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【2021正月】羽根突きで遊ぼう!

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【2021正月】羽根突きで遊ぼう!

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第9章 3人「トリオ・ザ・KKK」

「オレたち!」
「KKKと!」
「脱衣式羽根突きで!」
「勝負してもらおうか!!!」
「…………」
 突然目の前に現れて1人ずつ口上を述べた後、最後に唱和し「決めた」、このよくわからない3人組に、新入生トリオは呆気にとられていた。
「えっと……、その前にあなた方はどちら様ですか?」
「よくぞ聞いてくれた!」
 先程の勝負で疲れて寝転がっていたフィリップの問いに、3人組の1人、なぜかメイドの服装で現れたごつい男がやたらと胸を張る。
「オレは『KKK』が一人【裸説の鬼羅】こと天空寺 鬼羅(てんくうじ・きら)!」
 1人目に現れた女装男である。
「ワイは『KKK』が一人【血染の切】こと七刀 切(しちとう・きり)!」
 2人目に現れたぼさぼさ乳白金頭の男である。
「そして俺は『KKK』が一人【大海のクド】ことクド・ストレイフ(くど・すとれいふ)!」
 3人目に現れた眠そうな顔をした男である。
「……で、KKKとは、何だ?」
 フェンリルの疑問ももっともだ。いきなり現れていきなりグループ名を言われても何が何やらわからない。
「あ、KKKっていうのは、【冒険屋ギルド】でつるんでるお兄さんたち変態3人組のグループ名っす」
「変態なのか」
「変態かよ」
「変態なんですか」
「おおう! 3人にまとめて言われるとさすがのお兄さんも悲しいっ!」
 クドが親切に説明したが、目の前にいる新入生トリオにはウケが悪かったようだ。
「で、何でKKKなんだ?」
 フィリップと同じく仰向けに寝転がったままのレオンが呆れたような顔を見せる。それに答えるのは鬼羅だ。
「ああ、それは簡単だ。オレたちの名前が鬼羅(きら)、切(きり)、クドで、3人とも最初の音が『K』で始まるから……で合ってたよな?」
「合ってるんじゃないかねぇ?」
「俺も合ってると思うけど、どうだったっけねぇ?」
 いまいち自信の無い3人組である。
「で、そんなことよりも、俺らと勝負してくんないかなぁ」
「あん、勝負って何をだよ?」
「そりゃあんた、ハイブリッド羽根突きに決まってんじゃない」
 クドが提示したルールとはこうだ。

・ハイブリッド羽根突きであるのは変わらないが、一部ローカルルールを追加する
・勝ち抜き形式のチーム対抗戦、1対1ずつ
・負けたら服を脱ぐ、最後の砦たる下着については個人の判断にお任せ

 なんとも危険ではないようである意味危険な羽根突きである。
「何のためにそんな羽根突きをやらにゃならねえんだよ……」
 上半身を起こしながらレオンが渋い顔をする。
「だってバツゲームありの勝負でワイらが参加しないとか考えられないからねぇ」
 切が「何を当たり前のことを」といった表情で答える。
「だからってなぜ脱ぐ!? つーか誰が得するんだよ!」
「なぜ脱ぐのかって?」
「そりゃお兄さんたちが普通のバツゲームで満足するわけないじゃない」
「その通り、なぜならオレたちは――」
 そこで3人はニヤリと笑みを浮かべ声を揃えた。
「変態だから」
 新入生トリオ全員が思った。駄目だこいつら、早く何とかしないと……。
「はぁ、しょうがない。その勝負、受けてやるか」
「いいのか、ダンドリオン。ベレッタもそうだがかなり疲れてるんじゃないのか?」
「まあ疲れてはいますけど、やらないと、いつまでも居座りそうですよ」
