 全部終わっちゃった後? あー…無事救出おめでとうございます…なんつうかな、こう、もっと見せ場があってもいいと思うんだけどな…シャンバランブレード、使いたかったなあ…」
正義、いや、パラミタ刑事シャンバランはブツブツいいながら、撤収を開始した。
☆ ☆ ☆
ドラゴニュートの赤ちゃんが奪還されたことを確認したレーゼマンが容赦することなく、季保の足元を目掛けて発砲を繰り返す。
「私がそう何度も遅れを取るとでも思ったか…!」
「ちぃ! ここまでか!」
季保はぎりぎりのところでそれらをかわし、レーゼマンの目をくらませるため、煙幕を張って逃げてしまう。
森に逃げた季保は、レーゼマンの弾丸で傷を負った手を自分の服を切り裂いてテーピングし、止血、応急処置してしまう。
ほっとしたのもつかの間、次の瞬間、不意に季保は背後に人の気配を感じて、振り返った。
「何奴!」
「おおっと、動かない方が良い」
ハンドガンを手にした斎藤 邦彦(さいとう・くにひこ)がそこに立っている。邦彦は、敵の狙いの1つがファイヤードラゴンによる学園へ襲撃だと考えており、それを防ぐためにもとにかく短時間で任務を終わらせたいと考えて、ただひたすら単独行動に専念していたのだ。
味方部隊を尾行し、情報収集を行い、隠密行動に当たっていた。そのために、バーストダッシュと隠れ身のみを使用し、味方にも見つからないよう細心の注意を払っていたのだ。そのことで、味方から文句が出るのことに関しても、すでに邦彦は覚悟している。
「私の後ろを取るなんて、凄い奴が蒼空学園にもいたのね。それにイイ男だわ」
「おっさんくさいと言われるけどね。…私の実力であんた達と戦うにはこの手しかなくてな」
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