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リアクション
●第二章 幸せの種
「ボク、プレゼントなんか……思いつかないよ」
かなり落ち込んだ様子で皆川 陽(みなかわ・よう)は言った。
お金持ちの子供に下手なプレゼントはできないということらしい。
「そんなの気持ちでするものじゃんっ!」
テディ・アルタヴィスタ(てでぃ・あるたう゛ぃすた)は力説した。
自分だったら、陽のくれるものなら、何でも嬉しい。
第一、お金のあるなしは関係ないような気がする。
おめでとうの気持ちが一番大事だ。
誕生日は「生まれてきてくれてありがとう」の日だ。そして、「生んでくれてありがとう」の日でもある。
テディは思った。
自分だったら…陽の誕生日は絶対、特別だ。
陽の母親が生んでくれたから、自分は陽と出会うことができた。
誕生日は素晴らしい日なのだ。
テディはたくさんのありがとうが言いたい気持ちになった。だから、陽もそうやって、おめでとうと言えばいいし、何かプレゼントすればいいのだと思う。
「お金が無くても、できることがあると思うよ」
「たとえば?」
ヨメ、中々に難しい質問をする。
テディは悩んだ。
できるなら、ヨメの誕生日プレゼントで悩みたいものだ。
「うっ……。そ、そうだなぁ。甘いものが好きって聞いたし」
「お菓子かぁ……お金あるから、いくらでも買えるなあ…」
「そ、そんなことないぞっ。僕は、陽のくれるお菓子ならっ…てゆーか。 この前の調理実習みたいに…つ、作ってもらったりしたら嬉しいし!」
「そうかなぁ。だって、この前の硬くて食べるの大変だったんじゃなかった?」
「バターの量が半分だけだっただけだし。ちゃんと分量見て作れば」
「そうかな」
「そうだって!」
かなり力説され、陽は少しだけ良い気分になった。
一回失敗したことのあるものなら、なんとかなる。
陽は頷いた。
「じゃあ、作ってみよう」
「失敗しても、もう一回作ればいいよ」
「う〜……最初から失敗すると思ってる。どーせどーせ……」
「あぁっ! そんなことない。絶対、大丈夫だし! 僕も作るよ」
「本当? それなら作る」
「ふ、二人の…【愛の】共同作業だねっ」
(きょ、共同作業!! なんか、夢みたいだ〜♪)
テディは自分の言葉に酔いしれた。
「まあ、そうだね」
「うん!」
(そうだねって、そうだねって!)
陽のたった一言にテディはウキウキしている。
陽はそんなことに気が付いていなかった。
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