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節分・厄払い・豆撒き大会

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節分・厄払い・豆撒き大会
節分・厄払い・豆撒き大会 節分・厄払い・豆撒き大会

リアクション

「甘いですよ山葉先輩!」
 しかし、陽太の攻撃は止まない! 《スナイプ》で確実に涼司を狙ってくる。
「サブマーカーに攻撃を受けてロックされるのは、貸し出された武器のみじゃ! あやつの武器は自前。大会のルールを作ったものがそのルールを熟知しておらんとは、うつけ者め! 忍、大将首じゃ! 討ち取って参れ!」
「本物のうつけ者に、言われたくはねぇぞ!」
 信長が言う通り、 ルールには『サブマーカーに攻撃を受けた場合、貸し出している【エアーガン】は一時的にオートロックが掛かり、使用不可能となります』とある。貸し出している【エアーガン】はと言うことは、持参した【エアーガン/パッフェルカスタム】を含まない事になる。
「ああ、信長俺パス。校長の首取ったら流石にヤバイだろう? でも視界位は奪ってやるよ」
 と言って、忍は涼司目がけて【弾幕ファンデーション】を投げた。当たりが真っ白になり、彼の視界を奪う。しかし、それは同時に周りの生徒の視界も奪う。
「煙の中だろうと山っち校長は逃さないんだから!」
「ちょっと、山葉校長が相手だからって、力み過ぎるな! 落ち着け……て」
 涼司にライバル心を燃やしている司が【煙幕ファンデーション】の中へと突っ込む。キルティの注意なんて聞いてやしない。
「やっぱ、こういう時に俺様みたいな男が活躍しないとな。校長も倒して、あの娘も守ってやるよネーちゃん」
 ヒューリがキルティに向かって任せろとウィンクする。
「ヒュー様もしかして、この煙に乗じてわたくしから逃げるつもりじゃありませんわよね?」
 セレナリスの指摘にヒューリがギクリとなる。勿論、抜け駆けして、女子生徒のナンパへと向かおうと思っていた彼だった。
「それじゃ、俺様は行ってくる!」
「ヒュー様待ちなさい!」
 ヒューリを追って、セレナリスも煙の中に消えて行った。
「今の内に逃げるしかないな」
 涼司もこの隙にと、煙を突っ切って逃げようとする。煙から出れば自分の場所がバレるだろうが、数名は引き剥がせるはずだ。
「そうはいかないですぅ! ここで涼司くんが逃げたら私のご飯がなくなるですぅ!」
「そうね。お腹すいたわよね……、わたくしも、お腹がすいて、由宇ちゃんを見るとよだれが出てしまいますの」
 欠食のために精神が危なくなっている由宇とアクア煙に向かって攻撃する。
 由宇が《超感覚》を駆使して、煙の中、涼司を捉える。大会中、豆を食べながら飢えを凌いでいた由宇だったが、もう限界だ。豆だけ食べてもお腹が満たされない。一刻も早くご馳走にありつきたいがために《則天去私》で涼司に付いたフラッグを狙う。
「《則天去私》を豆に込めるとか洒落にならないぜ! 豆撒き大会なんてどうでもいい! 一刻も早く学園から逃げるぜ……!」
 涼司は足を一歩踏み出そうとした。が、煙の視界1メートルもない先に、バナナの皮が落ちていた。加夜の仕掛けたトラップだ。
「こんなの誰が踏むかよ」
 余裕を持って涼司はバナナの皮を左に避けた。
 お陰で、加夜の仕掛けた落とし穴にしっかりと嵌った。
「なんだとぉ――!?」
 一度目の落とし穴は避けられたものの、こればっかりは完全に油断していた。
「クソ……なんでこんな目に合うんだ……」
 涼司が落とし穴から這い出ると、煙はすっかりと消えて、煙の代わりに豆撒き大会の参加者が彼を取り囲んでいた。全ての銃口が彼を向いている。
 完全包囲、四面楚歌、多勢に無勢で彼は格好の的。
「おい、みんな待ってくれ! 話せば分かってくれるよな!」
 助けを懇願する大会主催者、涼司。しかしその声を遮り、カメラマンをしている主犯、祥子が皆へ命令する。
「さあ、校長先生の厄払いの時間ですよ。みなさん……」
 祥子の立てた親指が下に向く。そして――、
「ヤッちゃえ」
 最高の笑顔でそう言った。皆も本日最高のハッピートリガーを山葉涼司蒼空学園校長に浴びせた。
 
『『赤鬼』『青鬼』両チームのフラッグが同時に破壊されました。よってこの勝負引き分けです!』
 マリエルの声で豆撒き大会はここに終了した。