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ひな祭り…ほのぼのと過ごす? それとも段を占領?

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ひな祭り…ほのぼのと過ごす? それとも段を占領?

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第7章 試練の壁

「おひな様の席は渡さないー!」
 なんとしてでも主役の座を奪おうと、透乃は必死に駆け登っていく。
「あなたにおひな様の席は渡さないわよ」
 同じ席を狙っているアピスがランスを振り回す。
「そして・・・私の隣は静香さんよ!」
 SPリチャージをさせたシリルにミサイルを撃たせる。
「よ、避けられた!」
 軽身功の身軽な身体能力で軽く避けられてしまう。
 ミサイルを放ったシリルのSPの残りは少なくなり、もう撃てなくなってしまった。
「やだっ、私だっておひな様になりたいんだから!」
「だったらここから落ちてもらうしかないわね」
 アピスは透乃を落とそうとランスの切っ先を向ける。
 段から突き落とそうと彼女に襲いかかる。
 ズダァンッ。
 どこからか銃声が響いた。
「あ、私の武器が!?」
 泰宏にスナイパーライフルでランスを狙われ、手の中から段の左側へ滑り落ちる。
「武器ごと落ちてもらおうか」
「そんな、せっかく静香さんのために登って来たのに!!」
 拾おうとするが放たれた銃弾の衝撃で、アピスは地上へ落とされてしまった。



「兄様、あれは何?」
「あれは牛車ですね、牛にひかせる車ですよ」
「牛が車を引くの?面白いね」
 初めて見る飾り道具に、瑠璃はキラキラと目を輝かせた。
「また誰か落ちたようですね・・・」
 遙遠は990段目から悔しがりながら落ちていくアピスの姿を見た。
 一方、カフェの方では窓から争奪戦を見ながら料理を食べている。
「何人落ちたんでしょうね」
 翡翠は押し寿司を食べながら窓の外を眺める。
「お前も参加したかったか?」
「まさか・・・自分はカフェでゆっくりしている方がいいです」
 レイスに聞かれ、翡翠は首を左右に振る。
「パートナーも座れるやつだったらどうした?」
「うーん・・・・・・その時はちょっと考える・・・かもしれませんけど。たぶんやりません」
「どうしてだ?」
「大切なパートナーが傷つくとこを見たくないからです」
「そ・・・そうか」
 照れながら言う翡翠に、レイスも思わず照れ笑いをする。



「これって本当に、カップルを応援するためなんでしょうか」
 恋の障害を乗り越えてこそ、絆が深まると言う理沙に、チェルシーは疑問を抱く。
「あら、だってそんなにあっさりと座れたら面白くないでしょ?」
 疑問に思っているチェルシーに理沙が笑顔で言う。
「そうそう」
 舞は理沙の意見に賛同し、うんうんと頷く。
「誰か来ましたわ。カップルじゃないようですけど」
 登ってくる透乃に向かって、舞はアサルトカービンのトリガーを引き、銃弾の代わりに詰めたあられを放つ。
「させるかよ!」
 そうはさせまいと泰宏がシャープシューターの命中力であられに照準を合わせ、スナイパーライフルの銃弾を放った。
「なっ・・・、どこからか銃弾が!」
「隙ありっ」
 驚愕の声を上げる舞の傍を透乃が通ろうとする。
「そう簡単に登らせないわっ」
 ファイアストームを火術でコントロールし、軽身功の体術で逃げようとする透乃を炎の嵐の中に囲む。
「くっ、回避しようにも段差が・・・。2人がかりで来られたから、先の先も読みきれなかったわ」
 避けようとしたが大幅に段差がなく、あっとゆう間に囲まれてしまった。
「銃弾なんて危ないですわねっ」
 チェルシーは泰宏が撃つスナイパーライフルの銃弾を火術で防ぐ。
「あ・・・あんなところから・・・。ここからだと、術が届きませんわ」
 反撃しようとしたが、遠くにいる泰宏には術が届かなかった。
「妨害されるなんて予想外だ、しかも3人のうち1人は銃弾を落とそうとずっとこっち見てるし・・・」
 撃ち落とそうにも防がれてしまい、どうしたらいいか悩んでしまう。
「フフフッ。逃げるならそれなりの反撃をしないと、逃げられないわよ」
 舞は銃口を透乃に向け、スプレーショットの餌食にする。
「うぁああーん、おひな様の席に座りたいのにーっ!!」
 透乃は600段目から落とされてしまった。
 彼女を助けようと泰宏が段の方へ走る。
「透乃ちゃんー!いま助けるからなぁあっ。どぁあっ!?」
 受け止め損ね、透乃のクッションになった。
「いっ、たたた・・・」
「―・・・だ・・・大丈夫か・・・透乃ちゃん・・・・・・」
「うん・・・。やっちゃんのおかげで助かったよ」
「あらら、落ちちゃったみたいですね」
 段から離れた位置でピクニックをしていた陽子が傍へやってくる。
「これは今から登っても無理そうですね」
「えーぇえん、悔しいー!」
 落とされた悔しさのあまり、透乃は大声で叫んだ。