 フィリップの意見はもっともだった。確かにここで勝負を受けずにいれば、この変態3人組が何をしでかすやらわからない。
「では、本日やたら登場する私が、また審判をさせていただきますね」
 もうすっかり審判役として引っ張りだこ状態のテスラ・マグメルが駆けつけてくれた。
「それじゃ、ローカルルールに1つ付け加えてくれ。こっちは毎回交代するってな」
「え、レオンさん勝ち抜きにしないの?」
 レオンの発言に切は目を丸くする。
「さすがにオレらも疲れてきてるからなぁ。勝ち抜きやれる程度に体力が残ってるかどうか怪しいし」
「……確かにワイらが来た頃にはもう、大分疲れてたみたいだったよなぁ」
「まあ、それくらいならいいだろ」
 了承したのは鬼羅である。
「大体、そっちは主催者だからな。客のオレらはやっぱりそっちに従わざるを得なくなる。オレたちは勝ち抜きで、そっちは試合毎に交代。ただし、そっちのメンバーが最後まで残ってなかったら、最後のメンバーが勝ち抜き。これでどうだ?」
「よし、それでいいぜ」
「決まりだな」
 互いにルールを確認し合い、順番が決まる。
 まず最初は切とフィリップに決まった。
「そんじゃあ、始めるかねぇ」
「よろしくお願いします」
 2人が構えようとした時、横から赤い影が割り込んだ。
「どこかで見たような顔だと思ったら、やっぱり変態3人組だったわね!」
「ジャーンジャーンジャーン! げえっ、フレデリカ・レヴィ!!」
 ドラが鳴る音まで口で表現し、KKKの3人は目の前に現れた少女――フレデリカ・レヴィに恐れおののいた。
 彼女がなぜここに来たのか。それは救護所でのルイの治療が終わり、本来の目的であるフィリップの護衛を再開するためである。それで来てみたら、自らも所属する【冒険屋ギルド】の変態トリオがそこにいたのだ。3人組と彼女はそれなりに交流はある。普段なら放置しておくか、場合によってはブレーキ役になるところなのだが、フィリップが絡むとなれば話は別だ。どうせ彼らのことだ。片思い中のフィリップに変な命令でも下すつもりなのだろう。そして彼女の予想は的中していた。
「フィリップ君、あの3人の言うことなんて聞いちゃ駄目よ。っていうか私が聞かせないからね!」
「ど、どうも……」
 フィリップを守るということで躍起になっているのか、フレデリカのテンションは先程のルイとの試合以上に高い。
「あ、でも今回は1対1ということになってるんですが――」
「あ、ワイは別に2対1でも構わないぜぃ」
 フィリップが護衛を断ろうとすると、逆に対戦相手の切が許可を出したのだ。
「え、いいんですか?」
「もちろん。もしかしたらこうなるんじゃないかな〜、とか想像してたし」
 切の言う想像とはフレデリカの存在のことである。
「言ったわね、変態剣士! どうなっても知らないからね!」
「覚悟はできてる。で、それはそうとして――」
 突然切は非常に真面目な顔になった。その度合いは、目の前の赤い少女がたじろぐほどである。普段から変態と呼ばれているが、真面目なことも考えられるのだろうか。
「な、何……?」
「スリーサイズを教えてください」
「…………」
 訂正、やはり変態だった。
「……フィリップ君」
「な、なんですか……?」
「あの変態、潰しちゃってもいいよね……? っていうかマジに潰すわ……」
「は、はひっ……!」
 何かのスイッチが入ってしまったのだろうか、殺意という名のオーラを纏ったフレデリカに、フィリップは卒倒寸前だった。
「……では、試合開始です」
 半分忘れられそうになっていたテスラの口から、試合開始が告げられた。先攻は切である。
「んじゃあ、サクサクいくかねぇ」
 切が軽く羽根を打つ。まずは小手調べというところだろうか。
