蒼空学園へ

イルミンスール魔法学校

校長室

シャンバラ教導団へ

ブラッドレイ海賊団1~パラミタ内海を荒らす者たち~

リアクション公開中!

ブラッドレイ海賊団1~パラミタ内海を荒らす者たち~

リアクション


●終章

(詰めが甘かったですわ。黒髭の意識が美緒さんの中に残っているなんて……)
 皆の出航を見送り、単身、百合園女学院にて“黒髭”について調べている冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)はふと思う。
(まあ、今更悔いても仕方がないです)
 それより、と小夜子は手にしていた文献を読み進めていた。
 今探しているのは、いざ“黒髭”が暴走するようなことがあったときに、彼を消す方法だ。
 そのためにも“黒髭”について調べようとしているのだが、既に幾つかの文献を読み終えているのに、彼に関する記述が見当たらない。
 手伝ってもらっている図書館の事務員も答えは同じだった。
「インターネットで調べられては……」
 事務員の言葉に、読みかけていた文献を閉じ、小夜子はパソコンに向かう。
 単純に『黒髭』という単語で調べてみれば、『エドワード・ティーチという海賊が居て、“黒髭”と言われていた』ということは並べ立てられているけれど、それ以上のことは分からない。彼が『エドワード・ティーチ』だという確証もない。
(他に……あ、コートですわ!)
 以前の“黒髭”はコートに身を寄せていたことを思い出し、呪いの品や体験談の類を探してみようと検索ワードを変えてみる。
(奈落人であれば、物に憑依するのは、希にあり得る……みたいですわね)
 結果、一番信憑性のありそうなその言葉に納得し、小夜子は報告書を書き出した。
『 ……
  黒髭が泉美緒さんの意識を完全に乗っ取ったり暴走する事があれば
  呪いに詳しいイルミンスールや葦原明倫館の両校長を交え
  黒髭を排除する為の手段について知恵を借りる必要がある』
 文末にはそう添えて、出来上がった報告書を手に、ラズィーヤの執務室へと向かう。

「暴走の心配、ですか」
 小夜子の報告書を一通り読んだラズィーヤがぽつりと呟く。
「ええ。“黒髭”は以前、モナミさんと美緒さんを乗っ取っていましたわ。そのときのように再び美緒さんを乗っ取るなどした場合に備えた方が良いのではないかと……」
 頷き答える小夜子に、ラズィーヤは目を細める。
「“黒髭”がパラミタ種族である以上、地球人である美緒も、ある程度抑えることは可能ですわ。ですので、わたくしはそれほど、暴走の心配はしていませんの。小夜子さんはそれだけでは納得できなくて?」
 訊ねられて、小夜子は視線を泳がせた。
 ラズィーヤにそう言わせるほどであれば、心配ないのかもしれない。
「分かりました。ですが、何かあったときは、対処の方、よろしくお願いします」
 ぺこり、と頭を下げて、小夜子は執務室から出て行く。
(もし美緒さんが受け入れるなら止めないけど……私の行動は美緒さんの為になるのでしょうか……?)
 心配のしすぎであろうかと考えながら、小夜子は美緒たちが無事に帰還するのを待った。

***

 石化したアーダルベルトや、縄で縛り上げられたブラッドレイ側の海賊たちが、“黒髭”の海賊船へと集められる。
「まさか美緒が船長だとは思わなかったよ!」
 “黒髭”海賊団の奥から出てきた美緒の姿を見つけた美羽は驚きの声を上げた。
「まあ、嬢ちゃんの身体だけで、中身は俺様だがな」
 返された言葉に、美羽は躊躇うけれど、“黒髭”の傍にラナたちが居て、彼女らが“黒髭”に危害を加えたりするために傍に居るのではないことに気付くと、言葉を続ける。
「石化解除薬は預けておくから、アーダルベルトのこと、よろしくね」
 告げて、運び込んだ石化アーダルベルトを引き渡しながら、ポケットから取り出した石化解除薬を差し出す。
「任されました」
 ラナが差し出された石化解除薬を受け取り、一つ頷いた。

***

 帰還した正悟は、ラズィーヤの下へと向かう。
「ブラッドレイに加担している……というわけではないが、協力の要請をしていたくらいだ。何か繋がりがあるかも、と撮影しておいた」
 携帯電話に収めた写真を表示させ、正悟はラズィーヤへと画面を見せた。
「それだけでは指名手配できませんけれど、何かあれば使えますわね。データを頂いておきますわ」
 ラズィーヤは画像データを受け取って、控えておくのであった。

担当マスターより

▼担当マスター

朝緋あきら

▼マスターコメント

 リアクションお届けします、朝緋あきらです。
 まずは、参加ありがとうございました。そして、お届けが遅くなりまして、申し訳ございません。

 パラミタ内海を騒がせるブラッドレイ海賊団の一端を捕らえることが出来ました。
 一部逃げた名もなき部下もいると思いますが、彼らは今後、本隊などに合流して暴れまわるのでしょう。

 次回予告としましては、石化したアーダルベルトから、彼らが第3部隊というからには第2、第1があるのだと踏んで、情報を引き出し、退治しに行く予定です。
 ガイドの方、あまり間を空けずしてお届けできたらと思います。

 ではまた、次のシナリオでお会いできることを楽しみにしております。