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ロック鳥の卵を奪還せよ!!

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ロック鳥の卵を奪還せよ!!

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 そのころ、空京では――
「クソッ……あいつら、絶対許さねぇ! 絶っっ対に許さねぇ!!」
 補給所から上手く逃げ出したボスは、月明かりも差し込まない真っ暗な路地裏を焦燥した様子で歩いていた。
 そして――
「ば、バイヤーの皆様、いらっしゃいますでしょうか!?」
 とある雑居ビルの裏口を力任せに開け放つと、彼へロック鳥の卵強奪を依頼したバイヤーたちから、生徒達へ復讐するための資金を調達しようと媚びへつらった笑みを浮かべてみせた。
 しかし――
「な……こ、これは一体!?」
 雑居ビルへと入ったボスが見た光景は……にわかには信じられないものだった。
 乱雑に倒された机やテーブル、割れたガラスに散らばる書類。そして――床に転がり、うなされるバイヤー達。
 争った形跡が生々しすぎるこの部屋で何が起こったのか……それを理解する前に、ボスの背後で゛カチリッ゛と激鉄を起こす音が聞こえた。
 そして――

「そうですかぁ、空京のバイヤー達は殲滅したんですかぁ……ご苦労様ですぅ」
 眠い目をこすりながら、電話で報告を受けるエリザベート。
「今回は、裏方を押し付けてしまいましたねぇ」
 彼女の電話の相手は――
『いや、俺もロック鳥のことは気になっていたしな。新しい命が飛びまわれる空を守るのに、裏も表も関係ないだろう。まぁ、違法に動物を取引していたシンジケートも潰せて一石二鳥だったっていうのもあるけどな』
 元イルミンスールの生徒で、現在空京に居を構えるレン・オズワルド(れん・おずわるど)だった。
「それにしても、迅速な対応でしたねぇ」
『あぁ。やっぱり、空京で活動していると裏社会の情報も手に入りやすいからな』
 彼は、エリザベートから卵強奪の連絡を受けると、すぐさま今回の事件を裏から洗っていはじめた。そして、その結果は元刑事としての経験と情報網の大勝利となった。
「この報酬はきちんと支払いますから、今度イルミンスールに来てください」
『……いや、報酬は良い』
「ふぇ?」
『その代わり……俺もロック鳥の雛を見に行って良いか?』
「そ、そんな報酬で良いんですか? 簡単な報酬ですねぇ」
 そう言ったエリザベートが、ふと窓の外を見てみると――そこには、奪還に向かった生徒達が卵を大事に大事に運んでくる姿が見えていた。
「なんだったら、今から来ると良いですぅ! 本当に、待ってますからねぇ?」
 こうして……様々な生徒の活躍によって、今回のロック鳥強奪における事件は完全に幕を閉じたのだった。