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リアクション
「ところで……こんなに親がいて、大丈夫なのか?」
「ていうか、餌の準備も必要じゃないですか? でも、ロック鳥って何を食べるんだろ?」
雛の親騒動がひと段落したところで、色々と疑問や問題が出てきた。
ロック鳥の子育てに関しては、ほとんど資料が無いので全員が頭を捻る。
と、そこへ――
「えさのことなら、ぼく調べてきたよ!」
現れたのは栗のパートナーであるヴィータ・ウィステリア(う゛ぃーた・うぃすてりあ)だった。
そして、彼からの報告を聞いてみると、次のようなことがわかった。
「えっとね、イルミンスールの森にむかしから生えてる植物たちにきいてみたんだけど……ロック鳥は肉食だから、オオカミでもゾウでもなんでも食べるんだって。とくに雛のときは、食欲おおせいだからたくさん餌がひつようなんだよ!」
その他にも、花妖精であるヴィータは太古の植物達から様々な情報を聞いて来てくれていた。そして、その情報によって動物図鑑にも載っていないロック鳥の貴重な生態が次々と明かされていくのだった。
「なるほど、毎回そんなに餌がいるのか……」
「だったら、親がたくさんいて正解かもね」
五十メートルにもなる巨大怪鳥を育てるのは、苦労が多そうだな。と生徒達は思うのだった。
「ところで、雛は雄なんでしょうか雌なんでしょうか?」
「それに、名前はどうする?」
ここで、ふと素朴な疑問を浮かべた生徒たちがいた。
すると――
「だったら、俺が見てやろう」
教導団の保健医師でもあり【初生雛鑑別師】でもあるダリル・ガイザックが、サッとロック鳥の雛の性別を鑑別し始めた。
その結果――
「ん? こいつは……雄だな」
ロック鳥の雛は、雄だという事がわかった。
「それじゃあ、名前はどうする?」
「う〜ん……イルミンスールに鳥小屋があるなら、エリザベート校長に決めてもらうのが良いんじゃない?」
その場にいた全員の視線が、エリザベートへと集まる。
「ふぇ!? 私が決めるんですかぁ? むむむぅ……雛は雄ですよねぇ。だったら……名前は『イース』ですぅ!」
堂々と雛の名前を宣言するエリザベート。
すると――
『ピィ、ピィピィ』
「あぅ……く、くすぐったいですぅ!」
雛は『イース』という名前が気に入ったのか、エリザベートに身を寄せてきた。
「と、とにかく! 名前も決まったことですし、これからは皆で協力してイースを育てていくですよぉ!」
エリザベートの掛け声に、その場にいた全員が嬉しそうに返事を返す。
こうして、イルミンスールにイースが仲間入りすることとなった。
そして、いつの間にか東の空が明るみ始めていたのだった。
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