「ちょっと登りづらいね。樹さんの方は大丈夫かな・・・」
 弥十郎は後ろの方にいる水神 樹(みなかみ・いつき)に“頑張って”とアイコンタクトを送りる。
 十二単を着ていてかなり動きにくそうだ。
「いきなり炎が!?弥十郎さん、危ない!」
 恋人の弥十郎を狙う炎から護ろうと、水神は彼を抱きかかえて段の上に伏せた。
「ここを通りたければ、私たちを倒すのよ」
「フフフッ、愛の障害を乗り越えてみなさいよ!」
 彼らに向かって舞があられの銃弾の雨を撃つ。
「そういうことなら乗り越えてみせるっ」
 弥十郎は戦闘用羽子板であられを防ぐ。
「早く上へ!」
 段を登ろうと樹が恋人の手を引く。
「簡単に行かせてたまるもんですか」
 水神たちに向かって理沙がファイアストームを放つ。
 彼女の行動を先の先で読んでいた水神が紙一重でかわす。
「あー・・・逃がしちゃったみたいね」
 登っていく水神と弥十郎を見て、理沙は残念そうに言う。



「もうそろそろ900段あたりにつきそうだな」
「じゃあここら辺で落ちてもらおうか!」
 ラルクを狙い鉄甲をはめた拳から大佐が轟雷閃を放つ。
「ほう。直接くるとはいい度胸だな!!」
「それくらい避けてみせる。ほらほらどうした、当たらないぞ?」
 大佐は避けながらクスッと笑う。
「だったら、これならどうだ!?」
「ぐぅっ」
 段を蹴りラルクが放つ遠当てを避けようとするが、片足にくらってしまう。
「うらぁあっ、落ちろぉおおおーー!!」
 等活地獄の打撃で大佐を段から殴り落とす。
「ここまで来て落とされるとは・・・。可愛い子と隣に座りたかった・・・・・・」
 おだいり様を狙っていた大佐はラルクに地上へ落とされてしまった。



「誰か登って来ましたね・・・」
 おひな様の席を目指して950段目まで登ったメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)が下の段を見る。
「メイベルちゃん、男子がおひな様を狙っているわよ!」
「なんですって!?」
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)に肩を突つかれ、驚きのあまり目を丸くする。
「あら、本当ですわね」
 姿を確認しようとフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)も下の段の方を見た。
「男の人なのにおひな様を狙おうとするなんて・・・。そんな不届きな人、先生方が許しても私は許しません!」
 メイベルは野球のバットの握り締め、弥十郎を殴り落とそうと待ち構える。
「だ、男子がおひな様になってもいいじゃないか!」
 抗議の声を上げる弥十郎に、メイベルは首を左右に振り、通すものかという態度をとる。
「叩き落としてやりますぅ〜」
 問答無用とメイベルはバットを振り回す。
「弥十郎さんは私が護ります!」
 迫り来るバットを水神が素手で止め、その隙に登るように弥十郎へ視線を送る。
「この先は通行止めですわっ」
 フィリッパは彼らの前に立ちふさがり、バットを向け爆炎波を放った。
「なんとしてでも進ませてもらいます!」
 先の先で相手の動きを読み、爆炎波を避けた水神は弥十郎と段を登ろうと走る。
「行かせないよ」
 段に向かって火術を放ち、セシリアが道を塞ぐ。
 水神たちは互いに手を握り合い、炎の壁と飛び越えようとする。
「このチャンスを待っていたですぅ〜!」
「―・・・なっ!?」
 にっこりと笑うメイベルを見て、2人は驚愕の声を上げた。
 気づいた時にはすでに遅く、バットの餌食にされてしまう。
「951段目へは行けません。直通の草の上へご案内しますぅ」
「いってらっしゃーい」
「フフフ、残念でしたわね」
「うぁあ゛ーー、そんなぁああ!?」
「せっかく登ったのにーーっ!!」
 水神たちはパラミタ”撲殺天使”普及委員会の彼女たちに叩き落とされてしまった。


「この段で最後ですか」
「さすがに疲れたわね」
 リュースとレイはよくやく全ての段の飾りつけを終えた。
「さて、降りますか」
 飾りつけが終わり、2人は段を降りていった。