 だが対戦相手――特にフレデリカは容赦するつもりは無かった。最初からサイコキネシスを全開にし、その羽根を「殴打した」のである。
「ちょ、最初から本気!?」
 殺気看破を利用して相手の動きを多少なりとも知ろうと思っていたが、フレデリカが放つ殺気があまりにも強すぎて、相手の動きを読むどころではない。必死で打ち返すが間隔を置かずフレデリカが返す。切としては、自分が羽根を打つと同時に光条兵器の大太刀を呼び出すつもりでいたのだが、フレデリカの打つ勢いが強すぎてなかなかチャンスにめぐり合えないでいた――ついでに、光条兵器の使用を咎められたら「これは道具ではなく技の一種だ」と言い張るつもりでもいたが、この状態では言い張ることすらできない。
「こりゃ無理かねぇ。だったら、奥の手だぜぃ!」
 言って切は羽根を打ち、フレデリカが返す直前に、その場で光術を放った。誰にでもわかる目くらましである。
 瞬間、切の足元が強い光を放った。そしてその光は、どういうわけか自分の目を直撃した。
「うおっ、まぶしっ!」
 策士策に溺れるとはまさにこのことだろうか。当然それを見逃すフレデリカではなく、彼女の打った羽根は切の足元を直撃した。
「そ、そこまで。勝者……フレデリカ・レヴィ……」
「きゃー! フィリップ君、勝ったわ! これでフィリップ君が変な命令聞かなくて済むわよね!」
「は、はぁ……」
 この試合中、完全に何もしない形となったフィリップは反応に困った。
「う〜、ワイの完璧な作戦がぁ……」
 目が光に慣れてきた切が床に両手をついてうめく。
「作戦? 『作戦かっこ笑い』の間違いじゃないの?」
「……なかなかうまいこと言うじゃないの。あ、それでスリーサイズ――」
 その瞬間、切は閃光に包まれた。天――修練場の天井から巨大な雷が落ちたのである。それはフレデリカの天のいかづちによる天罰であった。
「……少し、頭冷やそう……?」
 そこにいたのは白い――ではなく、赤い悪魔と化したフレデリカ・レヴィの姿であった。
「そのセリフ、攻撃の前に言ってほしかった……がく……」
 その言葉を最後に、墨を塗られた以上に真っ黒になった切は意識を手放した。

「あーっはっはっは! さぁ! 燃えてきたぜっ! 勝負といこうじゃねーか!!」
 次の対戦は鬼羅とレオンということになった。
「やれやれ、それじゃあ付き合ってやるか!」
 休憩も済み、レオンは勢いよく立ち上がる。鬼羅の方も準備万端なのか、ダッシュローラーを履き、羽子板を振り回している。
「それでは、試合開始です」
 テスラの声が両者の間を流れる。先攻は鬼羅である。
「それじゃ、いくぜ!」
 鬼羅が振る羽子板で飛ばされた羽根は勢いよくレオンに襲い掛かる。
「パワータイプのショットは、いい加減見飽きたぜ!」
 レオンも負けじと羽根を打ち、鬼羅の足元を狙う。だがそのワンパターンな攻撃は、殺気を看破し続けている鬼羅にとって単調な遊びにしかならなかった。
「おいおい、そんなホイホイ同じところを打っちゃっていいのか?」
「生憎、完全回復したわけじゃないんでね。たとえワンパターンでもやるしかねえんだよ!」
 レオンのその言葉は嘘ではなかった。確かに休憩して、羽根突きができる程度に動けるようにはなったが、100%の力を出し切れるような状態ではないのも確かなのだ。
「それじゃあしょうがない。だったら――」
 レオンの低めのショットを掬い上げ、鬼羅は高く打ち上げる。
「俺のとっておきをご紹介しよう!」
 言った瞬間、鬼羅の頭上に「歪み」が生まれた。その巨大な歪みは今までそこに無かったものをあるようにするための現象――コンジュラーの特技を使っての「物質化」だった。
「食らえ必殺ぅうううう! 飛龍衝炎破ぁああああ!!」
 鬼羅が吼えるとそこに、物質化されたレッサーワイバーンが現れた。
