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【2021正月】羽根突きで遊ぼう!

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第13章 救護「怪我人の休憩〜その2〜」

 羽根突きが行われている間、救護所兼観戦席が稼動していないわけがない。先程に引き続き、怪我人などが運び込まれてくるのである。

「いててて……、なんかまだ腹の調子が悪いなぁ」
「完全な食中毒だな。一応、応急処置はしたとはいえ、やはり完全に治療するしかないか」
 救護所で腹痛を訴えていた無限大吾にクレア・シュミットが診断を下す。彼はレオンも食べさせられたセイル・ウィルテンバーグ作の紅白饅頭による食中毒の治療のため、ここに来たのだ。
「それでは……、キュアポイゾン、しますね……」
「どーんとやっちゃってね、姉様!」
 鏡氷雨の応援を受け、アイス・ドロップが大吾に毒の治療魔法を施す。すると、食中毒が消え失せ、腹痛が止まったようだ。
「いやあ、助かったよ。ありがとう」
「いえ……、どういたしまして」
 こうしてまた1人、羽根突きの被害者は治療されることとなった。

「初日の出があんな形で潰されるとはなぁ……」
「フレデリカさん、マジ怖ぇよぉ……」
「パラダイス・ロストで先に気絶してよかったのかねぇ……」
 まとめてロープで縛られ、救護所に転がされているのはKKK――天空寺鬼羅、七刀切、クド・ストレイフの3人であった。特に前2人はフレデリカ・レヴィの「天のいかづち」を食らったことにより全身が黒焦げになっており、クドは攻撃されなかったものの、パラダイス・ロストによる魔力全解放の反動で動けずにいた。一応鬼羅も切も治療は受けたが、また変態行動に出られると困るという理由で、3人同時に拘束されているという状態である。
「っていうか今回脱げたの鬼羅さんだけだねぇ」
「今回の勝ち組は鬼羅だけだぜぃ」
「ふはははは! 勝負には負けたが、オレ、大勝利!」
 どこまでも変態な3人であった。

「き、キツすぎる……。まさかこんなにキツいことになるとは思わなかったぜ……」
「あ、頭が痛い……。それ以上に足が痛いです……」
「一番ダメージが少なかったのは俺か。それでも確かに疲れたな……」
 今回の主催者である新入生トリオも救護所に来ていた。
 レオンは誰よりも多く試合をこなした分、怪我や疲労が著しく、クレアに治療されていた。そのため、後に残るような怪我は無くなったが、しばらくは肉体労働はできないだろう。
 フィリップはバーストダッシュや各種魔法を使いすぎたため救護所で倒れこみ、今はフレデリカに看護という名の膝枕をされている――フレデリカ自身は顔を真っ赤にするだけで何もできなかった。その姿を見たレオンは「このリア充め……」と軽い殺意を覚えたらしいが、フレデリカを怒らせると恐ろしい目に遭うのはわかっていたため、何も言わずにいた。
 フェンリルは疲れこそあるが肉体的なダメージはほとんど無く、治療を受ける友人を横目に、周囲の者と談笑していた。
「レオンは取り込み中みたいだし、あんたに言うね。屋台の営業許可、ありがとな」
 観戦席近くにて屋台で商売をしていた東條カガチがフェンリルに礼を言いに来た。
「どういたしまして」
「で、今回の売り上げとかなんだけどさぁ――」
「それについては考えなくてもいい。我々は許可を出しただけで、それ以外には関知しないことにしている。売り上げはそちらで勝手に処理してくれ」
「え、いいの!? マジかよ、ありがとな!」
 収益金はおそらく、本郷涼介やルーツ・アトマイスとの相談の上、分配されるだろう。


 レオンたちの治療が終わる頃には、会場内の空気も落ち着いていた。
 レオンは最初に開催宣言をした位置に立ち、会場全体に響く声で閉会宣言を行った。
「みんな、今日は集まってくれてありがとな! すごく楽しかったぜ! まだ遊び足りない奴はそのまま遊んでてくれていいが、あんまり長々とここを占拠するのも申し訳ないから、いいところで切り上げてくれよな!」
 そして最後にこう付け加える。
「それじゃあひとまず……、一部を除いて全員撤収! お疲れ様でした!!」
 その号令と共に、まだ遊び足りない一部の者を除いて、全員で後片付けが行われた……。