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桜井静香の奇妙(?)な1日 前編

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桜井静香の奇妙(?)な1日 前編

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第16章 1日目終了、ひとまずの帰宅

 夜の帳も下りて、辺りが暗くなる頃、ヴァイシャリーの町を3人の男女が歩いていた。もうお分かりのことだろう。静香、ラズィーヤ、そして弓子の3人である。
 この3人が向かう先は、静香とラズィーヤがパラミタにて暮らすための、ラズイーヤの私邸であった。
 百合園女学院の生徒は、ヴァイシャリー市内、及び近郊にパートナーの持ち家が無い場合、学生寮にて寝泊りすることになる。本来ならば弓子もそこで寝泊りするはずなのだが、静香に取り憑いており、1〜2メートル以上を離れることができないというのであれば、こうなってしまうのは仕方が無いといえた。
「で、わたくしの私邸に、このスケバン幽霊を泊めることになるというわけですのね」
「さすがに校長先生から物理的に離れられないからなぁ。こればかりは諦めてくれよ」
 静香は普段からラズィーヤの私邸にて寝泊りしている、ということはつまり、静香に近づいていなければならない弓子も、しばらくの間はラズィーヤの私邸で寝泊りすることになる、ということなのだ。
「まあ、今日は機嫌がよろしくてよ? 2〜3日程度なら我慢してあげてもいいという気分ですわ」
「そりゃありがたい」
 そこで弓子は静香に頭を下げた。
「というわけで校長先生、しばらくの間、ご厄介になります」
「こちらこそ、弓子さんを歓迎します」
 静香も快く、弓子の宿泊を歓迎した。

 私邸に帰り着いた3人は、それぞれ荷物を片付け、思い思いに休息をとる。もっとも弓子だけは百合園制服を脱ぐだけだったが。
「そういえば校長先生、明日以降はどうなるのでしょうか?」
「えっとね……」
 弓子に問われ、静香が予定を思い出す。
「明日と明後日は、『依頼』を受けることになるのかな」
「依頼、ですか」
「うん、弓子さんにもパラミタでの暮らしっていうのを体験してほしいからね」
「ですが、それには静香さんも参加しなければならない、ということですわね」
 口を挟んだラズィーヤの言うことは間違っていない。弓子が百合園女学院に持ち込まれる依頼を受けるということは、それはつまり、取り憑かれている静香も一緒に受けるということである。
「まあ、あんまり危険性の無さそうな、簡単なのがあればいいんだけどね。まあ難しいのだったとしても、協力してくれる人を募れば、何とかなるんじゃないかな」
「結構アバウトなんですね……」
 弓子が少々渋い顔をするが、静香はそれほどまでに危機感を感じてはいなかった。
「生徒会室でロザリンドさんが言ってたでしょ? 『泥棒から財産を守ってくれ』とか『ペットを探してくれ』ってさ。あの辺にしようと思ってるんだ」
 ロザリンド・セリナが書いていたあの書類の依頼。あれならば自分や弓子でも気楽に参加できるのではないだろうか。静香はそれを考えていたのだ。
「受けてみたら死ぬほど厳しかった、というのは考えられるんじゃないでしょうか」
「……まあ、ね。一応その辺は、行ってから考える予定です、ハイ」
 静香もだんだんと不安になってきたらしい。本当にこんなことで大丈夫なのだろうか。弓子はそう思わないでもなかったが、この際はその2つの依頼に賭けてみるしかなかった。
「さあ、明日以降のことは明日以降にして、まずは今日のことをやってしまいますわよ」
 ラズィーヤが2人を、夕食や風呂へと促した。

 この日、弓子はテーブルマナーだけはあまり理解していなかったことをラズィーヤにネチネチと小言を言われたり、静香が男であると知った弓子が、ライオンの形をした排水口のある大型浴室の中では必死に耳をふさぎ、目を閉じていたり、寝る前には弓子が距離的に静香と添い寝せざるを得ないと知ったラズイーヤが、またしてもサーベルを持ち出しそうになったりしたが、

 それ以外のところでは、特に変わらぬ1日だったようだ。


桜井 静香(さくらい・しずか)――取り憑かれたとはいえ特に悪影響は無く、無事に1日を乗りきった。

ラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)――他校生にからかわれたのも手伝って、弓子への敵愾心をさらに強固なものにしたが、ファッションショーなどのおかげで今は落ち着いている。

吉村 弓子(よしむら・ゆみこ)――百合園女学院での1日を満足に過ごし、2日目以降に思いをはせる。

毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)――動画データをラズィーヤに渡すことに成功。ちなみに弓子は半分透けた状態で映っていた。