「うおおおっ!? なんじゃあそりゃあ!?」
 もちろんレオンは驚くしかない。それはそうだろう。何も無いはずの空間からいきなりワイバーンが飛び出してきたら驚かない方がおかしいのである。
 だが驚きっぱなしの時間をワイバーンは与えてくれなかった。高く舞い上がった羽根に対し、ワイバーンはレオンに向かって突撃しながら強烈な火炎放射を浴びせたのである。
「おわっ!」
 吐かれた炎は羽根を焼き尽くし、そのままレオンに襲い掛かる。慌ててレオンは逃げるが、幸いにして炎は彼に届かなかった。
「わははははは! どうだ驚いただろう! これが俺の必殺技よ!」
 大威張りで胸を張る鬼羅だったが、そこに無情なる声が飛んできた。
「残念ですがノーゲームです。鬼羅さんのワイバーンが召喚された瞬間と、炎を吐く瞬間まではいいでしょう。ですがその後が問題です」
 テスラの声は非常に淡々としており、それが恐れを演出していた。どうやら恐れの歌も発動しているらしい。
「問題って?」
 鬼羅の問いに、テスラは無表情のまま答えた。
「……ワイバーンの炎で、羽根が消し炭になったんですよ」
「へ?」
 たかが木製の球であるはずなのに、炎や電気、その他様々な攻撃やスキルを受けても壊れなかった羽根だったが、さすがにワイバーンの炎には勝てなかったらしい。
「羽根が無くなってしまっては、試合続行は無理ですね。新しいのは持ってきますが、この試合は無効となります」
「……調子に乗りすぎたかな、こりゃ!」
 勝ちも負けも無くなってしまったが、鬼羅は愉快そうに笑った。
「ならしょうがない。結果はどうあれ俺の負けだ。潔く脱ごう!」
「は?」
 その発言に驚いたのはレオンである。別に無効試合になったのだから脱ぐ必要性はどこにも無いのだが……。
「バツゲームだろ? うむ、わかってるわかってる。脱げばいいんだろう?」
「いや、別にそれはしなくていいんだけど」
「わかった、脱いでやろう! さぁ脱ぐぞ! そら脱ぐぞ!」
 もはや聞く耳持たずの状態に陥った鬼羅は、自らの服に手をかけた。
「さぁ、俺の身体が初日の――でっ!?」
 だが彼の裸体が世間に出回ることは無かった。鬼羅が服を脱いだ瞬間、目を焼くような閃光がほとばしり、鬼羅の体を撃ち抜いたのである。それは先程切に叩き込まれたのと同じ、フレデリカの天のいかづちだった。
「……どう、新年初に食らった天のいかづちの味は?」
「ご、ごちそうさまでした……ぐふ……」
 その言葉を最後に、鬼羅も沈黙した。

「ふっ……、後はお兄さんに任せなさいな。……なんか、全然違う方法でやられてる感じがするけど」
 最後はクドとフェンリルの試合である。クドは当然無傷、フェンリルも大したダメージは受けていないため、ほぼ無傷に近い。クドの変態ぶりが発揮されない限り、完全な実力勝負になる。
「では、相手をしよう」
「さすがにここは負けるわけにはいかないからねぇ。ちょっと本気で行くよ」
 言ってクドは羽子板を片手に持ち、その身に禍々しき冥府の瘴気を纏う。
「ほう、俺も魔剣士だということを忘れたか?」
 同じく羽子板を「剣」の形に持ち、フェンリルもナラカの気を纏った。
「……忘れてた、って言うより、まさか相手があんたになるとは想定してなかった、ってとこかな?」
 冷や汗をかきながら、それでも口調は余裕をもってクドは羽子板を構えた。
「……では、試合開始」
 左右から奇妙なプレッシャーを浴びる破目になったテスラが、渋い顔をしながら厳かに開始を告げる。先攻はクドだ。
「じゃ、早速……」
 軽く羽根をトスし、振り下ろす形で打つ。そこでクドは光術を発動した。先程切が失敗した目くらまし戦法である。
 フェンリルはもちろんそれをまともに受けようとせず、すぐさま羽子板で自身の目を隠し保護した。だがこれでは飛んできた羽根の対処が遅れてしまう。そう思った彼はすぐさま魔剣士の封印を解凍し、どこに羽根が飛んでこようが追いつけるようにする。
「目を隠した分行動するまでにタイムラグができるが、それ以上の動きで追いつけば問題無い」
「むぅ、やるねぇ。でも――」
 フェンリルから返された羽根はクドの左側を通過しようとする。追いつくには少々距離がありそうだ。
「それは俺にも言えることなんだよねぇ」
 クドはフェンリルと違い、高速で動く術は持っていない。だがその代わり、自分には銃夢――ヘクススリンガーが操る危機回避の技術がある。これを逆に利用して、羽根が向かってくる方向と方角を読み取り、本来なら回避するところを逆に突っ込んでいけば、おのずと羽根の前にたどり着けるのだ。
「この後そこの2人も相手に、合計3連勝しないといけないから、早めに決めさせてもらうよ、っと」
 羽根に追いつくとすぐさま打ち返す。その時、打たれた羽根が黒く燃え出した。これは「ヘルファイア」を上乗せしたものだ。
「どうする。あんたは確か氷術は使えないんだろ? アルティマ・トゥーレで打ち返すかい?」
「よくわかったな。その通りだ」
 言われたフェンリルはクドの言葉の通り羽子板に冷気を纏わせる。そのまま振りぬくと、羽根を燃やしていた黒い炎が掻き消え、逆に冷気を纏ったままクドに向かって突進する。
「本当にやるかねぇ……」
 決めていた必殺技が返された。他にも打つ手はあるが、ここで余計な体力を消費するのは避けたい。だが悠長に事を構えていては負けてしまうだろう。
(やれやれ、やるしかない、かぁ……。これはできればやりたくなかったんだけどねぇ)
 覚悟を決めたクドは、その場で気合を込める。
 瞬間、クドの体から光があふれ出した。
「ヘクススリンガーとっておきの技、『パラダイス・ロスト』ってやつさ!」
 パラダイス・ロスト。それは自らが内包する精神力や魔力、その全てを一気に放出する、いわば捨て身の技。クドはこれからの2回の勝負を捨て、目の前の魔剣士に勝つことを選んだのだ。
 放出された魔力を全て羽根に叩き込む。いくらフェンリルが強かろうと、そう簡単に受け止めることはできないはずだ。それを証明するかのように、羽根はぐんぐん速度を上げフェンリルに迫った。
 フェンリルはこれを打ち返せないと判断した。無理に打ち返そうとすればあらぬ方向に羽根が飛んでいってしまう。そうなれば「羽根をうまく打ち返せなかった」フェンリルの負けになる。ならば完全に受け止めた後に、落ち着き払って打ち返せばいいだけのこと。
 フェンリルは再び封印解凍を行い、羽子板を「板」として持ち替え、片手は羽子板の握りの部分を、片手は羽子板の裏に添える。羽根に対し、真正面から立ち向かうつもりだ。
「もちろんそれだけでは受け止められんだろう。だから――」
 羽根がフェンリルの羽子板に直撃し、そのまま弾き飛ばされずにフェンリルを押していこうとする。だがその時、フェンリルの体が急に重くなり、羽根の動きが阻害された。
「『奈落の鉄鎖』だ」
 彼はフェルブレイドの技、重力に干渉し特定の地点や物体に重力をかける「奈落の鉄鎖」を自分にかけたのだ。正確には自分が持つ羽子板、及び接触している羽根に、である。羽子板を弾き飛ばすか貫通するために、羽根は回転を加えながらそのまま突き進もうとする。だが上からの重力干渉についに負け、勢いを失った後に、フェンリルによってクドの体の近くに落とされた。
 打ち返すはずのクドはパラダイス・ロストを発動した衝撃に体が耐え切れず、立ったまま気絶していた――なぜか片腕を天に突き上げたポーズの状態で。
「勝負あり。勝者、フェンリル・ランドール」
 テスラの宣言により、こうしてKKK対新入生トリオプラス1人の試合は後者の完全勝利に終わった。