神倶鎚 エレン(かぐづち・えれん)とパートナーたち――弓子と静香のファッションショー写真を入手。コピーはラズィーヤに渡し、いたく気に入られた。

弥涼 総司(いすず・そうじ)七篠 類(ななしの・たぐい)――男性であることがばれて、百合園生によって敷地外へと放り出された。契約者特有の頑丈さにより肉体は無事だったが、ある意味で再起不能(リタイア)。

藤井 つばめ(ふじい・つばめ)――その後、お茶菓子は無事に届けられた。

桐生 円(きりゅう・まどか)――「平穏」を勝ち取るため、静香と弓子を狙うことは諦めていない。

葛葉 杏(くずのは・あん)――弓子の化けの皮を剥ぐという目的のため、静香と弓子を狙うことは諦めていない。

横倉 右天(よこくら・うてん)――ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)に叩きのめされたことにより計画は失敗。別の人間にやられたパートナーのグレゴール・カフカ(ぐれごーる・かふか)共々、契約者特有の頑丈さにより肉体は無事だったが、ある意味で再起不能(リタイア)。

真口 悠希(まぐち・ゆき)――静香との間は、いまだ気まずい状態。弓子の言葉がその後にどう繋がるかはわからない。

ルカルカ・ルー(るかるか・るー)――乗り物のチョイスはまずかったが、一応案内することはできた。


TO BE CONTINUED… 後編へ続く

担当マスターより

▼担当マスター

名も無き詩人

▼マスターコメント

 参加者の皆様、お疲れ様でした。
「桜井静香の奇妙(?)な1日 前編」のリアクション、いかがでしたでしょうか。
 アクション欄を割いての私信、本当にありがとうございます。毎度毎度励みになっております。できるだけ個別コメントでお返事してるつもりなのですが、もし返事が無かった場合は、どうかご容赦ください。

 今回、ゲストとして幽霊の弓子を登場させてみたのですが、皆様の彼女に対するアクションの素晴らしさに思わず悶絶しそうになっちゃいました。中には彼女をフラワシだと(わざと?)間違えて攻撃するというのもありましたが、それはそれで楽しく執筆させていただきました。
 しかし清めの塩とか聖水とか諸々の「幽霊退治」アクションが一切無かったというのにはちょっと驚きました。さすが百合園&他校の皆様、素晴らしい。
 弓子の設定や取り憑いた理由などについてはリアクションの通りです。それから桜井静香がコンジュラーになるという展開は今後一切ありません。マジです。コリマの霊槍で突こうとしても全力で回避いたします。ご了承ください。

 フラワシといえば、少しばかり「設定」についてコメントさせていただきます。
 ユニークアイテムの登場により、フラワシにも様々なアイテム設定ができるようになりました。その主な設定は、「名前」「外見」「固有能力」だと思います。
 名前や外見は大丈夫なのですが、固有の能力に関しては「そのフラワシに設定されたもののアレンジまで」ならOKです。つまり「元々のフラワシのアイテム説明」に記載が無ければ「時を止められる」「相手の能力をDISCにする」「鏡の中に入れる」等の能力を設定するのはNGとなります。
 ついでに「フラワシ使いは引かれ合う」というものについてですが、運営チームに確認してみましたところ、残念ながら「そんなことはない」との返事をいただきました。ただしフラワシはコンジュラー以外には見えない存在ですので、その辺りを利用したジョークとして扱う分には問題無いとのことです。
(まあ本当にそんな設定があるとしたら、パラミタ中のコンジュラーがどんどん出会ってしまって、エラいことになりますよね……(汗))

 そしてこの「前編」のシナリオガイドの「構成」ですが、実はとあるマンガが元ネタになっております。幽霊を「妖怪」、ラズィーヤを「○○先生」に置き換えれば、知ってる人なら知ってる内容に変わります(笑)

 後編は、2日目と3日目を利用して、百合園女学院に舞い込んだ依頼を解決する、というものになります。連動性の無い合計2つの事件がその日ごとに発生するというもので、静香&弓子もそれに付き合う、といった感じで話が展開します。ラズィーヤは……皆様のアクション次第で登場します(笑)
 もちろん基本はコメディですので、あまり難しいことは考えずにガンガン事件に介入してやってください(ただし舞台と状況の都合上、また百合園生が抽選で有利となります)。


 それではまた、縁がございましたら、後編にてお会いいたしましょう。
 前編のお相手は「名も無き詩人」が担当させていただきました。


2011年2月19日…10ページ目、一部修正